ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

出張

2012-11-30 01:07:08 | Weblog
日本語と中国語は、似ているところも似ていないところもあるけれど、
この言葉だけは、日本語のほうが夢があると思う。

「空港」

英語からの直訳だけれども、空の港なんて、すごく夢がある。
そう感じるのは、日本が海に囲まれているからかもしれないけど。

中国語だと、「機場」になる。
しかも簡体字だと機が机になるので、なんとも味気ない感じがする。
ちなみに飛行機は「飛んでる机」だから、
これはある意味でファンタジックと言えなくもない。

今日はじめて吉祥航空の飛行機に乗った。
確かにみんなが言うように席が狭い。
シートは一番通路側だったのだけど、隣のおじさんにぶつからないように、
そして通路を歩くスチュワーデスさんや他の乗客にぶつからないようにと、
かなり小さくなって座った。

読んでいた本は、穂村弘さんの『整形前夜』(講談社文庫刊)
穂村さんの文章は、小さくなって読むのにちょうどいい感じだった。

途中で隣のおじさんが、私が日本人だと気が付いた模様。

でも、別に何も言われなかった。
逆に、それまで足をドバーッと開きながら座っていたところが、
越境してこなくなったし、ゴミをエチケット袋に入れるようになったので、
たぶん親日派なんだと思う。
「あ、日本人だ。こっちもちゃんとしなきゃ」という雰囲気。

そうなると、こちらも期待を裏切ってはいけないと思って、
いろいろと礼儀正しくしていたら、
2時間のフライトが終わるころには、なんとなく連帯感らしきものが生まれていた。
なんだか不思議だ。

そして、真夜中に深圳着。
タクシーでホテルまで。

ホテル、4つ星にしたんだけど、古くてあまりよくないなあ。
たぶん深圳が開発された始めた当初に建てられたホテルだ。
20年。
日本だとちゃんとメンテナンスするけど、中国だともうぼろい。

ああ、『整形前夜』読み終わっちゃった。
もっと本を持って来ればよかったなあ。

ネット

2012-11-28 23:27:47 | Weblog
私はふだんアニメを見ないので、
もちろんヱヴァンゲリヲンも、まともに見たことがないのだが、
中国なんぞにいると、中国の動画サイトに上がっている日本のアニメを
たまに見たりすることがある。

で、ヱヴァQ冒頭6分38秒の映像はそれで見た。
が、まったく意味が分からなかった。
片目で赤い服を着ている女性が、結構有名だということは知っている。
イメージしていたよりも声がキンキンしていて、驚いた。
でも、名前は知らない。

今朝、ツイッターで以下のサイトを紹介するツイートが回ってきた。
「ヱヴァQ冒頭6分38秒の宇宙での「強奪作戦」シーンは
 宇宙工学立場から見てガチだったことを
 首都大学東京の宇宙システム研究室が解説したページがスゴイ」

見てみた。
確かにすごかった。
そして朝から興奮したので、中国版ツイッター微博で
このページのリンクをツイートしたのだけど、
中国ではVPNがないと、おそらく開けないらしかった。

いやはや、失礼した。
中国のファンたちよ、フラストレーションをためて、
このネット環境を打破する力となってくれ。
とにかく、とにかく、回線が遅すぎるし、どこもかしこも見られない。

中国の微博でまわってくるチベット仏教の写真は、
どれも立派な装飾のお寺。
確かにあれだけを見ていたら、チベット人の生活水準は
中共のおかげで向上し、みんなが幸せを謳歌していると信じるだろう。
まさか、焼身自殺が繰り返されてるなんて思うまい。

ネットにはいろんな情報があふれているけれど、
でもやはり偏っていることがある。

長さ

2012-11-27 23:57:04 | Weblog
ここのところ、人間関係に少し疲れ気味だ。
中国人との人間関係は予想の範囲内の想定外の連続で、これはまあ、いい。
やはり上海くんだりまで来ている日本人との関係は難しい。

中国人の同僚がこう言う。
「日本で働いていた時、周囲の日本人はみんな本当に人格者だったのに、
 上海に戻ってきてからこっちで会う日本人は、理由もなく偉そうで、
 なんだか感じの悪い人たちばかりだ」と。

