ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

くちびる

2012-08-31 00:29:46 | Weblog
朝、通勤でバス停に行ったら、野菜を売っていた。



いつもバス停の脇で野菜を売っているおばさんたち、
どうやら暑さにたえかねて、
屋根があるバス停に非難して来て→ベンチも占領して→野菜を売っているらしかった。

相変わらずのズーズーしさ、というか、自由な発想。

少し疲れがたまったのか、今日、口唇ヘルペスが出た。
先日は会社の先輩(日本人)が口唇ヘルペスになっていた。

でも、中国に来て、口唇ヘルペスになった中国人を見たことがない。
免疫力が落ちるほど、ストレスもためなければ、仕事もしないということなんだろう。

中国人を見ていると、子を生み育てるために自分も生まれて来た、と、
ふつうに信じられているようなところが、すごいなあ、と思う。

稚拙

2012-08-28 23:04:28 | Weblog
インターネットで知り合った見ず知らずの人からも、
「中国大丈夫?」と聞かれるようになったので、
日本で報道されている中国は、本当にひどいんだろうなあ、と思う。

でも、上海はいたって平穏。
毎朝、通勤のバスの中で日本語の本を読んでいても、
周りはぜんぜん気にしない。
これは93年の留学時よりも、中国人が日本人に慣れたことを物語っていると思う。

もしいま、私が東京に帰って、
電車の中で中国語の本を広げたら、
きっと、さーっと日本人は離れて行くのじゃないかと思う。
実際、日中関係がよい時期であっても、
日本の公共の場で中国語の本を読んでいると、
たとえ混んでいても周囲にスペースができるので、わりと便利だった。

中国は広いので、漢民族の住む地域であっても、
小さい国がたくさん集まっているようなものだ。
北京、上海、広東、西安、成都、どこも全然違う。

そんな雑多な人が住む国を「共産主義」という名の下に束ねようとしたわけだけど、
もうこの国で「共産主義」だと思う瞬間なんてほとんどない。
商品を投げてよこしたり、笑顔を見せるのは損だと思っている店員がいたりと、
本来の「共産主義」とはまったく関係のないところで、感じることはある。

どこにも団結はないし、平等もない。
格差は広がる一方で、いまの20代は、どんなに頑張ったって、
親が金持ちじゃなければ、たぶんマイホームなんて持つことができない。
そして親に買ってもらったマイホームに住む20代は、
永久に自分の財産となるわけではなくて、
70年経ったら国に返さなければならないのは変だ!と言う。

どこの国にも不満はある。
ただ、その不満を出すやり方が、中国人は稚拙なことが多いと思う。
仕事の上でもそうだ。

でも、日本人の態度も、決して稚拙でないとは言い切れない。

たまに救われる

2012-08-27 23:41:56 | Weblog
ようやく仕事関連の本を読み終わった。
読む気になれば、そんなに時間はかからない。
でも、読み始めるまでに時間がかかる。

見本市の会社の社長さんが書いている本なんだけど、
こういう人は、本当に誰かを感動させるツボを心得てるなあ、と思う。
書き方のテンポが、すごくうまい。
こんな人に営業で来られたら、すぐ「買います」と言ってしまいそうだ。

さて、本日の昼食。
中国人の同僚と一緒だった。

彼いわく、
「日本は戦後、たくさん中国のインフラを整えて、十分に戦後補償をしてくれたのに、
 空港だって、日本のODAでしょう。
 なのに、中国人はすっかりそんなことを忘れて、日本に八つ当たりしてる。
 いまの中国の不満を持ち出して非難するなんて、お門違いだよ」と。

彼は20代後半だ。
「でも、こんなことを自分の友だちに言ったら、お前はおかしい!と言われちゃう」とも。

中国人と話していても、大半はムカッとくるけど、たまにすごく救われるときがある。
80后中国男子、がんばれ!

