時のうねりのはざまにて

歴史小説もどきを書いてみます。作品と解説の二部構成で行こうと思います。

震災報道で気になること

2011-03-20 06:29:46 | Weblog
ここのところ各番組の震災報道も落ち着き、通常の番組の放送されるようになってきました。
その一方で、原発や計画停電のニュースは頻繁に流れています。

原発はこれ以上なにかあったら大変な事態になることですし、
計画停電は多くの人々に多大なる影響のあることですから是非情報がほしいところです。

ところで、震災報道ばかり放映されていた頃放送に関して気になったことがあります。

それは同じ情報だけが繰り返し放映されて、他の情報が全く流れなかったことです。

津波の被害のすさまじさは何度も放映されました。
しかし具体的にどこがどのような被害を受けたのか、という情報は報道からはうかがい知ることができない部分がありました。

震災の被害の情報が殆どなされなかった地域もあります。

例えば、茨城県です。
茨城県も地域によってはかなりの被害があり、その被災地に向かう交通が滞り物資、食糧が足りなくて困っているという地域があったようですが、震災報道加熱とも言える時期にまったく茨城県の情報は流れていませんでした。

また、千葉県でも旭市も相当な被害を受けていたにもかかわらず、計画停電で電気が止められて初めて旭市の被害が相当深刻なものであったと多くの人が知ることができたようです。
ゆれがさほど大きくなかった地域でも多数おきた液状化現象の情報はあまり報道されませんでした。道路の液状化は交通に関わる問題ですのでもっと報道されても良かったような気がします。

さらに言わせていただけば、3.11から後の日に震度6弱の地震が起きた長野県や静岡県の情報は全く流れてきません。

短期間の間に多くの場所が災害に巻き込まれてしまったゆえ取材の手が間に合わなかった等の理由もあったでしょうが、もっと広い範囲で多様性の或る報道はできなかったものでしょうか?

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今回の大災害によせて

2011-03-17 05:52:37 | Weblog
3月11日から連続して起きている地震災害において罹災された方々に心からお見舞い申し上げます。
また、一日もはやい救助、そして復興がなされることをお祈り申し上げます。

また、直接被害にあわれなかった方々も様々な形でのご苦労があったことをお察しいたしますと共に、平穏無事な日々が早く戻ることをお祈いたします。

おかげさまで私の住む地域は大きな被害はありませんでした。

さて、色々な不安があり混乱もあるようですが、
おこがましいようですが、被災地に住んでいない地域の人ができる復興策が一つあることに想いを致しておりここに書かせて頂きます。

それはなるべく買い物をあせらない事、です。

スーパーでの目撃です。

こちらもスーパーが大変込み合いました。
真っ先に無くなったのは
パン、水、レトルト、惣菜、弁当、カップめん

そしてその翌日に無くなったのは
米、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、生理用品、紙おむつ
でした。

その割りに肉や野菜などは在庫がありました。

この時期だけに不安がつのり買い物をしたいという気持ちはわかります。

しかし、本当に必要なものだったのでしょうか?

私の住んでいる地域では断水も、ガスの供給も止まっていません。
なのに何故大量に水が必要なのでしょうか?パンが必要なのでしょうか?

トイレットペーパーを大量に買っていく人がいました。
大家族でもないかぎりそんなに必要な人はいません。

生理用品をまとめ買いするひとがいました。
一ヶ月に一度しかこない生理のためにそんなに買う必要があるのでしょうか?

