ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

大晦日

2012-12-31 21:02:54 | Weblog
中国は旧暦のお正月のほうが賑やかだけど、
やはり西暦の1月1日も大騒ぎする。
上海は、黄浦江の岸辺や人民広場でカウントダウンをし、
花火を打ち上げるらしい。
去年も今年も参加をしないからよくわからないけれど、ウワサで聞いた。

私が自分を「後ろ向きな人間」と言うと、友人は「うそ~!」と言う。
でも、そう自覚するのは大晦日だ。

去年だかその前だか、いつか書いたことがあったけれど、
私は毎年大晦日になると、「来年こそは死ねますように」と思っていた。
母が入院していたときには、母を置いて死ぬことはできないので、
なんとか来年はこの苦しみが終わるようにと願っていた。
つまり、母の死と自分の死を願っていた。

そして、母が亡くなり、お墓とか一応の法事も一段落して、
大晦日に「もう死んでもいいですね」と思ったとたんに、
その瞬間に父から電話が掛かってきた。
両親が離婚してから20年以上、大晦日もお正月も、
電話してきてくれたことなんてなかったのに、あの日、
突然電話が鳴って「ありがとう」と言われた。

もうワケがわからなくなって、そのあと、お風呂で泣いた。
声を上げて、声がかれるまで泣いた。

そしたら、近くの神社の除夜の太鼓の音が聞こえてきた。

そしてその3ヶ月後に、父も逝った。

結局、1年分を大晦日に泣く。ずっと。もう20年以上繰り返している。
もういい加減、何らかの結果を出さなければ、と思う。
私から見ると、とても偉大だった両親に、これじゃあ、会わす顔がない。

私は上海まで来て、いったい何をやってるんだろう。
結果を出すためには、ある程度以上の継続力が必要なのに、
私は何を、ふらふらしているんだろう。



今年最後の陽が暮れた。
すごく日本に帰りたくなった。
自宅のにおいをかぎたくなった。
南向きで、夜でもおひさまのにおいが残るあの部屋に帰りたくなった。

その直後、中国人の同僚から、
上海に来て初めて、この言葉を聞いた。
「対不起(ごめんなさい)」と。
仕事でたぶん向こうがうっかりしてたことがあり、今日発覚した。
でも、私はそれを責めなかった。

中国人は、なかなか謝らない。
「対不起」なんて、教科書には載ってるけど、
実際に中国人が外国人に言うところなんて、聞いたことがない。
周囲にいた中国人が、いっせいに神経をこちらに向けたのがわかった。

間違っていようが、一生のうちに何も達成できなかろうが、
私は自分の身の丈を引き受ける覚悟をするべきなんだ。

でも、大晦日に会社に出社している日本人が私ひとりだったとき、
中国人の同僚が「日本に帰らなくていいの?」と聞いてきて、
「帰らないよ」と答えると、「じゃあ、家族と電話は?」と言われたとき、
私は、まだ対処しきれない自分を自覚した。

ああ、なんで小学校5年生のとき、両親に
「離婚して」なんて、言っちゃったんだろうなあ。
もういい加減、時効だとは思うんだけど、
私は一番愛している人たちを、自分で切り捨てたんだな。

自分を正当化するために、彼らを恨もうとして、
そのために、いろんなストーリーをでっち上げた。
両親は私を愛していないと思い込もうとした。

でも、裏切ったのは私のほうだった。
彼らはずっと、離婚してもずっと、私を愛してくれていた。

もう間に合わないんだよなあ。

干してる

2012-12-30 15:14:54 | Weblog
昨晩、上海は雪が降った模様。
朝、カーテンを開けたら外が白くて気がついた。

ここのところ雨が続き、そして雪だったからか、
今日の昼間、少し出掛けたら、周りの家がいろんなものを干していた。

魚屋さんの前では、たぶん商品になるものを干してる。



四川料理のお店の前では、料理に使われるらしきものを干してる。



工事現場のプレハブの壁には、洗濯物が干されている。



たぶん昨日までに濡れてしまった靴を干している。



そしていつも通りに、
ベランダから外に向かって突き出るように干されている洗濯物や布団たち。



上海も、路地裏はけっこう好きだ。

先日ひっそりとオープンし、
「何がやりたいのか全然わからん! でも内装にはめっちゃ金かけてる」と
日本人には微妙に評判が悪いタカシマヤに行こうかと思ったけど、
誰かにあいそうだからやめた。

ネット規制

2012-12-29 19:16:24 | Weblog
中国の海外私費留学生の数が、もうすぐ年間20万人を越える。
これは、すごい数だと思う。
もちろん、とっくに日本人の海外留学生数を越えている。
たぶんここで人口比の話をしても、意味はないだろう。

