ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

選べない

2014-01-30 21:15:44 | Weblog
東京都知事選の期日前投票をしようと思い、
ニコニコ動画のネット応援演説を見て、すべての立候補者のスピーチを聴いた。

日本人というのは、プレゼンが苦手な国民だと改めて思うとともに、
国政の話、東京都の話を、きちんと分けて話せる人も少なく、
ついでにタダのノリだけの人も多くて、大丈夫かよ東京都!という気持ちになった。

これが世界で最大級の予算をもつ、地方政府のトップを決める選挙なのか。

上海在住の日本人だけで東京都知事選を行ったら、ダントツである人になるだろう。
さて、東京都民はどういう選択をするのか。
というか、選べるのかなあ。この中から。

外国との関係というときに、ほとんどの人が観光の話をするのだけど、
主に、中国人に来てもらってお金を落としてもらおうよ、ということなんだろうと思う。
いま新宿の百貨店には、中国語で「春節を新宿で楽しもう!」といったような
垂れ幕がたくさん下がっている。
中国からの個人旅行者は増える一方で、
羽田空港から新宿に向かうリムジンバスも、3分の1くらいは中国人だった。

バスの中で、子どもたちが大騒ぎしていたので、中国語で「静かにしなさい」と叱ったら、
周囲の中国人が、いっせいにこちらを振り返った。
バスの運転手さんと日本語で話していたのに、急に中国語で話したから驚いたのか、
まあ、それよりも、中国人の心に刺さる言い方で注意したからだろう。

こういうトレーニングを日本人もする必要があると思う。
そうしないと、日本の道路が中国みたいにゴミだらけになってしまうから。

ご相伴

2014-01-27 00:23:37 | Weblog
今朝、会社に行ったら、中国人の部下が「今日は、みなさんにご馳走します」と。
何かと思ったら、先日の忘年会で勤続5年の賞金をもらい、
それでご馳走してくれるということ。

昼休み、ちょっと高級な店に行き、なんと部署のメンバー5人分をご馳走してくれた。
悪いなあ、と思っていたら、ごちそうする当人がこう言う。

中国では、思わぬ収入があったときに、それをため込んではいけないと言うんです。
なるべくみんなと分け合うこと。
そうしないと、二度とそんなラッキーは巡ってこなくなるから。
だから、どんどん食べてください、と。

そういうときは、上司も部下もないらしい。
ガツガツ食べたら、非常に喜んでもらえた。
こういうときに遠慮してはいけないのだ。
ましてや、私は上司だから自分の分は払うよ、なんて言ってはいけない。

ちょっといいお店だったから料理が出てくるのが遅く、
昼休み終了時間に間に合わなかった。

ふだん遅刻を厳しく言う私だけど、こういうときはゆっくり味わうものだ。
そわそわし出した部下たちに、
「今日はいいよ。ありがたくいただこう」と言ったら、部下から、
「今日は社長がいるけど、呼ばれないですか? あなたが怒られませんか?」と。
「あ、大丈夫。もしなんか言われたら、急に具合が悪くなって休んでたことにするから。
 それに、ちゃんと話したら、社長だってケチなこと言わないよ」と答えておいた。

やさしい部下たちだ。

それにしても、中国人のみんなは、日本人が時間に厳しいって、
ほんとによくわかってるんだなあ。
なら、遅刻するなよ、と言いたくもなるが。

共通点

2014-01-26 01:47:16 | Weblog
買ってしまった。Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 60D

今年は、中国国内をたくさん旅行しようと思っているから。
というのは口実だ。
型落ちになって、安くなっていたとはいえ、
Amazonのタイムセールに、まんまと引っかかった感じ。

中国のネットショップもよくタイムセールをやっているけど、
こちらは、なかなか情報が集めきれなくて、中国人のようには活用できない。
ある日、大量の荷物が会社宛に届き、うきうきしながら受け取る中国人を見て、
ああ、タイムセールだったんだな、と知る感じだ。

