ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

怒りについて

2009-09-30 21:15:35 | Weblog
他二篇(『摂理について』『賢者の恒心について』を併録)、セネカ著、兼利琢也訳、岩波文庫。

怒っていた時間を後で振り返ると、
無駄なことをしてしまったなあ・・・、とよく思う。
だから、なんとか「怒ってしまう自分」をコントロールできるようになりたい。

そのヒントがあるかもしれないと思って、読んでみた。

著者のセネカは、およそ2000年前のローマの哲学者。
生きた時代も社会も土地も、ぜんぜん違うけど、人は変わらない。

怒りが起こって来たら、まず保留にしてみる、と。
よくよく考えてみなさい。じきに死ぬ運命なのだから穏やかに、と。

そりゃ、そんなふうに達観できれば苦労はないさ、と突っ込みつつも考えてみる。

そもそも、頭でコントロールできないから「怒り」なのだと思う。
そして、私のなかで「怒り」がやってくるとき、
対象への単なる怒りではなく、コンプレックスや隣人へのねたみや、
なんだかんだと、いろんな負の感情が瞬時にミックスされて爆発している。

どうして、私にばかりこんなイヤなことが起こるの!
というのが、怒りのもとのようだ。

こうなると、「怒りについて」という本ではなく、
もっと違う切り口の本も読んでみるべきだろうと思って、
読み終えたいま、また仏教の本に戻っている。

最近「嫉妬」というものを、よく考える。
「女」という字がくどいくらいについた熟語だ。
他人は、自分よりもラッキーに見える。
だから、「どうして私だけ」となる。

ポジティブな人って、どんな人なんだろう。

やもり の その後

2009-09-29 21:11:52 | Weblog
上海から帰って来たら居着いていた「やもり」。
その後もずっとうちにいた。

メスだった。

なぜメスだとわかったかというと、もちろん
卵が産みつけられていたから。

どうもお腹がメタボっぽいと思ったんだ。
ある日、ふと見ると、スレンダーになっている。
やもりがダイエットなんてするわけがないけど・・・、
一時、思考をストップしていた。

週末に台所の掃除をした。
下水の蓋の裏側に、黒くて小さなつぶつぶがいっぱい付着していた。
たぶん、卵だったと思う。これまでに見たことないけど。

最近、うちの台所用洗剤は、無添加で微生物入り。
人間にやさしい、ということは、やもりにもやさしい。
毎日、食器を洗っていたにもかかわらず、逃げて行く気配はなく、
逆に、居着いてしまっていた。

でも、うじゃっと子やもりがいる台所は、やはりがまんできない。
想像した段階で、卵は流させてもらった。

さ~て、すっきりしたぞ、と思い、
シンクの上に一時退避していたやもりに目をやると・・・、
彼女は、シュンとしていた。
一目見てわかるくらいに。

ショックだった。ものすごく申し訳なかった。
たかだか「やもり」だと思っていたけど、
彼女は、我が家と子どもたちを守っていたのだった。

なぜ感情がないと言い切れるだろう。
もしかしたら感情と言えるほどのものではないかもしれない。
でも、何かを感じ取ることは当然ありうる。

ああ、申し訳なかった。

そうはいっても、もう止まれない。
その後、すっかり元気をなくした彼女も、
ティッシュでつまんで、外の芝生に逃がすことにした。

長期的に見たら、自然のなかで過ごす方が、彼女にとってもいいかもしれない。
でも、安全な家を求めて、うちにやってきたんだよね。
卵と一緒に外に出すとか、もう少し考えてから行動すればよかった。
本気で落ち込んだ。

ああ、でも来年また来たら、どうしよう・・・。

そして、夜・・・、
「家守」がいなくなった我が家の台所に、ゴッキーが出た。

彼女は本当に、やもりだったのだ。

ラフマニノフ 交響曲第2番 その3

2009-09-28 20:14:22 | Weblog
昨日、はじめてラフマニノフの交響曲第2番を生演奏で聞いた。

涙が出た。

コンサートホールで涙が出ると困る。
涙だけならいい。たいていは同時に、違うものもたれてくる。
いろいろと音が出そうになって焦る。
まあ、それは置いておいて。

ラフマニノフを聞いているといつも「人生」を感じる。
大げさだけど、そう思う。

ラフマニノフの旋律には、とてもクセがあると思う。
常道どおりには展開しない。
決して聞く人をホッとさせてはくれない。

さまざまなをフラストレーションを抱えつつ、
旋律のなかにはとても美しい一瞬が見え隠れする。
でも、高らかに響くことはない。
最高潮にひろがるまえに、シュッとすぼまる。

そして、涙が出て来る。

人生には、いろいろと悲しいことや、思いどおりにいかないことがあるけれど、
誰かを妬むのでも、何かを否定したり自分を卑下するのでもなく、
まっすぐに顔を上げてみよう。
ただ、それだけはできると思う。

