ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

引っ越したい

2010-10-11 18:39:36 | Weblog
団地に住んでいるのだが、上の階の子どもの足音がうるさくて、本当に困っている。
どうやら、お母さんと男の子2人で暮らしているようなのだけど、
都会らしく近所づきあいをしないので、よくわからない。
とはいえ、耐えかねてこれまでに何度か苦情の手紙&電話はした。

今日は、ほとほと参ったので、引っ越したいと思う。
でも、こんなうるさい家だと、売るのも大変だと思う。

で、しょうがないから、
上の家の人は、足音すら聞こえなくてとても静かだけど、全員が幽霊だったという怪談と、
このうるさい現状のどちらがいいかを考えてみた。
幽霊のほうがいいな、とすら思う。お化け怖くないし。
あとは、大きな音を立てる怪物が住んでいる、という怪談もありえる。
その場合は、たいてい人間が食べられていて・・・、うん、やっぱり怖くない。
あんまり文句を言って、男の子に恨まれるほうが、この先ずっと怖い。

おそらく、いま上の家では、兄弟によるプロレスかなにかが繰り広げられている。
子どもの叫び声も聞こえてきている。
こんな環境のなか、読める本は限られてくる。

『中国低層訪談録―インタビューどん底の世界』

10年くらい前のインタビューが多いので、いまは、また少し違ってきているだろうと
思うこともある。
あと、インタビューの対象が四川省の人たちなので、
沿岸部の出稼ぎ労働者など、日本人に比較的なじみが深い人たちへのインタビューは載っていない。

それでも、中国に興味があるのなら、読んでみると面白いと思う本だった。
私が一番面白かったのは、インタビュアーである著者の相づちだ。
日本語として読むと、かなり違和感のある相づちでも、
そのもとの中国語の表現を想像すると、テンポがよくてうまい!と思うことがあった。
中国語と日本語は、話の展開方法がまったく違う。
日本語だと失礼に思えるようなことが度々ある。
でも、そんな相づちが入ったあと、
インタビューは一気に加速し、核心へと迫って行く。

官僚の腐敗、文革と大躍進の結果の貧困、宗教の弾圧、
いろいろな実状が、この本によってあぶり出される。
よくよく考えると、中国は100年前、まだ皇帝がいて、
清という征服王朝に漢民族は統治されていたんだ。
そして、共産党を皇帝と同じように考えている人が、まだまだたくさんいる。
そして、文革によって、知識層が守ってきた多くの知恵が失われた。
奥が深い国だ。

引っ越すこともままならない日本の低層の生活。
私なりに爆発寸前ながらも、もう少し耐えてみる。
ああ、引っ越したい。