ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ちょっと難しい試み

2013-11-28 00:50:21 | Weblog
久しぶりにWindowsを立ち上げたら、大量のアップデートが始まった。
そして、電源を切ろうとしたら、アップデート中なので電源を切るな、と。

あの~、終わりたいから電源を切ろうとしてるんですけど、
なんで電源を切らせてくれないのでしょうか。
先日、バンコクからの帰路、飛行機の機上で電源が切れず困っているタイ人がいたなあ。

明日から、かなり無理なチャレンジをする。
中国人と一緒のミーティングで、いろんなWebサイトや広告、商品の中から、
自分なりに「いい」「好きだ」と思うところを、話してみよう、というもの。
そして、ルールは、決して他人が「いい」「好きだ」と言ったことを貶さないこと。
自分と違うな、と思ったら、なんであなたはそれがいいと思うの?という質問で話を繋いでいく。

これは「いい」「悪い」を品評するための時間じゃない。
隣に座って一緒にチームを組んでいる人が、どんなものが好きなのかを知ることが大切なんだ。
そして違う価値観を「だからいい」「だからダメ」と結論づけるんじゃなくて、
自分たちが何かをするときに、ターゲットがこういう人だから、その人たちに好まれるのはこう、と、
相手に合わせた選択ができるようになることが、私たちにとって重要なことなんだと言った。

中国人は、他人や何かを揶揄するのはすごく得意だ。
でも、褒めるのはあまり得意ではない。
これは、文化的に、保身として身についている習慣。

だから、本当は日本が好きなのに、わざわざ日本を貶してくる。
そして、ちょっと仲良くなると、実は日本のこういうところが好き、などと、こっそり言い出す。

また、日本人だって、他人を褒めるのは苦手だし、
なかなか中国人のいいところに目が向くまでに時間がかかる。
ということで先週、今後は1週間に1回、
なんで私はこれがいいと思うのか。なんでこれを買ったのか。など、
自分なりの蘊蓄を語ってみる時間を設けると、メンバーに言った。

みんな一瞬驚いた顔をして、ちょっと困惑して、次に、少しだけ目が輝いた。

さて、明日がその1回目。
ちゃんと準備をしてくる人は何人いるだろう。
という自分も準備をしなくてはね。

ホームページを開いて説明したいのに、日本のサイトが、開かないんだよなあ・・・。

運良く

2013-11-27 00:59:57 | Weblog
運良く他国の何かと衝突してしまうことを期待してるんだろうなあ。

先日、中国人の友人が、家庭の事情で家を売ったのだけど、
もう少しで「いいタイミングで売ったよ。もうすぐ崩壊して相場が大荒れになるから、
いまのうちに現金にしたのは正解」と言いそうになった。

百度などのニュースを見ていて思うのは、
中国では必ず、固有名詞を挙げて他国を非難するということ。
防空圏についての抗議にしても、「安倍がこんな発言しやがった」という報道になる。
「日本が」じゃない。
このあたりが議会制を知らず、常に皇帝(書記)が支配する国である所以なんだろう。

とは言っても、上海に住んでいる普通の人たちはそんなことお構いなしで、
そろそろ気になり出すのは、春節の時期にもらえるボーナスのこと。
そして、春にかけての時期は転職の季節でもある。

さて、今年はどんなお給料交渉が飛び出し、
みんながイヤな思いになるのかが、楽しみなものだ。

中国人だって、日本人だって、同じように頑張っている。
でも、決定的な違いは、小さいころから「考えるな、従え」と育てられたか、
「自分の頭で考え、自分の意思で行動しなさい」と言われてきたかの違い。
そして、公に対する義務と責任、それに相応な権利の感覚。

これは、国籍ではなくて、家庭教育の問題が大きい。
確かに義務教育の違いは大きいけど、最終的には家庭教育がカギになっていると思う。

先日、サムソンのタブレットの修理で、上海人の同僚がカスタマーサービスへ行った。
電話で先に症状を伝え、修理できるかを聞き、だいたいの価格まで調べてから行った。

窓口で見てもらうと「うちでは直せないから、浦東のセンターに行って」と言われたらしい。
怒った同僚は「電話で問い合わせしたときにはできる、って言ってたのに、なんで」と言ったら、
「それは、私が受けた電話じゃないから知らないわ」という返事だったとか。