さて、先日、中国人の同僚から「ちょっと相談が」と言われたので、
時節柄「転職ネタだな」と思ったら、案の定、転職に関する悩み事だった。

ある日系の大手企業から引き抜きの話が来たらしい。
すごくいい話だと思うし、いまの会社の仕事にすごく納得いかない部分もあるのだけど、
行く先は新規事業だから残業も増えるだろうし、
娘がまだ小さいからどうしたものか、という悩みだった。

最初、てっきり私が日本人だから、その日系企業のうわさとか、
知っていることを聞き出したいのかと思ったら、そうではなかった。

彼女曰く、中国人の同僚は思慮が浅く、目先の条件だけで一喜一憂する。
でも自分は上海人ではないから家事も自分でやらなければならないし、
オファーが来たのは嬉しいけど、もっとちゃんと考えてから行動したいんだ、と。

私には子どもがいないから、よくわからないけれど、
母がむかしよく言っていたことを思い出しながら話した。

子どもにとって、学校の勉強よりも大切なのは、両親、とくに母親との会話。
会話におけるクセや、言語的な論理力は、主に母親との会話で培われる。
そして何よりも、学校であった嬉しいことやイヤなことを、
母親に話すことを通じて、子どもは整理していく。
逃げない人間になるためには、親が逃げずに向き合ってあげることが重要。

それには、時間と心の余裕が必要。
母親が毎日遅くに疲れきって帰ってきたら、子どもは話しかけられない。
だから、何よりもお嬢さんを優先して考えたらいいんじゃないか、と言ったら、
はじめて自分とほとんど同じ考え方の意見が返ってきて、安心した、と。

人は仲良くなると、共通点ばかりを探し始める。

午年

2014-01-23 23:41:55 | Weblog
今日気がついてブルーな気持ちになったんだけど、
今度の日曜日は出勤日だった。春節休みを連休にするための調整。
相変わらずのことながら、
ほとんど仕事をしていない国家公務員が考えそうな暦だと思う。

でも、中国人はもうすぐお正月なので、いつもより少しウキウキしているようだ。
私は日本に帰ってもほとんど仕事なので、日本出張のような気分。
消費税が上がる前に買い物をしておこう。

来年(今年)は午年。
年賀状のモチーフで流行っているのは、馬の背中に札束が乗っけられている絵。

「馬上有銭」(馬の上に銭がある)は、
「馬上」が「すぐに」という意味なので、「すぐ金持ちになる」という言葉にかけられている。

明日は会社の忘年会で、外注先の人を呼ぶことになった。
総務部長に「1人追加です」と言ったら、「お金持ち? 景品は出してくれる?」と。
どんな関係かを聞く前に、まずそれかよ、と思ったけど、
上海人の発想なんてそんなもんだ。

ただ、上海人にもいいところがあって、あまりお酒を無理強いして来ない。

必殺技

2014-01-23 01:36:41 | Weblog
昨晩、不注意から急須がかけた。
そして今晩、不注意からその急須を落として、粉々に割った。

日本から持って来た急須だった。
すまぬ、という気持ち。
そして、私の身代わりになってくれてありがとう、という気持ち。

こういうとき、人間に対して行った非礼よりも
ずしっと心に響くのはなんでだろう。

今週一杯で会社をやめる中国人の90后スタッフが、
だんだん気が大きくなって私語が多くなった。
こいつ、こんな性格だったんだ、なめんな、という気分。

ついに今日は、私を飛び越して、向こう側に座っている中国人に対して
仕事と関係のない話を始め、相手が相手をしたくないのに「私は知ってる」という
自己顕示欲まるだしの話を始めたので、
「いまは仕事時間中です。失礼でしょう」と、
優しさのかけらもない口調で言ったら、
やばい、という雰囲気で、「対不起(すみません)」という言葉が返って来た。