ラクチン

2012-08-26 23:50:25 | Weblog
中国に来て一番よかったと思うのは、
土日にまったく仕事のことを考えなくなったことだ。

もちろん忙しいときには、土日に仕事もする。
でも、オンとオフのスイッチがはっきりしているので、
仕事の時間帯以外は、完璧に頭を切り替えることができる。
日本にいた頃のように、
寝ても覚めても仕事の段取りを考えてことはなく、
自分の時間に全力を振り向けることができるようになった。

総じて、ラクチンになり、集中力と体力は増したと思う。
ただし、年相応に物忘れも多くなった。
だからプラマイ0。
とはいえ、幸福感は上がったから、やっぱり上海に来てよかったなあ、と思う。
仕事の面では。

あとは、中国人のマナーがもう少し上がってくれたら、
買い物をするときや、レストランでの態度や、
公衆トイレの使い方等がもう少し「文明化」されたら、
本当に居心地がよくなるのになあ、と思う。

こういった精神性は、すぐに変わるものではなく、
少なくても3世代くらいの時間が必要。
それも、その価値観が育ったら変わる可能性がある、というだけだから、
変わらない可能性のほうが高い。

本当にこの国に、遣唐使・遣隋使が、勉強しに来ていたのかなあ。

中国の80后

2012-08-25 00:35:55 | Weblog
「80后バカ女め!」

と、思わず仕事中に叫んでしまった。
そしたら、周囲の中国人男性が「そうだ、そうだ!」と囃し立ててくれた。

あまりにもバカらしいので、もうこの先思い出したくないから、
ここで吐き出して、スッキリ忘れる。

仕事で、不特定多数に見せることを前提に写真を撮った。
そしていざ配布するよ~、というときになったら、
「太ってるからはずかしい。顔を細く加工してくれ」
「セーターの袖が右腕と左腕で長さが違ってはずかしい。修正してくれ」
と、言い出しやがった。

本人が目の前にいなかったのが残念だのだけど、
そこにいた全員で、
「じゃあ、痩せるの待つから、さっさと痩せろよ」
「お前以外の誰も袖なんて見てねーよ、ばーか。自意識過剰!」
と、大盛り上がりを見せた。

そんなバカみたいなことで、ギーギーギャーギャー騒いでるのに、
それをそばで見てみぬしている、日本人駐在員の事なかれ上司が一番悪い!
そう、ここで一番悪いのは、日本人のオッサンだ!

ということで、もうその会社の製品は、二度と買うのをやめようと思う。
が、そもそも、ほとんど買ったことがないことに気がついた。
そもそも、その会社のファンじゃなくて、よかった。

周囲の中国人に聞いたら、まあ、80后のお嬢様なんてそんなもんだ、と。
いい大学を出てるかもしれないけど、自己中きわまりないとか。

ホッとする。
13億いるうちの、約半分が女性。
それがみんな賢かったら、エリート層の女性がみんな賢かったら、
次の世代も賢くなる確率が高い。
でも、そんなお母さんだったら、まあ、まだまだ日本は大丈夫。

夏休みが恋しい

2012-08-22 23:43:49 | Weblog
ああ、やはり今日も、本を持って帰ってくるのを忘れた。

いま読みかけの本が面白いから、もうこれはしょうがない。
仕事中、サボっていないだけマシだという気もする。

中国にはお盆休みがないので、夏休みはない。
そろそろ暑さでバテて来たので、会社の中国人に、
「どうして中国には夏休みがないの!」と言ったら、
「学生はあるよ」と、笑いながら言われた。

だからと言って、もういまさら学生には戻れないわけだし、
上海は、結構暑いわけだから、
ぜひ共産党のみなさんには、迷信などと言わずお盆休みを作ってほしい。
自分たちは特権階級だから、快適なオフィス、快適な住居、快適な別荘まであるのは
今このときだけは不問にしておくから、
たまには、私でも喜ぶような何かをしてくれてもいいんじゃないかな。
一応、税金を払っているのだから。

