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ミセスワタナベ ・・・ ヘッジファンドに“倍返し”せよ

2016-02-19 | Weblog

ヘッジファンドに“倍返し”せよ 異常円高に為替介入で対抗を  2016.02.19

連載:「日本」の解き方

2月上旬、為替市場が大きく変動し円高になった。具体的には、2月1日に1ドル=121円30銭だったのが12日に112円35銭と7・4%の円高だ。

 この2週間の動きは、完全にランダム(不規則)である。1971年の変動相場制導入以来、1万日以上の日次データの2週間における変動を統計分析すると、平均マイナス0・1、標準偏差2・0の分布である。これは、大雑把に言えば、2週間の変動がプラスマイナス2%以内、4%以内、6%以内である確率はそれぞれ68%、95%、99・7%ということを意味している。

 ということは、今回のように2週間で7・4%も変動することはほとんどあり得ないことである。実際、過去のデータでも、2000年以降、まったくみられていない現象である。

 しかも、今回は円高である。1月29日に発表された日銀のマイナス金利は、金融緩和策なので、理屈上は円安の方向である。それが、反対の円高に振れ、しかも、ほぼあり得ない程度の大きさとなった。

 この状況の解説として有力なのは、一部のファンドの仕掛けに市場全体が乗ってしまった可能性があると、筆者はみている。

 筆者としてまったく解せないのは、為替で投機的な仕掛けを受けているにもかかわらず、財務省が大規模な為替介入を行っていないことだ。

 はっきりいえば、このような大きな変動の時に、為替介入で市場に冷や水をかけて、冷静さを取り戻すように仕向けるのは、財務省の役割であり、職務怠慢と言われても仕方がない。こうしたときに為替介入をしないのなら、財務省が外国為替資金特別会計を持ち、介入権限を有している意味がない。

小泉純一郎政権当時、投機筋に狙われ03年末から急速に円高が進んだ際、財務省は04年初頭から1日1兆円といわれる大規模介入に乗り出した。財務官だった溝口善兵衛氏の名前を取って「溝口介入」と呼ばれた。

 このとき、発行した政府短期証券(為券、短期国債の一種)の半額を日銀が購入して非不胎化(通貨量の変化を相殺しないこと)したので円安になった経緯もある。この経緯には、筆者も絡んでいたが、そのときの感覚からいえば、今の財務省の能力に疑問を感じざるを得ない。

 この事例からわかるように、為替介入には直接的な持続効果はないが、非不胎化であれば、円安効果がある。

 さらに重要なのが、為替介入と日銀による為券購入という手は、国会開催中でも行える政策だということだ。新たな国債の発行は国会議決を要するため、予算案を審議中の国会ではできない。しかし、為券については15年度予算で、すでに195兆円発行できると書かれている(特別会計予算総則第8条)。今の段階で、これを利用しない手はない。

 最近は、市場で国債が品不足になっているので、国債のマイナス金利も生じている状況だ。為替介入資金調達のために為券(国債)を発行することは、恵みの雨ともいえるのである。

 一部のヘッジファンドに仕掛けられたのだから、その「倍返し」が必要で、速攻で行うべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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