その直後、ビックリしたうちの部のみんなが、私の顔色を伺った。

こういうセリフを言う時は、相手が日本語をわかるわからないにかかわらず、
日本語でぴしゃりと言うに限る。
この厳格な雰囲気は、中国人同士にはないもの。
ものすごいプレッシャーになる。

折り目正しいという言葉は、日本語でもあまり聞かなくなったけれど、
やはり、けじめは大切だ。
これこそが日本人の美徳を体現し、近寄り難さを醸し出す。

そして、とにかく泥臭く、金持ちは全員が成金の中華人民共和国の人民にとって、
「あなたは失礼な人間だ」=「あなたは、文明的でない」というセリフほど、
心にダメージを与えるセリフはない。

こういうイヤな言葉を、確実にピンポイントで中国人に対してくり出せるようになった自分を、
ちょっとイヤな気持ちで眺める。
そして、同じ調子で、日本人の同世代かんちがいしてる男性をやりこめると、
泣きそうな顔をされるのが、うざいなあ、と思う。

バス

2014-01-22 00:48:05 | Weblog
今朝、通勤でバスに乗ろうとしたら、
乗車口から、よぼよぼのおばあさんが降りて来た。

上海のバスは運転が荒いので、きっと後ろの降車用ドアまで回る勇気がなかったのだろう。
そう思ったので、おばあさんが降りてくるまで戸口で立っていたら、
後ろのおじいさんに突き飛ばされた。

おじいさんは、おばあさんの存在など気にせずバスに乗り込み、
おばあさんがおびえてしまったので、私はまた少し待った。

そのとき、乗車を待っていたのは、おじいさんと私の2人だったので、
それ以外にはさして混乱もなく、私は乗り込んでから、運転手さん付近の座った。

近くに、当該のおじいさんもいて、少しイヤな感じだったけど、
まあ上海のじじいなんて、そんなものだから、気にしまい、と思った。

おじいさんは、乗り込んですぐに、運転手さんの近くまで行って、
「このバスは○○に行くのか、着いたら声をかけてほしい」という話を、
すごい訛りで話し始めた。
どうやら上海人ではないようだし、標準語もあまり話せないらしい。

特に地名は、少し訛ると通じない。
運転手さんになんども聞き返され「わかった、そこについたら声をかけるから」と言われても、
何回言われてもおじいさんは納得できず、同じ話を繰り返した。

しまいに運転手さんは困ったような顔で、私のほうに「やれやれ」という視線を投げて来た。
でも、おじいさんへの応対は丁寧だった。
私は中国人ではないし、
正直言って、おじいさんが何を言っているのか、具体的な内容はほとんど聞き取れなかったから、
何もフォローしてあげることはできない。
運転手さんに、「お疲れさま」という意味を込めた笑みを返してあげることしかできなかった。

こういうとき、日本人も中国人も何ら変わりはない、と思う。
老いも不安も、そしてめんどくさいという気持ちも、でもお年寄りには親切にしようという誠意も、
誰もが平等に持っている。

今日の運転手さんは、運転ほどは、乱暴な性格じゃなかったようだ。

脱自虐史観に関して

2014-01-19 17:35:07 | Weblog
日本では、外国に留学したと言うと、
その国に興味があり好きだから行くのだ、と思うだろう。
ということで、中国に住んでいるなんて言うと、親中派と見られることもある。
最近の日中関係の影響を受けて、
日本人から、中国に住んでる日本人は売国奴だと言われることもあるらしい。
まあ、主にネット上でだ。

そういう話に触れるたびに、日本人は純粋だなあ、と思う。

私が知っている中国人で、日本留学経験および就業経験がある人たちは、
決して親日派ではないし、周囲の中国人もそんなふうには思っていない。
だから「この人は日本への留学経験もあるし、きっとフェアだ」と期待して、
支那事変の話を始めようものなら、その中国人からは猛烈にイヤな顔をされ、
日本ってさ~と悪口をさんざん聞かされるハメに陥る。ただし、過去のではない。今の悪口だ。
「あの人、日本人なのに、約束守らないよ!」と。笑える。

