「おぬし何者じゃ?」
と、この一団の首魁らしきものに問われた。
どのように答えればいいものか、と思案しているうちに
馬の轡をとられ一団に周囲を固められて
いつの間にか彼らの進む方角へ一緒に移動させられている。
こうなっては状況に従うしかないと腹を決め
様子を冷静に観察することにした。
大鎧を着ているものはいない。
従者も弓を携えているが、腹巻をしておらず
戦や凶徒の追捕というものではなさそうだ。
一刻ほど進むとまた別の一団と合流した。
その一団は樵と見られる何人かの男達を連れてきていた。
さらに進むと同じような一団とまた出会う。
彼らは同じ方角に歩んでいく。
やがて日が沈みそうになるころ
山の頂にある小屋に前に一同は集まる。
そして、農夫や樵たちはある一角に集められて武者らしき男に何事かを指示されている。
範頼らは小さな納屋に入るように言われた。
三人が入り終わると出入り口がふさがれる音がした。
「どうやら、戦があるらしい」
当麻太郎は冷静に語った。
どうやら範頼らをここに連れてきた一団は
戦の物資の輸送や逆茂木(*)の設置や撤去、溝堀などに必要な人手をかき集めていたようだ。
その人手をこの在地に求めて、先程の行動に出ていたのだろう。
「では、昼間のことは」
と範頼が聞くと当麻太郎はこっくりと頷いた。
集落の人々は軍勢に連れて行かれないようにいづこかへ逃げたのだろう。
出遭った農民らしい一家もおそらく逃げる途中だったのだろう。
戦に連れて行かれるといつ在所に帰れるかわからないし、
下手をすると命を落とす。
直接の戦闘員にならないもののそんなところに連れて行かれるのは御免である。
噂を聞いた集落の人々は連行されぬよう身を潜めていたに違いなかった。
ここに集められたのは運悪く人手集めの手勢に見つかってしもった者達。
夜が空けるとおそらく彼らは戦地に連れて行かれるのであろう。
それにしてもどこの手のものが男達をかき集めたのであろうか?
そして、何故自分たちまでここに連れてきてこられたのか?
誰の手のに自分達がいるのかがわからなければ今後の自分達の対処のしようも決められない。
だが、範頼たちは納屋に放り込まれたままその外の者とは接触できずに一晩を過ごすことになる。
*逆茂木-馬の通行を妨げる一種のバリケード
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と、この一団の首魁らしきものに問われた。
どのように答えればいいものか、と思案しているうちに
馬の轡をとられ一団に周囲を固められて
いつの間にか彼らの進む方角へ一緒に移動させられている。
こうなっては状況に従うしかないと腹を決め
様子を冷静に観察することにした。
大鎧を着ているものはいない。
従者も弓を携えているが、腹巻をしておらず
戦や凶徒の追捕というものではなさそうだ。
一刻ほど進むとまた別の一団と合流した。
その一団は樵と見られる何人かの男達を連れてきていた。
さらに進むと同じような一団とまた出会う。
彼らは同じ方角に歩んでいく。
やがて日が沈みそうになるころ
山の頂にある小屋に前に一同は集まる。
そして、農夫や樵たちはある一角に集められて武者らしき男に何事かを指示されている。
範頼らは小さな納屋に入るように言われた。
三人が入り終わると出入り口がふさがれる音がした。
「どうやら、戦があるらしい」
当麻太郎は冷静に語った。
どうやら範頼らをここに連れてきた一団は
戦の物資の輸送や逆茂木(*)の設置や撤去、溝堀などに必要な人手をかき集めていたようだ。
その人手をこの在地に求めて、先程の行動に出ていたのだろう。
「では、昼間のことは」
と範頼が聞くと当麻太郎はこっくりと頷いた。
集落の人々は軍勢に連れて行かれないようにいづこかへ逃げたのだろう。
出遭った農民らしい一家もおそらく逃げる途中だったのだろう。
戦に連れて行かれるといつ在所に帰れるかわからないし、
下手をすると命を落とす。
直接の戦闘員にならないもののそんなところに連れて行かれるのは御免である。
噂を聞いた集落の人々は連行されぬよう身を潜めていたに違いなかった。
ここに集められたのは運悪く人手集めの手勢に見つかってしもった者達。
夜が空けるとおそらく彼らは戦地に連れて行かれるのであろう。
それにしてもどこの手のものが男達をかき集めたのであろうか?
そして、何故自分たちまでここに連れてきてこられたのか?
誰の手のに自分達がいるのかがわからなければ今後の自分達の対処のしようも決められない。
だが、範頼たちは納屋に放り込まれたままその外の者とは接触できずに一晩を過ごすことになる。
*逆茂木-馬の通行を妨げる一種のバリケード
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