今年に入ってからの僕の音楽環境は
根っこに近いところから
組み換えられつつある気がしてならない
音楽ビジネス不況に
いろんなミュージシャンが経済的な悲鳴を上げているのを耳にする
音楽は決して無くならないが
音楽ビジネスは淘汰されかかっているのかもしれない
音楽ビジネスの生命力が強い時代には
「音楽ビジネスが生み出すビッグマネー」という名の大河が
轟音で流れており
その頃の僕は
自分の中の奥深いところで心が震えた体験を
音楽にしようとしても
そんな行為自体が
その大河の激流の前にはあっという間に弾き飛ばされていた
今その大河は 源泉から枯渇し
河幅は細り流勢も貧弱になった
その大河の水の中で生きてきた人達は
陸に上がらざるを得なくなった
陸に上がった彼らは河童の頭の皿が渇くように
お金という水分が得られず干上がり苦痛にもがきながら
どうやっても音楽で大金を稼ぎ出せないことに観念しつつある
お金というのは
ちょっと使い方を間違えるだけで
人間を狂わせる存在だ
覚醒剤のように我々人間を狂わせてきたお金が得られなくなって
やっと音楽は
根元的な意味で健全な姿に戻れるように感じている
音楽だけの話ではない
一人一人が大切にしている想いを
お金はあっという間に蹴散らしてしまう
容易にはお金が得られない環境の中で
ミュージシャンも考え方によって淘汰されたり生き延びたり
と仕分けされるのだろう
僕は
かつて世の中がバブルだということも知らなかった
世の中の情勢に全く無頓着に
ただ心中を等身大にギターに乗せ弾いてきただけの僕にとっては
むしろ生きやすい時代になったように感じるのだ
過去にはお金に盲目になった濁流に弾き飛ばされてきた
僕発信の信号が今
少しずつ誰かの目に留まるようになってきている気がする
最近そういう気配が感じられる
日本中のプロミュージシャンが経済的に苦しむ中
プロミュージシャンの端っこでご飯を食べさせてもらってる身で
「嬉しい時代がやって来たように感じる」
と言ったら
不埒だろうか…