中国人は、外国語を習得するのが速い。
先日、社員旅行でタイに行った時も、
中国人スタッフは、ガイドさんに教えてもらったタイ語をすぐに使いこなしていた。
ただ、実際にタイ人と触れ合うことがなかったので、使いはしなかったけど、
もしこれで、タイ語を母語とするタイ人と接していたら、
もっと格段にたくさん言葉を覚えて帰ってきたことだろう。

中国人にとって言語は、自分の要求を伝えるためのツールだ。
だから、言語は上手くなったとしても、
同時に相手の文化への理解が深まっているとは限らない。

日本人は、外国語を学ぶのはあまり得意ではないけれど、
相手の文化や習慣を尊重する気持ちは非常に強いので、
心は通じるけれど、言葉は通訳を介することが多いと思う。

これは、日本人に言霊の信仰があるからだろう。
「言い間違ったら恥ずかしい」というのは、表面的な理由であって、
その根底には、言葉という存在自体への尊敬の念があるのだと思う。

だから、「言い間違ったら恥ずかしいので、通訳さんにお願いしてるんですよ」というのは、
決して恥じることではなく、堂々と日本の文化として表明すればいい。
そう思う。

上海にいる日本人がよくこう言う。
「なんとか自分の言いたいことは言えるようになったんですけど、
 相手が何を言っているのか聞き取れないんですよ」と。
中国人はそんなことは言わない。
そもそも、たとえ中国語であっても、
中国人は相手が言っていることなんて、まともに聞いてはいないから。

だから、言葉の裏側にあるものを考える力って、ものすごく素晴らしい力だと思う。
気が利くって、本当に素晴らしい文化だと思う。

さて、中国の全人代が、Web上のアカウントの実名制を正式に決めた。
微博なども、実名を明かさないと利用できなくなるので、
私はその段階で使用を中止する予定だ。

政府への誹謗中傷を抑制する目的なのかもしれないけれど、
実際、微博で回ってくる写真には、目を覆いたくなるようなものが多いので、
私としては、複雑な気持ちだ。
実名制にして抑制するよりも前に、学校教育を変えたほうがいいと思うけど、
それをすると結局は共産党の一党独裁に響くのだろう。
公共や公衆、および個人の権利を共産主義のもとで歪め、
インターネットが急激に普及したからこうなってしまったわけなので、
自業自得のようなものだろうと思う。

いまは、中国は急速に豊かになっているし、海外留学に行ける人も増え、
今後も少しの間は内需に頼って、ゆるやかでも他国よりはマシなペースで
発展できるかもしれないけれど、
さて、それが頭打ちになったとき、もしくは環境破壊等でどうしようもなくなったときに、
どうなるだろう。

いま、中国人が馬鹿にしている東南アジアの国のほうが、
よっぽどネット規制がなくて、情報も自由に交換できる。

成金しかいない国って、非常に危ういと思う。

集い

2012-12-29 00:41:12 | Weblog
今日は、上海でお世話になっている人が幹事をやってくれた飲み会に行ってきた。
ひろい意味でコンテンツ系で、私以外はほとんどが日本人の駐在員だった。
男性率が高くて、そして上海で男性が集まると、共通の話題としてKTVの話になる。

日本でKTVをやったら流行るだろうけど、
でも、日本人の女性は、KTVのお嬢さんのような働き方をきらうだろうから、
きっと無理だろうとか、

なら、上海で日本語が話せるようになったお嬢さんを日本に連れて行って
店を開けばいいじゃないか。
労働ビザはどうする?などなど、まあ、いつもどおりの展開だった。

とりあえず、中国の反日デモのおかげで
今年、ビジネスが厳しかった人たちの集まりだから、
「やっぱり混血が一番だよ。日本政府も変にばらまいたり、
 どこかで抜かれる国防費をつけたりしないで、
 日本人の男性に中国で子どもを産ませる計画をしたら、
 そのほうがよっぽど戦争なんかしなくなる」などなど。

それにしても、日本だったら決して集まらないような面子で、
普通に、和気藹々と食事ができて、
「今度、会社に遊びに行っていいですか?」という話ができるのはいい。

でも、やっぱり初対面の人ばかりで、少し疲れたな。

でもやっぱり、もし上海に来て、中国人の友だちがKTVのおねえさんだけだったら、
それはそれで、少しさびしいな。

2012-12-28 01:46:24 | Weblog
ここ2日ほど、上海は雨。
夜のうちに雨が上がると、路面が凍結しているので、
それならばいっそのこと降り続けてくれたほうがいいと思う。
でも、靴がしょぐしょになる。