そして、そういうことを一般の中国人に言うと、
「共産党が、一般ピープルのためになることなんて、考えるわけないじゃん」と、
さらりと返ってくるのだけど。

不思議な国だ。

読む気を失うとき

2012-08-22 00:10:58 | Weblog
あ、今日も仕事がらみで読まなきゃと思っていた本を、会社に忘れて来た。

どうやら、まったく読む気がないらしい。
この向上心のなさ。

そういえば、学生のころも、夏休みの宿題の読書感想文は、
提出の日まで書かなかった。書けなかった。
読書自体は好きなのに、学校の推薦図書となった時点で読む気を失い、
感想文を書くために読むと思うと、ますます読みたくなくなった。

夏休み、8月の最後の1週間は、本当に気が重かった。
が、やはり宿題はやらなかった。
気が重いくらいなら、いっそのことやってしまえ、と思うのだけど、
なかったふりして、いくらでも空を見上げていられた。

いまでも点数をつけてもらうために何かをするのはすごく苦手なので、
「読め」と言われると読まず、
無造作に置かれていると読みたくなる。

昔からずっと、不特定多数が読んだ本を開くのが苦手で、
できれば新刊が読みたいと思う。
図書館の本では、必ず裏表紙をあけて、
私の前に誰が読んだのか、前はいつごろ借りられたのかを確認していた。
そして次に、余白に落書きがないか、
まさか、誰かが気に入ったところに線を引いたりしながら読んでないかを
じゅうぶんに確認してから借りた。

ああそうか。
本を読んだ感想を共有しなきゃと思うと、私は読む気を失うんだな。

損した

2012-08-20 23:06:22 | Weblog
いま上海では反日で、なんてことはない。
会社の同僚は、今日の昼休みもウキウキしながら、ネットで日本のアニメを見ていた。
ただ、いくつか公式行事は流れたらしい。
国交40周年記念の年なのに、まるで40執念という感じだ。

さて、今日は久しぶりに、お金をドブに捨てたような気になったので、
ここで鬱憤をはらすことにする。

帰り道、どうしても日本のラーメンが食べたくなった。
前に一度行ったことがある味千ラーメンのお店が見つからなくて、
しょうがないので和民に入り、長崎チャンポンを頼んだ。

・・・・・・・・・・・・。

すげー、しょっぱかった。
というか、しょっぱい味しかしなくて、食べている途中で気分が悪くなった。
いくら飲んだ後のあがりとはいえ、この味はひどすぎる。
きっと、塩の分量を間違えているんだ。
もしレシピどおりだとしたら、酒飲ませるための謀略もいい加減にしろ!という感じ。

そして、「お好みでどうぞ」と出された黒こしょうのミルは、歯が悪くて使い物にならないし、
店員は、日本語もどきの「いらはいまへ~」を耳元で怒鳴るし、
店の中で、タッチごっこまでして遊んでるし、
教育もできていなければ、味も悪い。
こんなので、42元もとられるなんて、8元の蘭州ラーメンのほうが、よっぽど美味しいじゃん!
すごい損した。

ちなみに、中国人で大繁盛していたから、
暴徒におそわれるような気配は、みじんもなかった。
私が机をひっくり返してやろうかと、ちらりと思ったけど。

あまりにもしょっぱくて気持ちが悪くなったので、
下の階でマックシェイクでも飲もうと思った。
そしたら、「機械がこわれてるから、できない」と、
TIC(This is China)的にすごーく冷たく言われた。
奥を見ると、すごく汚いTシャツを着た中国人が、
シェイクの機械をいじっていた。
もちろん、何も買わずに出た。
すっかり現地化してて、もうダメじゃん。

となったら、最後の砦、スタバ。
上にソフトクリームが乗っているシェイク的なものを頼もうと思ったら、
「今日は売り切れました」とのこと。
さすがにガッカリして「じゃあ、いいや」と言ったら、「すみません」と言われた。
やっと「すみません」と言ってくれる中国人に会えた。
お兄さん、いいぞ!

