Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

2009-02-17 | ギターの栄養
今住んでいるところは運河の畔で、その運河の両側は桜並木になっている
桜の生え方は、どういうわけか運河にしなだれるようにして生えている
日の当たる方に伸びるのではなく、運河の水に引きつけられるように
両岸ともに水面の方へと傾いている

枝は、川縁の小径では巧い具合に人の頭上をかすめ、
その尖端は、川縁の手すりを超え水の方へと、腰ぐらいの高さまで斜めに降りている

今までこんな近くで桜の枝を見ることは無かったから
去年の暮れに、枝についた蕾を発見した時は
「こんなに早くから蕾をつけているのか」と多少の感慨を持って眺めた

駅へ出るのに、買い物へ行くのに、数日うちに一回は必ず桜の下を通るが、
一冬、頑なまでに蕾の様子は変わらなかった
枝と同じ、グレーの混じった濃い茶色をして、固く身を引き締めたまま
一切、口を開かぬ頑固じじいのような風合いだったが
ここのところ、その尖端が僅かに淡い赤みを帯びて来た






頑なまでに固いものが、ほぐれる時..
これが人間の話なら、嬉しく狂おしく涙が止まらない
桜だからじっと眺めていられる

人間の固いものは扱いが困難ゆえ、ほぐれることもままならぬ
だから桜に気付かせてもらう

無駄口を利かずに時をおくるコツと
そうすれば蕾は開くということを














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