今日は、またまた猛烈に中国人の部下くんたちを怒った。
中国人は見栄をはるというか、まあ、独特の言い方をする。
例えば、少し調べればわかることでも、
「そんなことはない。そんなことはありえない」などと言ってくる。
しかも、そう言う本人自身が、少し調べればわかることを知ってて、
単にいま気が乗らないから、または面倒だから、
「そんなことは、絶対この世の中にあり得ない」くらいのことを言う。

ということで、私は怒る。
「努力してから、その言葉を言え」と。
中国人ののらりくらりとは、怒るポイントがずれてることは、よくわかってる。

でも、言わずにはいられないことが、たまにある。

ただ怒りっぱなしにはしないで、それについて自分なりに調べ、
少ししてから部下くんのところに行って話しかける。
「私、日本語で調べたんだけど、なんとかなりそうなんだ。
 でも、中国だとどうなのかよくわからない。助けてもらえない?」

すると、
「いや~、あなたの言うとおりに全部やるのは無理だと言っただけで、
 そのあと、いろいろと思い出したんだよ。部分的にならやる方法あるよ」
と、言い始める。

これは、お互いに悪気がないからこうなるのだし、
基本的に私と部下くんの関係がいいから、こうなる。
決して関係が悪いからこうなるのではない。
そこが、すごくミソだと思う。

そして、何か行き違いがあったら、必ず立場が上の者から歩み寄る。
なぜなら、下の者から歩み寄るのは当たり前だけど、
それを上が拒絶したら、それで終わってしまうから。
だから、上から歩み寄るとちゃんと修復できる。
そもそも相手を認めていなかったら、最初から無視しておしまいなのが中国人だ。

そうした「型」みたいなものが、やっぱりある。
ただ、日本人にとってこの「型」は、非常に馴染みづらい。

慣れない

2012-12-26 23:53:30 | Weblog
いやはや、眠い。
今週末はイヤというほど寝てやろうと思う。

最近、どうやら身体が冷えているらしく、
夜、寝るときには、湯たんぽのお世話になる。

湯たんぽを丹田の上あたりに置いて、
じんわりしながら寝るのがお気に入りだ。
しっかりと重いのだけど、けっこう気持ちがいい。

さて、いま会社で中国人を募集している。
中国はこれから春節までの間が転職シーズンなので、
たくさんの人が応募してくるようだ。

いい条件のところがあれば移ればいいし、
もしいい条件が引き出せたら、それをもとに今の会社と
給料アップの交渉をしてもいい。
とりあえず、みんながザワザワと動く。

当日ドタキャンや遅刻も多いけれど、早めに来る人もやっぱりいる。
9時からの約束なのに8時50分ごろに着き、
まだ会社の受付の人が来ていなかったりすると、
ふつう日本だとそのまま入り口で待つと思うけど、
中国人の場合は、ずけずけとオフィスの奥まで入ってくる。

面接の人に限らず、宅急便もお客さんも、
とにかく、ずんずんとオフィスの奥まで入ってくる。
そして悪びれず「面接」や「受領証のサイン」などと言う。

相変わらず、非常に押しの強い人たちだ。中国人は。
そしてどうしても、これに慣れることができない。

らしさ

2012-12-26 00:25:07 | Weblog
昨晩、すごく刀削麺が食べたかったのだけど、
残業のおかげで、中国人の同僚と一緒に松屋の出前をとることになったので食べられず、
それならばと昼間に食べに行ったら、
夜、またまた残業になった同僚が「松屋は飽きたぜ。刀削麺を食べに行こう」と言い出し、
結局、昼と夜、刀削麺を食べることになった。

「私は昼食べたから、違うのにしたい」と言ってもよかったんだけど、
さっと食べられるものが他に思い浮かばなかったから。

さて、毎日会社までの往復を歩いており、
片道約40分かかっていたところが、今日などは35分で歩けたりすると、
すっかり爽快な気分になってご機嫌になる。
みんなが「おはよう。寒いね~」と言っているとなりで、
「そうだね~」と言いつつ汗をかいている私は少し異様だけど、本人は最高にいい気分。

ところが今日、中国人部下くんの「今日の予定表」を見て、いきなり怒った。
昨晩のうちにやっておくように言ったことが終わってなくて、
しかも今日の午後にやる仕事の予定として組み込んでいる。

「昨日のうちにやって、とお願いしたのに、やらなかったのはなぜ?
 本当に間に合うの?」
「間に合いません」
「じゃあ、どうするの。間に合わせる方法考えたの?」
部下くん沈黙。
「それに、間に合わなかったのなら自分から報告しなきゃだめでしょう」

