時のうねりのはざまにて

歴史小説もどきを書いてみます。作品と解説の二部構成で行こうと思います。

玉葉 「六韜」「三略」獲得!

2008-01-26 23:02:57 | 日記・軍記物
「義経記」や歌舞伎などの古典芸能の「義経物」などでしばしば出てくる「六韜」「三略」
これがなんと「玉葉」に出てきました。

九条兼実が「六韜」または「三略」と伝えられる書物の写しを貰って
大喜びしている記事があるのです。

「玉葉」治承五年二月二十三日条
「(前略)夜に入り外記大夫師景参上す。素書一巻を持ち来たる。先日の召しに依るなり。今日吉曜に依り持参の由申す所なり。この書相伝の人甚だ少し。先年祖父師遠白川院より下し給ふ。深く持って秘蔵し、伝えてかれの家あり。余この由を聞き、一見を加ふべき由を仰す。子孫と雖も、容易に伝受すべからざる由、師遠起請を書く。仍つて恐懼甚だ多し。
進退惟谷まり、竊に祈請を致す間、夢中許すべき告げあり。
仍つて手づから自ら写功を終へ今日持参するところなり。霊告厳重、殆ど感涙を拭う。
余謹んで衣装を正し以てこれを読み合わす。
張良一巻の書即ちこれなり。黄石公圮上に於いて子房に授け、これを登師傳に伝ふる書なり。
而るに余不慮にこれを得たり。豈悦ばざるべるべけんや。抑張良一巻の書、或は六韜と称し或は三略と謂ふ。(後略)」

この後延々とこの「六韜」「三略」という書物について書いています。

「兵法の書」としてある意味有名(と言われている)なこの本を入手して兼実は涙を流して大喜び。
この本は持ち主である師景の家にとっても門外不出の「秘伝の書」。
「武士」という範疇にはどうしても入らないはずの兼実にとっても
入手して涙を流してうれしがり
読むのにわざわざ着替える
というのは興味深い記事であると思います。

また後世この「六韜」「三略」がどのようにして義経と結びついたのかということも
探ってみると面白いかもしれません。

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