そこに流れる旋律は、まるで雪どけの水蒸気の向こうにきらめく日の光のよう。
多くの屈折をもって、なお美しい。

まだ生きることができる、そう思った。

どんくさい

2009-09-27 00:01:16 | Weblog
DSでマリオカートをやった。友人、コンピュータと対戦した。

どんくさくて、お話にならない。

遺伝的には、父に似ていればゲームは上手いはず。
あの人は、どんなに仕事が忙しくても、徹夜でゲームの技を極める人だったから、
たいていは、周囲の人から尊敬されていた。ゲームについては。

母に似ていれば、ゲームなんて見たくないくらい嫌いなはず。
上手い下手ではなく、時間の無駄だ、という考え方だった。
だから、私は小さいころ、テレビゲームをさせてもらえなかった。

大人になってからゲームをするようになって、
私はどちらかというと、父に似ていると思った。
でも、俊敏さを求められるゲームはまったくダメ。
いっぽうロープレは、要領よく進めすぎて肝心なときに経験値が足りなくなることが多い。

マリオカートは、単純ながらも、選ぶカートやキャラクターの個性の相性によって、
いろいろとドラマチックな展開になる。
うまくできたゲームだと思う。

でも、どんくさいから、楽しみきれない。
はがゆい。
そして熱中しすぎると、頭の中が冴えてしまって、夜、眠れなくなる。
ある種の中毒症状になる。

今日、久しぶりにベランダに出たら、
外に植えられている萩の木に、白い花が咲き始めているのに気がついた。
もう秋なんだなあ。
一年で一番好きな季節がやってきた。

風に揺られる萩の花に、小さい蝶たちが戯れている。
それをボーッと見ている方が、性にあっている。

あこがれていたこと

2009-09-25 22:04:25 | Weblog
私は農業に、ものすごいあこがれがある。
都会育ちだから現実を知らない、と言われれば、それまでだけど。

もし田舎特有の濃い人間関係さえなければ、農家になりたいところだ。
ただ、その濃さがなければ、農業はできないのだろう、と思うので、
今のところあきらめている。

今日、はじめて、植わっている状態の稲穂に触った。
というか、田んぼに入ったことがはじめてだ。

いいにおいだった。
思わず落ち穂を食べてしまった。

誤解を恐れずに書くと、農家のおばちゃんになりたかった。
私の想像する農家のおばちゃんは、こんな人。
自分の目の届く範囲で固まっている。
それを当然のこととして、お嫁に行って、子どもを産んで、
家とその周囲のすごく小さな社会を全世界として、井戸端会議をして暮らす。
実際の農家のおばちゃんが読んだら怒るかもしれないけど、こんなイメージ。

私は、都会で、わりと自由な感覚の両親に育てられたと思うけど、
いま、すごく疑問に思うことがある。
よく「自分の頭で考え、判断し、主体性をもって生きろ」と言われた。
そして、そうあろうと、とても努力して来た。

でも、考えれば考えるほど、「私」という主体なんてどこにもない。
自分の頭で考えて判断しているように思っても、
何かを模倣しているし、独創性なんてない。
すべて何かの焼き直し。

地球上には、これまでものすごい大量の人間がいたのだから、
そのすべてを集めたら、幸せも不幸も、オリジナリティなんてどこにも見つけられない。
実際、精神的な自由なんてどこにもないとすら思う。

それなら、目に見える範囲のことに、すべての愛情と感心を向けられる人生のほうが、
本当は幸せなのではないかと思う。
そして、それを体現しているのが、私の勝手なイメージでは農家のおばちゃん。

そこまで考えたところで、
私の場合は、この自分自身に対する嫌悪感がもう少し解消されないかぎり、
何もひらけないと、改めて思った。

いちばん大切な時間

2009-09-25 00:12:48 | Weblog
私にとっては、1人でボーッとする時間が、いちばん大切。

つくづく、本当に無為な時間の過ごし方だと思う。
普通の人は、あれをやろう、これがやりたい、と、
きっと、もっといろいろな欲求がわいてくるのだろう。

そして、そういった欲求を持てる人が、
何かをうみだすことができるのだろうと思う。

でも、私は、ただただ虚ろである時間が一番たのしい。
自分の血も、肉も、皮膚もなくなったかのように静謐になり、
その場で聞こえる音や波長に、
ただただ揺られているだけの時間が一番いい。

幼い頃からそうだった。
だから、なかなか宿題は終わらない。
勉強はしないし、課題もやらない。
一日中でもボーッとしていられる。
そして、母に怒られた。

今日は、通勤の満員電車のなかで、
昨日読んだ維摩経の内容を反芻し、
身近なことに置き換えて考えてみようと思った。

そうしたら、いつの間にか思考が中断して、
ひたすら自分が透明になったような錯覚に陥って、
ほんの少しの時間だけど、頭の底からボーッとした。

生産性のない時間の過ごし方だから、本当に自分が情けなくなるけれど、
もっとこんなボーッとする時間がほしい。
それで金銭的に貧しくなるのなら、それでもしょうがないか、と思い始めた。

