ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

満ちてくる

2010-10-19 23:46:33 | Weblog
ラフマニノフの「交響的舞曲」を聞いている。
CDラックに10年くらい鎮座していたのだけど、
伝記を読んだ影響で、久しぶりに聞いてみる気になった。

霧が立ちこめた湖のほとりに立っているような気分だ。

当時の一部の評論家が書いたように、
細部にこだわったら、何か他の曲の真似に聞こえるかもしれない。
でも、私はラフマニノフのフィルターが好き。
どこかで受けた影響が、
彼なりの美意識によって再構築されているから、好きなんだ。

なんでだろう。
全然関係ないのに、急にヒッチコックの「レベッカ」が観たくなった。
バレエのジゼルもいい。

チャイコフスキーの姿がちらりと見えて、
リムスキー・コルサコフの後ろ姿がのぞいた。

なにかが満ちてくる。

やばい、このままだと眠れなくなる。

好きな写真

2010-10-19 20:11:33 | Weblog
ある画家さんに、約40年前、アフガニスタンに訪れたときの写真を見せてもらった。
「写真の色はウソをつくから」ということで、ほとんどがモノクロの写真の記録だった。

バザールや馬に乗った男たちのお祭り。町の遠景。
荷物を運ぶラクダやロバ。
モスクでお祈りしているところの写真がなかったのは、
きっと彼らの祈りに対して敬意を表したからだろう。

すごく豊かでゆったりとした時間が流れていた。
確かに日本と比べたら、粗末な家かもしれない。
でも、とても美しい土地だった。

いい写真、好きな写真が多かった。
見ているうちに時間を忘れた。
なんでこんなに引き込まれるのか、と思って、ふと気がついた。

写真の中には、必ず人がいた。
現地の人が着ている服は、粗末なものが多い。
馬に乗っているうちに裾がほつれてしまった上着や、
砂ぼこりにまみれているようなターバン。
そして、抜けるような白目と大きな黒目で真っ正面から見つめる瞳。
本気で馬を駆り、お祭りに興じる人々。
小さくても、どこかに必ず人間がいた。
大地と一緒に生きる人々が写されていた。

この人は、人間が好きなんだな。
人間に興味があるんだな。

そう思ったときに、私もそうだ、同じだ、と思った。
外国に行ったら、バザールとか八百屋とか肉屋に行く。
日本では便宜上スーパーを利用しているけれど、
本来はもっと雑多なバザールが、市場が好きだ。
誰から何を買うのかがはっきりしている、そんな取引が好きだ。

まだ、デジカメがない時代、フィルムで撮る以上、
タイミングも構図も、しっかり狙っている。
その瞬間にこめられた躍動がダイレクトに伝わってきた。
その画家さんの絵画を見たことはないのだけど、
写真を見ているうちに、ぜひ絵画も見てみたいと思った。