ただ、中国人の反応は当たり前だ。
彼らは「海外留学経験くらいないとね」という層に属し、
たまたま中国よりも日本のほうが進んでいる部分があるから、
見栄えがいいので日本に行っただけであり、決して、心底日本が好きなわけではない。
たまに、日本人になりたいと言う中国人もいるにはいるが、
理由を聞くと、社会福祉がしっかりしてて老後の不安がないから、と現実的な答えが返ってくる。

だから、私はもう中国人と過去の話をする望みは捨てたし、謝る気も全然ない。
なんか言われたら「そっか~歴史に詳しいんだね」と切り返してごまかす。
1949年よりも前の歴史は、中国にとっては古代史だ。

勝った人たちがいいように歴史を書く習慣を作って、かれこれ2000年以上。
中国人ほど歴史を信用していない人たちもいないし、
歴史に詳しいんだね、と言われた瞬間の彼らの顔を見ているうちに、
これは最高の皮肉になるのだと気がついた。

つまり、そういうことを言う人は、実体験ではないことに言いがかりをつけている。
単に、俺はお前より上だ、と言いたいがための方便として活用してくるだけだから、
相手にしないに、こしたことはない。

それよりも、ようやく労働者階級ができた彼らと、同じ目線で話すほうがいいだろう。
共産党よ。むかしは無理矢理に階級闘争を自作自演してきたけれど、いまこそ出番だ!
というときに、共産党幹部は資産家の仲間入りをしていたのでした、というオチ。
これほど中国人と盛り上がれる話題はない。

ただ、そういうとき、たまに中国人がポツリと質問してくる。何気ない感じでだ。

おそらく、おじいさんやおばあさん、またはその上の代の人が、戦前の日本人と接したことがある。
どうやら家の中でこっそりと伝わっている日本人評には、
表向きの歴史とは全然違う好意的なものもあるようだ。
それに、80年代以降の若者は、日本のアニメにも触れているので、日本のよさも結構知っている。

で、聞かれたこっちが、左翼で歪められた日本史しか知らないのだから困ったものだ。
一度、距離感がつかめず、私が戦前の日本人をあまりよく言わなかったら、
本当に困った顔をされたので、じゃあ、ちょっと日本を弁護していい?と話を繋ぐと、
うんうん、そういう話が聞きたかった。だって、日本人は約束を守るし、きちんとしてるし、
それは過去の日本人もそうだったと思うから、と。

こんなときに、GDPが、なんて言うと、いい感じにヒートアップする。
日本を抜いたなんて言ってるけど、私の生活水準は、明らかに日本の平均水準より低い!
中国人の態度なんて、非文明的もいいところじゃない! みんな政府の嘘!
特に上海人最悪!と言い出す。
上海人は、気の毒になるほど、本当に嫌われている。

だから、中国人のおかげで、私は本格的に自虐史観を捨てることになった。

日清戦争からすでに百年以上が経過したのだし、そろそろ比較的近い「古代史」を
違う眼で眺めてもいいじゃないか。

この土日に読んだ2冊。
『真実の中国史 1840-1949』『真実の満洲史 1894-1956』(宮脇淳子著)

宮脇さんへのインタビューを編集部がまとめたものなので、文体は話し言葉に近く、
大学の講義を聴いているようにわかりやすい。

ただし、ところどころに、某国を「本当にひどい」と言ったような、
話の流れに出てくる感情的な主観が織り交ぜられており、
きっと編集部の方針なんだろうとは思ったが、内容がいいだけに、すごく残念だった。

こういう感情的な言葉は、ブログで出すならいいけど、書籍では大人げないと思う。

むかし中国の書籍は、読み手は書き手よりも博学で賢いという立場で編まれた。
みんなが当然知っていることや、当然もつ感情は省略された。
だから、行間を読む、という言葉ができたんだ。