ふと思い出すとき

2009-09-24 19:29:09 | Weblog
今日、ある入り江を散歩する時間があった。
入り組んだリアス式海岸で、小さな窪みに波がちゃぷちゃぷとあたっていた。

むかし、こんな入り江が欲しいと思っていた。
タタミ2畳分くらいでいい。
静かに座って、ずっと波の音を聞いていたいと思った。

ずっと忘れていたけれど、久しぶりに思い出した。
当時もいまも、どうしたらプライベートビーチを手に入れられるか、なんて、
真剣に考えたことはない。

でも、私の空想の中の入り江では、いろいろなお話ができていた。
そんな断片を少し思い出した。

その後、田舎道で廃線のあとを見つけた。
背の高いピンクのコスモスとすすき、そして、周囲は黄金色に染まった田んぼ。
とてもいい香りが満ちていた。

廃線のあとって、どうしてこんなにドキドキするのだろう。
ずっとずっと歩いて行きたくなる。
そういえば、むかしはよく、電車に乗ってどこかへ行くお話も空想していたっけ。

大人になって行動力ができて、
いまは、いろいろなところに実際に行けるようになったけれど、
空想で旅をすることを忘れつつある。

今日は、心の世界を思い出すきっかけがたくさんあった。
そして、地味にわくわくした。

よくやるよ

2009-09-23 21:12:18 | Weblog
いま、久しぶりにテレビでドリフターズを見ている。
昔の全員集合。

いま見ても面白い。
オチがわかっているのに笑える。
すごい。本当にすごい。

コントの途中に、他のメンバーが「よくやるよ~」という顔で、
微妙にうけているのが、また面白い。

それに、小学生時代にはよくわからなかった
かすかな下ネタも、いまになると改めて笑える。
なるほど~、親はこれにウケていたのか、と思ったりする。

みんな若いなあ。
ああ、DVDも買ってしまおうか。

はやくお家のコントをやらないかなあ。
「志村うしろ~」とか、「カラスの勝手でしょ~」が見たい。
久しぶりに、何も考えず、本気で笑っている。

最近のお笑いもいいけど、この計算されつくしてるけど単純なコント、
それに天然が絡まっている感じが、なんだかとてもいい。

それにしても、昔の裏方さんたちは大変だ。

みっともない

2009-09-23 19:06:23 | Weblog
今日は、私なりに「みっともないな~」と思ったことが2つあった。
自分のことは棚に上げて、他人の行動について。

1つめ。
京王線での帰り道。とある駅で停車したとき、いきなり「ど~ん!」と震えた。
絶対、誰かが電車に飛び込んだんだ。事故だ、と思った。

電車の扉が開いてみると、すぐ外で、大きな大きな和太鼓が鳴っていた。
お祭りだったらしく、ホームのすぐ横に和太鼓が設置され、
向こう側から、思い切り叩いていた。
そのたびに、「ど~ん!」と電車が震える。
正直怖い。逃げ場がない。

電車が停まっているときくらい、叩くのをやめればいいのに。
自分たちのことしか考えていないんだなあ、と思った瞬間。

2つめ。
スーパーのレジで、おじさんがレジ係の人に難癖をつけていた。
本当に難癖。
そして、しまいには「あいつをクビにしろ!」と大騒ぎ。

私の隣に立っていた違うおじさんが、「大声を出すな。迷惑だ」と言うと、
「だまってろ。うるさい。お前には関係ないだろう」と言い返す。
そして、「いや、関係あるんだ。だまれ」と応酬。

客だからって、何でもゆるされるわけではない。
客である前に、人間なのだから。いい大人なのだから。

感情のリミッターがはずれるような瞬間は、よくよく気をつけなきゃなあ、と思った。

でも、たまには、大騒ぎしたいし・・・、
さて、私はどうしようか。

たまに、なら楽しい

2009-09-21 08:49:06 | Weblog
この週末は、友人のホームページのリニューアルを手伝っている。

やろうと思えば、ネットに材料は転がっているし、
ソフトもいろいろあって便利だ。
でも、仕上がりが素人っぽい。
プロっぽくなる境界線は、とても微妙で、なかなか越えられない。

ただ、友達と、あーだこーだ言いながら作るのは楽しい。
これが仕事になると、きっとつらい。

何事も仕事になると大変だ。

昨晩は、せっかくの休みなのに、仕事をしている夢を三本立てくらいで見た。
しかも、不幸せ系ばかり。
もっと、いろいろと日常を楽しめる性格ならよかったなあ。