その「感じ悪い日本人」の中に、私が含まれているのかどうかは、
恐ろしいので敢えて聞かなかった。

社会の目がなくなったとたん、日本人も堕ちるということなんだろう。
「公共」の場で自分を律することができるのは、とても素晴らしいことだけれど、
その「公共」が違う概念になったときに、自分を律することができるかどうかは、
その人自身の問題だ。

むかしよく母から「相手の立場に立って物事を考えなさい」と言われた。
でも「相手の立場」じたいが全然違う価値観の中にあるのだったらどうする。
そもそも相手の立場に立つことなんてできないんじゃないか、など、
これもまた、植物状態で意思疎通ができない母と付き合う中で、
常に自問自答し、今でもぐるぐる考えてしまうネタだ。

しかし、やはり、そうした自問自答をしてきたおかげで、
ワケのわからないものに対する耐性が少しできたんだろうと思う。
むかしなら「こんなのイヤだ!」と思ったことでも、
比較的距離を保ったまま、ぬるい感じで、価値判断をとりあえず保留することができる。

いまは、上海に来たからと言って、これという結果を出さなくてもいいと思ってる。
そもそも、私なんかがそう簡単に結果が出せるほど、世の中は甘くないだろう。
ここは外国なんだし、共産主義で日本とは全然違う国なのだから。

そして、中国が好きだという人はよく「中国歴の長さ」を自慢する。
私はもう何年いるから、中国のエキスパートだ、というようなことを話す。

もちろん私は日本歴のほうが中国歴よりずっと長いけれど、
日本のことをどれだけ知っているかと言うと、
最近の政党は、冗談かと思うような名前ばかりで、もうよくわからない。
ここ最近のことは少し大目に見るとしても、
そもそも戦後の歴史なんて、ほとんどわかっていない。
中国人なんて、チベットで何が起きているかなんて知らないんだし。

だから、長さは1つの補助的な軸であって、最終的には、物事をどう見るかということ、
また、自分はある物事をどう見たいと思っているかを自覚できるか、なんだろうと思う。

そんなことを教えてくれるのは、私にとってはやはり仏教。
『傷ついた日本人へ』(ダライ・ラマ14世、新潮新書)

人の精神に対するアプローチとしては、いま世界で最高の叡智じゃないかと思う。

バス停

2012-11-26 23:14:46 | Weblog
久しぶりに、ディック・リーの歌が聞きたくなった。

そうか。土曜日に聞きに行った二胡の演奏で「上を向いて歩こう」があって、
「Sukiyaki」を連想したらしい。

今日は仕事で南翔まで行った。
小龍包を食べている時間はなく、仕事が終わるともう夕焼けの時間になっていた。



夕方になるとかなり風も冷たくなり、
早く帰りたいところだったのだけど、タクシーが通らない。

一緒に行った中国人の同僚は、余裕な感じでタバコをふかしはじめた。

「タクシー、来るの?」と聞くと、
タバコの煙を吐きながら、「ここはタクシー来ないよ」と。
「じゃあ、どうするの?」と聞くと、「帰りはいつもバスだから」という返事。
そして道の途中で立ち止まり、悠長にタバコを吸っている。

「バスに乗るんでしょ。どっち?」と言ったら、「ここがバス停だよ」と。
「え、どこにバス停?」と聞いたら、「ここだよ」と指差した。



確かに、「南翔2路の 上客点(乗り場)」と書いてある!
大きなトラックがびゅんびゅん通る道なのに、簡易バス停になっていた。

そして、他の中国人たちと一緒に、すずめのように横並びになってバスを待った。

途中で小学生たちが乗ってきたんだけど、
みんなぎゅうぎゅうに混んでいる中で平気でお菓子を食べる。
「このくそガキども!」と怒りそうになった。

2012-11-25 21:14:32 | Weblog
上海も短い秋。
家の隣の公園が色づいた。



でも、日本と違って、なんだか葉っぱがきたない。

友人のフォトスタジオに行ったら、ものすごく人なつこいネコがいた。
ご近所さんたち全員で、ゆる~い共同体のみんなで飼っているネコとのこと。
坐っている姿勢が、古代エジプトのネコ像のような美しさ。



上海は都会だけど、人の繋がりはまだ村っぽい部分が残っている。
それに、お隣さんは雲南の少数民族出身の人たちのやっている
民族工芸品のグッズ屋だったので、店員さんも少数民族。
明るくて人なつこい笑顔で、たくさん話しかけられた。

やっぱり少数民族の土地のほうがいいな。
旅に出よう。

という気持ちになって衝動買いしたカバン。



700元。おお、高い!