でもやはり買わずに出て、ローカルのコンビニ好徳に寄った。
目当ては、キリン午後の紅茶のペットボトル。
おつりをもらうとき、店員のおじさんが、ゲップしながら渡して来た。

そして、この国には絶対負けない!と心に誓った。

それにしてもまだ、胃が気持ち悪い。
本当に損した。

推薦図書

2012-08-19 23:42:39 | Weblog
あまり外をフラフラしないほうがいいだろう、ということで、
今日は、前の大家さんから払いすぎた家賃を戻してもらった以外は、
ずっと家の中で読書をした。

前の大家さん夫婦は、年取ってからできた10代前半の女の子の3人で来たのだけど、
親子の会話は、標準語で行われていたので、
私が「夫婦間は上海語なのに、子どもとの会話で上海語は使わないの?」と聞いたら、
「いまの10代は、上海語を聞き取れるけど、話せない」との答え。

いま上海に住む人の3分の2が、上海以外の土地から来た人。
子どもが小さいときにお願いするアーイーさん(保母さん)も、よその土地の人、
学校でも「上海語はなるべく使わないで標準語を話そう」という方針らしく、
上海人の子どもでも、上海語が話せないというケースが増えているらしい。
アーイーさんではなく、祖父母に育ててもらっている上海人の子どもは、
上海語が身につく可能性があるけど、学齢に達したのちの友だちとは標準語だから、
大人レベルの上海語をマスターする機会は減っているとか。

上海語の音が大嫌いな私だけど、やっぱり少し、さびしい気はする。

さて、今日、読んでいたのは『秘録 陸軍中野学校』(畠山清行著、保阪正康編、新潮文庫刊)

まさに、ありもしない領土問題が捏造され、針小棒大に騒がれてる今日こそ、
読むのにふさわしいと思った。

むかし韓国人に言われたことがある。
「本気を出すとやはり日本人は優秀だ。勝てないからこわい」と。
中国人も、やっぱりどこかで日本人には一目置いている。

いくらテレビドラマで反日を煽ったり、そういった教育をしても、どこかで本物が残る。
中国人の場合、いま中国という国や政府を一番信じていないのは中国人自身だ。
戦時中悪いことをした日本人はもちろん少なからずいるけれど、
表面的な名誉やお金に踊らされるのではなく、
アジア各国の人と本気で付き合おうとした日本人もいた。
そういった記憶は必ず残る。

謀略を為そうと思ったら、本気で対象と向き合わないとできない。
お金や武器で何とかなるだろうと思っているのは、日本という島国から出たことがない人だ。
いま、日系企業は「現地化」の難しさに直面しているけれど、
この悩みは昔も今も変わらない、というか、昔より下手くそになっているんじゃないかとすら思う。

海外に赴任するなら、特にアジアで働くのなら、この本は読んでおいたらいいと思う。

螺旋

2012-08-16 23:38:41 | Weblog
中国の人が、お金が儲からないのに人生をかけることはないと思うので、
まあ、きっと、裏でたんまりお金を出している人がいるんだろうなあ。

表面上は政治や土地のくくりがあっても、華僑ネットワークはすごそうだ。
日本の大企業が彼らのお金に頼る時代になっているのだから、
そして彼らの後ろには、一見破綻しそうに見えてるユーロとか、
どこかの王族とか、なんとか王がついていたりして・・・、
もしかしたら、私が生きているうちに、地球上の国境線が大きく変わるかも、
なんていう気もしてくる。

もし、そんなに恒久的ではない枠組みなのだとしたら、
これからは、あまり国境にしばられないように生きて行くほうがいい。

今日、会社の中国人の同僚が、面白いことを言っていた。
「30歳を過ぎた頃から思う。人生は螺旋のように落ちて行く。
 老いて美しさはなくなるし、体力も減る。
 お金で解決できることなんて、もとより少ないし、
 だいたい私の世代は、小さいころからそんなに生活自体に苦労もしてない。
 でも、一生懸命に生きれば知恵だけは残る。
 それがどんな世代にも共通した、人類の財産なんだと思う」と。

私は行く先々で、本当にいいヤツに出会う。
私にとっては、これが財産だ。