階段にすわって泣いている女の子。外灯の明かりがともる夜のこと。
ひとりの紳士が階段をあがろうとして、女の子に気づくのです。
どうしたんだね、こんなところで。もうお家に帰らないとご両親が心配するよ。
そう声をかけられても、女の子は泣いたまま。
なにか悲しい出来事があったんだね。
ぐずっていた女の子はようやく口をひらきいて。
うちの猫がね、死んでしまったの。
そうなの? それは悲しいことだね。
紳士は女の子のとなりにすわって、
ねぇ、猫ちゃんは今どこにいると思う?
え、もう死んじゃったんだよ。
でもね、猫ちゃんがいなくなったわけじゃないんだよ。どこかで悲しそうな君のことを心配してるんじゃないかな。
女の子は不思議な顔をして。
ミィがどこかにいるの?
そうだよ。死んだからっていなくなるわけじゃないんだ。君の心の中にも思い出がたくさんあるよね。
女の子の表情がすこし明るくなって、
君がこうして泣いていたら、猫ちゃんも悲しいよ。いつも楽しく遊んでくれた人が元気がないと悲しくないかい?
女の子はこくりとうなづいて、
おじちゃん、ミィはどこかにいるんだね。
そうだよ。君の心の中にも、今もどこかで君のことを見守ってるはずさ。
女の子は赤い目をこすりながら、
もうお家に帰る。そこを曲がったところだから。
そう、気をつけてお帰り。
女の子は立ち上がり、ぺこりと頭をさげて、
ミィのためにがんばる。
そうだね。時に悲しいことだってあるよ。でも、元気をだしな。猫ちゃんもそれを願っているよ。
階段をかけおりて、女の子はまた振り返り、
ミィはよくないていたから。またどこかで声が聞こえるよね。
仲良しの君になにかを知らせてくれるはずさ。だから、上を向いて過ごしていてごらんよ。ミィの不思議な知らせがやってくるはずだからね。
想い出や記憶や約束を・・・・・
忘れずに心に宿して生きてゆく
いろいろな考えがあると思うのですが、こんな悲しみの中には自分で定めてしまった悲しみみたいなものがあって、それで心の負担をさらに多くしていることがあるのでは・・と。
今はずっと魔法を信じよう、そんな物語が書きたいとやってきているので、こんな作品になりました。
これからはちょっとユーモア色を多くしたいかなぁって気分です。またご覧下さい。
今日は七夕。星に願いをって感じの一日にしたいですね