でも全部手作業の刺繍だし、なかなかよくできている。



やはり、旅に出るべきだな。

ゆるい上海の1日

2012-11-22 23:47:22 | Weblog
なぬ。日本は三連休だと。
日本は休日が多くて、うらやましいなあ。

今日、中国人の友人と、中国のツイッター「微博」の話をした。
というのも、私が見ている範囲の微博のつぶやきは、
みんな「発言」として、しっかりしてて、
日本みたいに「帰り道さみ~」とか、「うわ~データ消えた~!!!」なんていう
本当に独り言っぽい内容は、あまりないからだ。

すると友人曰く、
中国の微博は、食べ物の話題が圧倒的に多いです。
写真つきでどこで何を食べた、というような。
中国人にとって一番関心があるのは、やはり食べ物ですから、と。

「こんにちは」と同じような意味で「ご飯食べた?」と聞く民族だけど、
「食べたよ」と答えると「何食べた?」と聞かれる。
そしてご飯ネタは何往復もし、結構続く。
トイレの個室に入っても、用を足し始めても、まだ続く。
中国人は、この話題が大好きだ。確かに。
まあ、その前に、個室に入ってからも話しかけてくるのはやめてくれ、と思うが。

そんなゆるい感じで午後に突入。
運転免許の筆記試験のために今日休んだ中国人の同僚からはこんなメール。
「試験のパソコンが壊れたので、明日の朝5時に来いって言われた!」と。

朝5時ねえ。たいへんだなあ。
受けるほうも、監督するほうも。
まあきっと試験官が遅れて、6時ごろのスタートになるんだろうな。

さて、いろいろと中国らしい1日だったから、
少し読書して、心を落ち着けて寝よう。

マニア話

2012-11-22 00:13:25 | Weblog
今日は、昼間に会った人とも、夜に会った人とも
三国志談義で盛り上がってしまった。

三国志演義に詳しいのは、中国人よりも日本人のほうで、
中国人と話そうとしても、あまり盛り上がらない。
これは、日本には三国志に関する魅力的な小説や漫画があることのほか、
あと私たちの世代だとゲームの影響が大きいと思う。

中国はその点、文革の時代に止まったとも言える。
最近ようやく、歴史に関していろいろな解釈が試みられるようになったばかりだ。

ということで、日本人の三国志マニアが語り始めると、
中国人はいっさいついてこられない。
これがまた、面白い。

私はそんなに中国史マニアじゃないけれど、
いちおう大学で勉強したし、それなりに本も読んだので、
まあ、なんとなくマニアの会話について行けるくらいだと思う。
今日は、三国志の話からの展開で「かくきょへい」と言われ、
漢字は思い出せなかったけれど、
どんな人かは、なんとなくぼんやりとイメージできる。

ちなみに、パソコンで漢字変換したら、各挙兵となったんだけど、
正しくは「霍去病」。
前漢の時代に匈奴と戦った人(だったと思う)。

なぜか締めの話題は、ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』 だった。
哲学科卒の人だったから。

ハイデガーやフーコー、あとデリダの話もちょっとして、
「いや~、変わってるね~」と言われたんだけど、
その言葉はそのままお返ししたいと思う。
上海の安い日本料理屋の座敷で、延々何時間もそんな話をするなんて。

ただ、よくよく考えると、
私にとってはよくあるシチュエーションなので、
やっぱり類は友を呼ぶんだなあ、と思う。

最後に三国志に戻るけど、定軍山には、いま何もないらしい。

求む

2012-11-20 23:17:12 | Weblog
毎年この季節になると思う。
編み図、ダウンロード販売してくれたらいいのに。
1枚=50円くらいで。

本を買っても、そのなかで編んでみたいのは1つか2つ。
そして海外にいると、その本すら手に入らない。
これこそ1点ずつのダウンロード販売向きの商品じゃないか!

