以仁王と合流した頼政。
だが、結局彼らは園城寺を出て南都(奈良)へ向かうことになった。
南都は反平家の一大勢力に成長していた。
そのもつ武力は無視しがたいものでがある。
首脳部が平家よりの立場をとっている上、寺院内の反平家勢力も平家の武力圧力に対して及び腰になっている園城寺より南都の方がはるかに頼りになる。
南都に入ることによって平家に対して対抗することを考えたのである。
しかし、そこに向かう途中平家率いるの大軍に追いつかれ
宇治平等院にて頼政一族は討ち取られてしまった。
以仁王は暫くの間行く方知れずとなっていたのだが
やがてその死が確認された。
だが、世から忘れられた存在であった以仁王の死の確認は困難を極めた
ようやく以仁王の顔を知るものを探し出して
遺骸が以仁王であることを確かめたのだが
それまでの空白が以仁王生存説を生み出すことになってしまった。
その生存説は後々重大な意味を持つようになる。
また、以仁王の遺児は何人かいたのであるが
そのうちの一人が行方をくらませた。
このこともまた後々に大きな意味を持つようになる。
いずれにせよ、この戦いによって清盛にとっては最大の懸念は消えた。
反安徳の拠点の一つになっていた八条院周辺。
その中にあった皇位継承資格者以仁王は謀反人として死亡した。
しかも、その直前以仁王は臣籍降下の宣旨がなされ
その遺児の皇位への道は閉ざされた。
他の後白河法皇、高倉上皇の皇子たちも平家の関係者が養育しているか
すでに出家しているものたちばかりである。
この状況では平家以外の勢力が皇位継承に口を出すことは不可能となっている。
八条院の爪牙である有力な軍事貴族二人━━━
平頼盛は八条院より異母兄を選択した。
源頼政は死亡した。
抱えている皇位継承者と軍事貴族の消失。
八条院勢力はもはや政治的に清盛を脅かすことができる存在ではなくなった。
安徳に替わる皇位継承資格者の手駒がすでに全て平家に握られている以上
南都などの反平家勢力も今回のような計画を二度と立てることはできないと思われた。
これで、安徳天皇も平家も安泰になった、清盛も平家一門もそのほかの都の誰もがそう思っていた。
今や以仁王の名で各地に送られた令旨は無効となってしまった、
と思われた。
だがこの「以仁王の令旨」は、清盛も八条院も、令旨を発した以仁王自身も思ってもいなかった方向に歴史を動かしていくことになる。
歴史は当時の都の人々の思惑を超えたところで大きく動き始めていたのである。
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だが、結局彼らは園城寺を出て南都(奈良)へ向かうことになった。
南都は反平家の一大勢力に成長していた。
そのもつ武力は無視しがたいものでがある。
首脳部が平家よりの立場をとっている上、寺院内の反平家勢力も平家の武力圧力に対して及び腰になっている園城寺より南都の方がはるかに頼りになる。
南都に入ることによって平家に対して対抗することを考えたのである。
しかし、そこに向かう途中平家率いるの大軍に追いつかれ
宇治平等院にて頼政一族は討ち取られてしまった。
以仁王は暫くの間行く方知れずとなっていたのだが
やがてその死が確認された。
だが、世から忘れられた存在であった以仁王の死の確認は困難を極めた
ようやく以仁王の顔を知るものを探し出して
遺骸が以仁王であることを確かめたのだが
それまでの空白が以仁王生存説を生み出すことになってしまった。
その生存説は後々重大な意味を持つようになる。
また、以仁王の遺児は何人かいたのであるが
そのうちの一人が行方をくらませた。
このこともまた後々に大きな意味を持つようになる。
いずれにせよ、この戦いによって清盛にとっては最大の懸念は消えた。
反安徳の拠点の一つになっていた八条院周辺。
その中にあった皇位継承資格者以仁王は謀反人として死亡した。
しかも、その直前以仁王は臣籍降下の宣旨がなされ
その遺児の皇位への道は閉ざされた。
他の後白河法皇、高倉上皇の皇子たちも平家の関係者が養育しているか
すでに出家しているものたちばかりである。
この状況では平家以外の勢力が皇位継承に口を出すことは不可能となっている。
八条院の爪牙である有力な軍事貴族二人━━━
平頼盛は八条院より異母兄を選択した。
源頼政は死亡した。
抱えている皇位継承者と軍事貴族の消失。
八条院勢力はもはや政治的に清盛を脅かすことができる存在ではなくなった。
安徳に替わる皇位継承資格者の手駒がすでに全て平家に握られている以上
南都などの反平家勢力も今回のような計画を二度と立てることはできないと思われた。
これで、安徳天皇も平家も安泰になった、清盛も平家一門もそのほかの都の誰もがそう思っていた。
今や以仁王の名で各地に送られた令旨は無効となってしまった、
と思われた。
だがこの「以仁王の令旨」は、清盛も八条院も、令旨を発した以仁王自身も思ってもいなかった方向に歴史を動かしていくことになる。
歴史は当時の都の人々の思惑を超えたところで大きく動き始めていたのである。
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