欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

愛を射抜く誓い

2012-05-19 | une nouvelle
ねぇ、一緒に踊りませんこと?
そう言ってわたしの手をとりホールの中央へ誘った。
細い指先に感じる情熱の潤い。
仮面の奥の目がわたしを射るように見つめ、やがて、口もとのほほ笑みにわたしは・・。
踊りが上手なのは意外ね。坊やのような瞳、そのむこうにあるのは冷たい欲望かしら?
そう言いながら手を離し、人の中へ消えていった女性。

バルコニーで夜空を見上げる、うれいに満ちた横顔。
夜は嫌いなの。三日月や星がなにか話しかけてくるから。
そして、すっと体を寄せてきて。
人肌に触れられる夜は別だけど、あとは冷たい月あかりがわたしの友達かしらね。
肩に頭をのせてきて。
だれかがわたしを自由にして下さる、そう思って待っているのよ。
囚われた心を奪うような勇気。その人はどこにいるのかなって・・。

庭園に広がる花々。噴水のしぶきがあがる場所で立ち止まり。
昼下がりがわたしの一番の安らぎ。こうして太陽の下で建物をみているとすべてがとまって見えるから。
風が吹いて長いつばの帽子がゆれて。
あなたの心にある美しい輝きはいつ見せていただけるの?
強い日ざしにもゆるがない、その瞳の奥にある誓いを。
笑いながら、歩きはじめて。
約束を急いだりしないわ。でも、女にはわかるのよ。
男の中にある鋭い誓いがこの胸を射抜いてくれる日が近いことをね。


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2 Comments

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その鋭さは・・・ ()
2012-05-19 09:30:28
きっと美しく優しいものなのでしょうね。
凍ってしまった心が砕けて
やわらかな心に戻ればいいのに・・
囚われた心を奪うような勇気という言葉に
心地良いノスタルジアを感じます。
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Unknown (makoto)
2012-05-20 13:31:47
創作のブログをひらかれたようですね。
書いているうちにその心がより明るみを含むことをお祈りしています
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