久しぶりに猛烈に怒ったので、昼ぐらいまで私も気分悪かったし、
部下くんも「やべー」という顔をしていた。

それでも、夜一緒に残業なら、一緒にご飯を食べに行く。
このへんのあっけらかんとしたところが、中国ならではだと思う。
私だったら、上司に怒られた後、「今日は刀削麺だ~!」なんて言えない。
文化が違うのか、部下くんが単に鈍感なのか。

私は後者だと思う。

まあ、それもいい。

一昨日あたりに読み終わった本『疲れすぎて眠れぬ夜のために』(角川文庫、内田樹著)

私は夜眠れないということが、まずほとんどない。
たいていは横になって30秒後には寝ている。

なので、眠れない人と言うのは、どんなことを考えてしまい眠れないのか、を
知りたくて読んだ本。

「何々らしさ」について、書かれていたんだけど、
上海にいるとき「日本人らしさ」って何だろうなあ、と考え、
中国人なら「日本料理を食べる人たち!」と迷わず答えるだろうなあ、と思い、
私も悩むことなくすぐに寝た。

部活の夢

2012-12-25 00:07:26 | Weblog
社会人になってから、忙しくないクリスマスなんて、ない。
今日も中国時間21時半過ぎまで残業。中国人の同僚くんたち2人と一緒に。

いくら納期が迫っているからといえ、
小さいお嬢さんがいるお父さんまで、すすんで残業してくれた。
中国人は怠惰で、うそばかりついて、ずるばかりして、さっさと逃げる、
という先入観を、すべて覆してくれた同僚たちに感謝だ。
あんなにキビキビ仕事する姿なんて、なかなか日本でも見られないぞ、もう。

単にボーナスの時期が近いからアピールしているだけかもしれないけど、
「できる」ということが証明されただけで、嬉しい。
毎回ピークを迎えるたびに、徐々にペースが上がっている。
中国人は、ちゃんとチームもつくれる。そういうことだ。

さて、今朝見た夢は、非常に何か暗示的だった。
久しぶりに中学時代の部活の夢だったんだけど、登場人物には中国人もいた。

私はバレーボール部だった。
中学の体育館に入って行くと、中国人の友人がネットを張ろうとしている。
ポールのたて方にも、ネットの張り方にもコツがあるんだよ、と説明して、
一緒にセッティングする。

そして張られたネットの高さは、2.43m。
大人の男子の高さだ。ジャンプしてもネットの上に手が出ない。
ブロックなんて無理だし、スパイクを打つときにも真下には振り下ろせないから、
ドライブをかけて、コースを狙わないとダメだなあ、などと考えていた。

チームメイトは中学時代の仲間。
二軍のチームメイトと試合形式の練習を始める。
私のポジションは、中学の時と同じでセッターだった。

相手がサーブを打つ。
打つ瞬間までは白いボールなんだけど、ネットを越えるころから変化する。
竹籠になったり、ビニールシートを丸めたものになったり、
軌道が変化するのではなくて、ボール自体が変化する変化球。

もちろんレシーブできなければ、トスもあげられない。
もう翻弄されまくりだ。

チームメイトの誰かが言った。
「これは球技なんだから、ちゃんとボールで勝負しようよ」と。
そして、手元にあったボールを投げて渡した。
でも相手がそのボールを打つと、また変化してしまう。

こわかった顧問の先生の顔色をうかがう。
顧問の先生は、負けそうになるといつもソッポを向いていた。
そしてソッポを向いていたくせに、試合が終わると猛烈に怒った。
ビンタされたし、蹴られた。
今回もまた同じ展開になりそうだ。

びくびくしながら、点数を確認した。
やっぱり負けてる。どうしよう・・・。

猛烈な恐怖が湧いたところで、目が覚めた。

いろんな勝負事があるけれど、勝てなかった経験と言うのは、
本当に貴重だ。

日中共通のこと

2012-12-23 21:38:37 | Weblog
今日は「COMICUP」という同人イベントに行ってきた。
北京と上海で開かれるイベントで、
同人イベントの中では規模が大きいほうだということ。
入場制限が出るほどのにぎわいで、
寒空の中、コスプレした人たちが長蛇の列を作っていた。
写真を撮ったのだけど、人の頭しか写らなかった。

私は残念ながら、コンテンツをほとんど知らないので、
「みんな、すごいな~」という感想以外、持ちようがなかったのだけど、
中国人の若い子たちは、ちゃんとお目当てがあったり、
有名なコスプレイヤーにサインをもらったりと楽しそうだった。
コンテンツを知ってたら、たぶんすごく楽しいんだろうなあ。