最近、日本で発刊される脱自虐史観の本は、それなりに面白いし、
内容もよく調べてあって、全体的な方向性としては賛成なのだけど、
この「行間を読む」部分に触れるあたりが、ちょっと下品だと思う。

中原

2014-01-19 03:17:20 | Weblog
性懲りもなく、古代史の本を読んでいる。
古代史と言っても、日清戦争から1949年までの東アジアの歴史だ。
あえて、中国とは言わず、東アジアと言う。

中華人民共和国は、1949年に成立宣言をし、
現在、中国の学校では、1949年よりも前の歴史はすべて「古代史」という
分類になっている。

日本人にとっての古代史は、縄文時代くらいのイメージだけど、
マルクス主義では、解放前の封建的社会は、すべて「古代」になる。

日本が縄文時代だった頃に、中国は素晴らしい青銅器を作ったりしていたわけで、
しかも、その素晴らしい青銅器を作った人と、
現在の中国人の多数を占める漢族は、おそらく血縁関係が薄いだろうと思うので、
中国は奥が深いと思う。
が、中原が幾度も破壊的な戦火にあえば、そんなもんだろう。

いにしえの青銅器の技術は、現代のそれを凌駕する技量だということなので、
歴史というのは一方方向で流れるものではない、と言え、
すでにマルクス主義の歴史観を、中国自らが覆しているという面白さがある。

まあ、中国人は誰も、中国を共産主義国家だと思ってないわけなので、
彼らからすると、どうでもいいのだろうけど。

最近、会社がすごく重い。
今日は、歴史の本を読みながら、頭のバックグラウンドでその理由を考えていた。
こんな時間になって具体的にかたちになったのは、あるひとつのこと。

会社でいま、1人リストラしようとしている。
その人は、私が中国関連の本を読むと、必ず浮かんでくる顔だ。

魯迅の小説に出てくるような、卑屈な性格で、
きっと通州事件や南京虐殺(中共が喧伝してる大虐殺じゃなくて、日本人が殺されたあれ)を
思い描くとき、必ず中国人暴徒の顔として、彼の顔が浮かぶ。

それは、一昨年の反日デモのときに、
回って来たアジビラに熱のこもった眼をしていた彼だ。
あのとき私は「行きたかったら行けばいいよ、別に止めないから」と言った。
結局、彼は行かなかったけど、ずっとネットでデモの応援をしていた。

彼は、その実、日本がすごく好きだ。
学生時代は留学したいと憧れていたらしい。
でも、長男のために両親が留学をゆるさなかった。
ちなみに、いろいろと違法なことを村長さんとつるんでうまくやる家柄らしく、
一人っ子ではない。
中学時代から上海に住んでいるが、戸籍は中原の貧しい地域だ。

彼の屈折は、正直言って、私にはぜんぜんわからない。
でも、逆恨みされるだろうという、何とも言えない確信はある。
この得体の知れない恐怖は、日本ではあまり感じることがないたぐいのものだ。

要は、人間関係の悩みなのだけど、
実は彼だけでなくて、中原出身の人は、結構苦手だ。

なんとなく仲良くなれるのが、早くに門戸開放された中国の沿岸部の人たちや、
東北部(旧満洲)の人たち、また1949年以降に中共に侵略された民族の人たちで、
いわゆる中原の人たちとは、なかなか仲良くなれないんだなあ。

ローカル気分

2014-01-18 10:16:12 | Weblog
15日(水)の朝、上海地下鉄2号線が止まった。
ちょっと寝坊したので、バスじゃなくて地下鉄にしようと思った日に限って。

牛歩のように進んで行く地下鉄を、ホームから見送る。



構内放送では「みなさん、我慢して待ってください」としか言わず、
正常に戻る見込みや、正常に戻った後の放送もない。
そして、ダイヤが大幅に乱れてしまったために、
本来停まるべき駅をスキップして運転したりするので、大混乱だ。