その大量の買占めの後、本当にトイレットペーパーが無くて買いに来た人が
トイレットペーパーを買えずに途方に暮れていました。

中には自分の為の買占めではなかった人も多数いたことは事実です。
被災地にいる親類や知人、また都内で物資に困っている人の為に買出しをして宅配で送るという人もいたようです。

しかし、冷静に考えてみましょう。

被災地で本当に困っている人のところには物資がいきわたっていません。
物流が寸断されているからです。
もし宅配で送付できるような場所であるならば、公共の方策で支援物資が行き届いていいるはずです。
本当に物資に困っている人のところには、公共の援助物資も行き届かない以上、宅配も不可能ということになります。

実際にお困りの方も本当に多いと思いますし、個人的に支援物資を送るという暖かい心は尊重したいのですが、個人的な宅配便送付が本当に役に立つのでしょうか?
逆に宅配業者の無駄な仕事を増やし、宅配業者のトラックの便を増やし、渋滞を引き起こし、ガソリンを余計に使用し、本来あるべき物流の妨げになることはないでしょうか?
また、支援物資を正しい送付場所に送らなければ、かえって現地の支援物資分配作業の妨げになるということもあるようです。
物資の送付という方法が本当に正しいのか、他になにかもっと良い方法がないのか検討されましたでしょうか?

都内に送る場合もどうでしょうか?
ガソリンは不足しています。ガソリンを求めて渋滞も起きているという話もあります。
その様な中宅配が増えると渋滞が加速し都内のスーパーへの搬入便が遅れます。
支援物資もいいですが、一日も早い都内にスーパーの機能改善の方が本当に役に立つのではないでしょうか?

よく知る方がお困りでなんとかして差し上げたいという気持ちは分かりますが
その善意が逆にその地域にお住まいの方や、助けたいかたご本人様を余計に窮地に立たせている場合もあるのではないでしょうか?

もう一回、書かせて頂きます。
「今買おうとしている品物、本当に必要ですか?」

ちなみにスーパーの品不足は解消されつつあるようです。

知り合いの方は
「米、水、塩があれば1ヶ月くらいなんともないわ」
だそうです。

以上思うことを書かせていただきましたが、個人的な意見が強く中にはご不快に思われる方もおられたかもしれません。
そのような方には末尾ながらお詫びさせていただきます。

蒲殿春秋(五百五十六)

2011-03-06 06:09:32 | 蒲殿春秋
その日藤原範季邸は正室教子の采配によって綺麗に整えられた。
邸の中は掃き清められ、几帳などの調度品は夏に向かう季節にふさわしいさわやかなものが設えられた。
庭にではこれも教子が日々手入れさせている木々が雨にぬれてしとやかな雰囲気を醸し出している。
そして心づくしの膳部が支度されようとしていた。

やがて、その邸に源範頼が現れた。
範頼も初夏を感じさせる狩衣を着して現れたが、その背後にいる当麻太郎はいかつい巨体を震わせながら目を光らせて主に従っている。

範頼は寝殿に通された。
久々に見る範季の邸の寝殿である。
若き日々は当たり前のように出入りしていた場所である。
養父との間に様々な思い出のあるところである。

養父が現れるまでその場を見回した。

やがて、養父範季が現れる。養父はずかっと腰を下ろした。
そして養父の背後にある御簾の中にも人影が現れる。
御簾のから女ものの衣が毀れる。その御簾の奥から一瞬強い敵意を感じたがそれはすぐに消えた。

範頼は両者に礼をした。

範季はしばらく押し黙っている。
が、やがて
「六郎よう参った。」
という。
範頼は
「お言葉に甘え参上いたしました。」
と答える。

範季はためらいながら背後をみやり言葉を出す。
「これが六郎じゃ。」
御簾の奥でうなずいた気配がする。

そしてさらに言葉を重くしながら範季は言う。
「六郎、これが、その、あの、なんというかわしの・・・・・
北の方じゃ。」

すると御簾の側に控えていた女房が言葉を発する。
「北の方さまの仰せです。六郎殿よく参られました。
私が前陸奥守(範季)の室です。どうぞよしなに、とのことです。」
女房から言われた範頼も答える。
「私が蒲冠者でございます。私の方こそ宜しくお願い申し上げます。」

頭を下げた範頼は御簾を見つめ、御簾からも範頼に対して視線を送っているのが読み取れる。

その後無言がこの寝殿を支配した。
梅雨時のじっとりと暑さを含んだ空気の中、この場は重苦しさに包まれようとしていた。

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