ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

個人的な中国との最初の摩擦

2010-10-20 21:10:41 | Weblog
帰り道、すっかり暗くなった。
家のそばまで帰ってきたとき、少し大柄な男性が、ジャージ姿でイヌの散歩をしていた。
じーっと私を見る。ジロジロ見る。

気持ち悪いなあ、と思ったら、その人は中国人だった。
大声で中国語の歌をうたいはじめたから、まず間違いないだろう。

なんだ、中国人か、と思ったときに、ジロジロ見られたのも合点がいった。
中国人の男性は、女性を頭から足先まで、とにかくジロジロ見る。
ぶしつけなくらい見る。
それが普通のようだし、特に意味はないようなんだけど、
たいてい、日本の女性は気持ち悪い、と思う。
久しぶりにその気分を味わった。

最近、中国人に対する印象がだいぶ変化していると思う。
同世代で、中国人留学生と交流したことがあるような人は、
「ここは日本なんだから、日本の文化や習慣を尊重すべきだと思った」と言う。
中国人は、あやまらないし、ひらきなおるし、他人に対してあまりにも非礼だと。

私が93年に北京に留学した時、クラスの女性教師にまず言われたことは、
「私の態度が、あまりにも中国人に対して非礼だ」ということだった。

理由はこうだ。
授業中、ある同級生のフランス女性が、中国は共産主義で男女平等な国だ、と言った。
私はまだ中国に住んで2週間くらいだったから、「へえ、そうなんだ」と思って聞いていた。
そのフランス人と中国人の女性教師は、
男女平等ということで、非常に意気投合したらしく、どんどん話が盛り上がっていった。
中国人の教師に「日本は男尊女卑でしょ」と言われたから、
「日本の男性は、ものすごく仕事を頑張っている。もし体力的な面で女性がかなわないとしても、
それはしょうがない部分もあると思う。男女分業という方法もある。
それに、そのおかげで日本は経済が発展したのかもしれない」と、
留学したばかりのたどたどしい中国語で言ったら、先生が顔色を変えた。
そして、急に、黒板に大きく縦書きで、「毛沢東主義」と書いた。

申し訳ないけど、笑ってしまった。
その直後、「中国人に対して非礼だ。中国共産党を全肯定しないなら、来るべきではない」と。

その女性教師は、結構有名な人だったらしく、
あとで他の中国人の先生にこのエピソードを話したら、
「ああ、彼女は、すごく共産党だからね」と軽く言われた。
そして彼女も次の学期は留学生のクラスを受け持つことはなかったので、
その後、構内でたまにすれ違う以外は会うこともなかった。
今日、ふとそのときのことを思い出した。

いまから振り返ると、どれだけ噛み合ない会話をしたのか、よくわかる。
これも若気のいたり。
それにしても、中国に着いてそうそう、新しい外国人だらけのクラスで、
よくもまあ、不自由な中国語を駆使して発言したものだ。その点は自分をほめる。