だが、中国人は慣れているので、怒りもしなければ、動揺もしない。
わたわたしているのは、約束の時間に間に合わなくなった日本人くらいだ。
文明の利器をもっても、運用が中国人なら、やはり中国風になる。
そして中国でも、日本人は日本人のままだ。

上海の中心地、人民広場の近くにある企業を訪問するため裏路地に入ったら、
とたんにローカル気配が充満。



クルマが走る通りに面したところで、肉や内臓をその場で解体しながら売っている。
むかしはよく見かけたけれど、最近はスーパーが増えたので、めずらしくなった風景。
にぎわっていた。

そして、昨日使った新幹線の昆山南駅。
上海から新幹線で20分くらいのところにある駅で、駅の入り口に扉がないため、
風が吹き抜けてゆき、待合室は冬は寒く、夏は暑い構造。
屋根があるだけマシだね、という感じだ。

長距離列車の切符を買うには、中国人は身分証、外国人はパスポートを提示しなければならず、
外国人は、自動券売機で買えないため、窓口に並んだ。
いまは、春節休みの切符を購入するための人で長蛇の列。

そして、窓口には具合が悪くなるような、緑色の変な光。
ふと、電光掲示板の案内を見たら、
「ごはん時間12:00-12:30 勤務時間7:15-19:45」の表示。



交代制を敷いているのなら、お昼ごはん時間なんて、書かなくていいじゃん。
そう思って、窓口の中をのぞいたら、「暫停(ちょっとおやすみ)」の立て札。



どうやら、やっと順番が回って来たと思った瞬間に「暫停」を出され、
他の列に並び直すよりも30分待つほうが早いと判断した人たちが、じっと待っていた。
すごい忍耐力だ。

ほとんどの人が、楽で安定、給料は低いもののいろいろな現物支給があるから就いたいと思う
国有企業の仕事。
でも、コネがないとなかなか入れない。

確かに、いきなり30分待たされるよりも、待たせる側になりたいと思うのは、
人間の普通の心理だろうなあ。

ケチ

2014-01-17 23:35:33 | Weblog
最近、やる気が出ないという話をしている過程で、
日本の友人が「春節あけたら、戻ってくるかねえ」と言うので、
「うちの中国人たちは、まあ戻ってくると思うよ」と答えたら、
「え、何の話? あなたのやる気の話だよ」と言われた。

中国で、春節あけに戻ってくるかどうかと言えば、
それは、中国人スタッフのことだ。
故郷に戻ったまま帰って来なかったり、いなくなってしまう人もいるから、
ボーナスをわざと春節後に渡す会社もある。

中国人にとって、おそらく一番バカにしている悪口は「ケチ」。
あの人と出掛けるといつも割り勘だ、とか、
部下に建て替えさせた、などは、最悪の悪口だろう。
人として付き合ってもらえなくなる。

会社でも、一番よくないのは、結果が平等であること。
ボーナスが一律1ヶ月とか、昇給が一律などというのは、
最悪の結果をもたらす。

どこの国でも、誰であっても、もっと自分を評価してもらいたい、と思う。
そして、中国人は直截的なので、なんで私の評価があの人と同じなのか、と詰め寄られる。
そんなときに、会社というのはみんなで助け合うものでしょう、などと答えたら最後だ。

そのセリフが出た瞬間に「辞めます」となる。
結果の平等は、経営者がケチだということであり、
人を見る目がなくて、自分で判断できない弱虫だと言うことになる。

経営者の一番の責務は経営を安定させることであり・・・云々、も言っても意味がない。
そんなことは当然出来た上で、部下をちゃんと管理できるくらいの
スーパーマンであることが求められる。
自分でやりきれないなら、私を取り立てて任せてみなさいよ。
もっとお給料が欲しいから、もっと頑張るわよ、ということだ。

中国人は口が立つので、実際にやらせてみるとぜんぜんできない人も多いけど、
ここは中国なので、日本人が下手にあがくよりも、成功する見込みは高いだろう。

日本人が陥りがちな罠が、中国にはゴロゴロしている。