欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

しあわせメリーゴーランド

2012-11-19 | une nouvelle
とある夜のこと。
ひっそりとした部屋のなかで、さびしい気持ちの男の子。
そんな時です。ちいさなキャンドルを持ってきて灯してくれたお兄ちゃん。
ほっこりとした明るい火を二人で見ているうちに・・。

メリーゴーランドにのっている男の子とお兄ちゃん。
楽しげに笑っているまわりの子供たち。
明るい金属音があたりのしあわせを呼び寄せて、まわっているそのむこうには不思議なきらめきが・・。
ふと気づくと、ちいさな人形が肩の後ろから声をかけてきたのです。

"やれやれいつまでまわってりゃいいんだ。
今夜は左回りだから、頭が痛くってしょうがねぇ。"
人形は眉間にしわを寄せて、
"あんちゃん、楽しくないのかい?"
男の子は答えられずにとぎまぎしてると、
"はは、だんまり決めこんだってその顔にちゃんと書いてあるよ。
しあわせを探しにやってきたって感じだな。"
メリーゴーランドはさらにまわり続けて、
"そうだな、人はとかく下を向きがちになる。
でもな、あんちゃん。そこはがまんして上を向いてなきゃだめなんだよ。
お天とうさんは見てるのさ。
やさしい笑顔でね、いつくしみのまなざしをこちらに向けてくれているんだよ。"
人形は鼻歌を唄いながら足をぶらつかせて、
"あんちゃん、楽しい日々は自分でつくり出していかなきゃならないよ。
まっとうな意見はご立派さ。
でもね、心が豊かじゃなきゃしあわせはやってこないんだよ。"
人形は立ち上がると、ジャンプして釣り棒につかまり、
"ここにあるものはね、ぜ~んぶ詩人の即興詩でできているんだ。
こんな素敵な世界を描ける力って何だと思う?"
人形はにたりと男の子の方を向きなおり、
"それはね、夢みる心さ。
大人になると忘れてしまうシロモノ。
まだ若い君の心にもほこりがかかりはじめているんじゃないかな?
夢見ることは大切なことだよ。そう、しあわせを呼ぶ笛のような役割をしているのさ。"


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