また、本気系のカメラを持っている男の子たちもたくさんいて、
本当にみんなお金をもってるし、ちゃんと使う。
オタクたちが、こうしたイベントのために毎日コツコツ働いているという構図は、
日本も中国も同じなんだろう。

こうしたイベントにくると、本物と偽物の違いがわからなくなる。
正規ライセンスは、確かにクオリティが高いけれど、
コピー製品も、かなりのクオリティで、
どこまでが本物でどこからが偽物なのか、境目がわからなくなってくる。
コスプレイヤーは、本物と偽物という線引きを超える存在だし、
そもそも楽しけりゃいいじゃないか、という気もしてくる。
手作り感があふれていて、日本に比べると洗練されてないかもしれないけど、
でも、みんな楽しそうだった。

グッズの場合は「ここでしか買えないもの」が人気を集めるのも日中共通だから、
これからは、小ロット多品種なんだろうと思う。
そうなると付加価値をつけないと売れない、と思いがちだけど、
何かを加えることが必要なんじゃなくて、
どこで売るかが問題なんじゃないだろうか。
どの枠組みを使って、どれだけ効率よく売るか。

中国は、社会主義を経て、いま消費文化が台頭してきている。
ということは、市場の仕組みも、消費者の感覚も日本とは違うと言うことだから、
日本のバブルとは、根本的に違うような気がしている。

会場を出ると、雪がちらほらと舞っていた。
温かい麺と小龍包で満腹。



湯気にひかれる季節だ。

中国人の買い物

2012-12-23 11:59:28 | Weblog
昨日のつづき。

中国人の同僚が「タイは物価が高いよね。上海と同じくらいだ。
特に最終日に寄った町にある免税店が全然安くなかった」と言うから、
「そうだねえ。あそこの免税店は、中国人が喜ぶ化粧品のブランドが
 前面に出てたから、ちょっと他の免税店とは雰囲気が違ったね。
 中国人向けなんじゃない? お客さんも8割がた中国人だったでしょう。
 日本だとマツキヨで買うようなブランドものが多かったね」と言った。

上海人にはすでに、中国が発展途上国だという意識はない。
自分たちは日本を抜き、アメリカと競争する国で、
その中でも一番発展し、あこがれの上海人なんだ。

だから、日本人が「facebookもTwitterも、ガンガン見られるよ!
Gmailも安定してる~!!!」と奇声を上げていても、
もともと価値を見いだしていないものは、ないのと同じなので、
中国人は「上海と比べてどうなのか」という比較範囲が非常に狭い。
せっかく外国に来たのだから、
中共が規制していることを試してみようとも思わない。

ただし、日本は、もう中国にODAする必要はないと改めて思った。

さて、中国人と言っても格差がけっこうあるので、
公務員はすごくお金をもっているけど、
民営会社の従業員である若い人たちはお金をもっていない。
同僚の中には、親からたくさんおこづかいをもらって、
自分の月収分くらい買い込んだ女子(20代中盤)もいるけど、
30代の同僚たちは、基本的に自分の身の丈にあった旅行をしていた。
つまり、免税店では、タバコ以外はほとんど買わない。

月収分くらい買い込んだ同僚も、
高いけどよいものを少し、という買い方ではなくて、
とりあえずみんなにばらまくお土産用として、
お得用パックのようなものを、大量に買い込んでいた。
そもそも、物を見分ける目なんて育ってないんだから、
見栄えがちょっとよいものがたくさん入っているものを選ぶ。

中国の富裕層という言葉が幻想だと思うのは、こういうときだ。

今回の旅行は、宿泊はもちろん食事も全部ついていた。
それなのに日本円で5万円以上を平気で使う。
日本人の場合、1つブランドのカバンや化粧品を買って、
あと少し簡単なお土産を買えば、5万円くらい使うこともあるだろう。
でも中国人は、安い物を大量に買いたい人たちだ。
「いいものを少しでいい」なんていう段階じゃない。
だから、日本が本当に売りたいものが中国に売れないのは当たり前なんだ。

確かに「いいものを少し」または「本当に気に入ったものだけでいい」という
中国人もいる。
でも、そういう人の数は本当に少ない。
13億以上いる中国人の1%以下かもしれない。

ただ、高いものを売るときには、店員の教育も必要だし、
それなりの空間も設けなきゃ行けないし、手間がかかる。
B級を大量に買ってくれるお客さんのほうが、売る側も手間がかからない。

ということで、中国人観光客は世界中から喜ばれるんだなあ、と思った。
さて、日本はどうするか。