と、悪態をつきながら、若草色の毛糸とにらめっこ1時間。
マフラーにしたら顔色が悪く見えるかな、
帽子にしてはハデだよな。でも、上海だからハデに見えないか。などと考えつつ、
ああ、編み図が欲しいと堂々巡りに考えていたら、猛烈に眠くなった。

朝から消耗戦のような話し合いをしたので、
ちょっと疲れたのかもしれない。
今日、他部署の部長さんからもコッテリと搾られた中国人の部下くんが
明日来るかどうか、ちょっとドキドキだ。

もともと、ボーッとした性格のようなので、
よくも悪くも怒られても、一晩寝たら忘れる性格みたいだけれど、
今日のはさすがに、相当落ち込んでいたので、
さて、上海の80后おぼっちゃまくん、この試練に耐えられるか。

で、明日、けろっと忘れた顔して会社来たら、
そして相変わらずボーッとしてたら、
それはそれで、ちょっと悲しいけど。

集中力

2012-11-19 23:58:58 | Weblog
先日、会社の天井から水が漏れてきた。
どうやら空調の水が出てきたということなんだけど、
「漏れる」というレベルをこえて「流れていた」ので、
やっぱり中国のビルは見かけ倒しだなあ、と思ったところ。

そして今日、廊下を歩いていたら、半分取れかけた警報ベルがあった。



動作するのかどうか、
ものすごく押して試してみたくなったのだけど、一応やめた。
なんとなく「罰金」と言われそうな気がしたから。

中国では「なぜそこで、わざわざ手を抜くのか」と言いたくなるようなことが、
けっこう頻繁に起きる。
普通にやったら、手を抜けないでしょう。どうやったの?と聞きたくなることもしばしば。
こういうのを国民性というのだろうか。

普通に、悪気がなく、忘れちゃって、こうなるんだよなあ。
そもそも注意力が散漫なんだよなあ。
という私も人のことは言えない。
最近、集中力が持続しないから。

昨晩読んだ本。『空の智慧、科学のこころ』(ダライ・ラマ14世、茂木健一郎)

独学だと無理だと思うのが、仏教の修行。
どんなに頑張っても、心をコントロールすることができない。
坐禅を組んでも、すぐに心が乱れる。

でも、いつもはドライなんだけど、この点については諦めが悪いので、
自己嫌悪に陥るといつも、仏教経典を読んで、そのあと静かに坐りたくなる。

2012-11-18 17:31:02 | Weblog
昨日、上海の老碼頭で開かれたフリーマーケットに参加した。
ちょっと前に行ったときには、こんな横断幕なかったのになあ。



魚釣島(尖閣諸島)は中国の領土だと主張していらっしゃいます。
横断幕の前にひるがえる洗濯物が、いかにもな中国の庶民的雰囲気で何とも言えない。

老碼頭は、最近オシャレスポットとして注目されつつあるところで、
日本人はもちろん、外国人もけっこう訪れるから、
まあ、ここで主張するのは、ひとつ国際社会に向けてのアピールになるかもしれない。
アピールの効果が、どっちに転ぶかはわからないけど。

11月も半ばになると、石造りの路地の日陰は寒い。
「ああ、はやく酒でも飲んであたたまりたい」ということで、
安売りしていた輸入ワインを試飲させてもらったり、
上海名物の焼き小龍包をおやつに食べたりしながら夕方まで頑張り、
その後は、中華料理へ。

いかにも紹興酒を飲ませようという味付けの料理たち。
たくあんの親戚みたいな大根の漬け物。



紹興酒で漬けた上海蟹の爪と、長江下流域の名物黄魚の揚げ物。
黄魚は、最近、乱獲と環境破壊で漁獲高が減っているらしい。
白身がふわふわしていて、とてもおいしい。



肉はないのか!ということで、上海名物の紅焼肉。
そして、皮の歯ごたえがおいしいキュウリの漬け物。



このほかにもたくさん料理があったんだけど、途中から酔っぱらって撮るのを忘れた。
そしてたくさんの紹興酒を飲み、
その後、ドイツやベルギーなどの輸入ビールのお店で仕上げ。



今日も胃もたれが残るような食事とお酒。
そんな日は、リンゴがおいしい。
新疆金富士という銘柄のリンゴを買った。
なかなか美味しかったんだけど、日本のおいしいリンゴが食べたいなあ。