その後、会社まで戻って来た同僚は、
「頭に来ちゃうわ! 日本のメーカーなら絶対こんな対応しない。
だからサムソンは嫌いなのよ! 中国の国有企業より悪い!」と怒っていた。

まあ、サムソンは韓国の国有企業のようなものだけど、
もちろんカスタマーセンターのスタッフは中国人だよね。

日本人としては、少しスカッとする上海人の怒りだった。

それにしても日本のサイトが見られない・・・。

弾丸

2013-11-24 21:30:36 | Weblog
日本に大切な用事があったので、土日で弾丸帰国した。
土曜日の朝に上海を出発。そしてもう上海。
近い。そして移動できてしまうだけに、疲れる。
もっと日本でゆっくりしたかったなあ。

日本の印象は、ちょっと景気がよさそうだ、という感じ。
余裕も出て来たように思うし、それに何より、街をゆく人がおしゃれだ。
特に男性は、上海人より大きく勝ち越しているだろう。
よかった。非常によかった。

そして、こんなにきれいな紅葉も見られたし。

 

行きの飛行機は、中国東方航空のビジネスだった。
単に、エコノミーのチケットが売り切れで買えなかったからなんだけど、
中国人の旅行客がたくさんいたので、そのせいだろう。

久しぶりのビジネスクラスでは、スチュワーデスさんが非常に丁寧で、
さすが、ビジネスクラスは違う、と思ったのだけど、
私に外国人向けの日本入国審査用カードをくれたのは、いただけなかったな。

で、今日の帰りはエコノミーだったのだけど、飛行機に乗ったら、
「あら、これから帰るの?」と中国語で話しかけられた。
キョトンとしていたら、行きの便のスチュワーデスさんで、
「ほら、行くとき前に座ってたでしょう」と言われた。
私に外国人向けのカードをくれた彼女だ。

いや、私にとっては、日本に「帰る」、上海に「行く」んですけど。
相変わらず、私のことを中国人だと思っているらしかった。
中国人は、少しでもチャンスがあれば外国のパスポートを取得する。
だから、パスポートが日本であろうが他のどこかであろうが、
彼女たちは「この人、わたしと同じ中国人です」と一度思い込むと、
絶対に中国語で話しかけてくる。

羽田空港の免税店でも、銀聯カードで支払おうとしたら、
レジの人が急に中国語に切り替えたので「あの、日本語でお願いします」と言った。
中国人というのは、概念としてまったく違う国境線を持っている人たちだと思う。

ついでに、エコノミークラスを担当していた先日丁寧だったスッチーは、
今日はすっかり一般の中国人女性の態度に戻っていた。
「中国人は数が多いしみんなわがまま言うから、1人ひとりに丁寧になんかしてらんないの!」
という雰囲気だったので、
まあ、そういうことなんだろうなあ、と思った。

空港から乗ったタクシーでは、運転手さんはずっと友だちに電話かけまくり、
ついでに遠回りをされ、怒るハメになったので、
「あ~あ、上海に戻って来てしまった・・・」という暗い気持ちになった。

空の上から見えた日本の海岸線は、非常に美しかった。


円周率

2013-11-22 22:31:54 | Weblog
日本人が社長をやっている会社で働こうというくらいだから、
たとえ日本語ができない中国人であっても、日本に対しては好意をもっているし、
すごく興味も持っていると思う。
もしかしたら、言葉が話せない分だけ、日本人に幻滅することもなく、
純粋に日本の文化や日本製品を尊敬しているかもしれない。

で、昨日はいきなりスタッフから、
「日本は、円周率が3と教わるって、ほんと???」と聞かれた。

「いやいや、そう言う時期もあったけど、いまは3.14に戻ったハズだよ」と言ったら、
「そうなの~、円周率って、3. 141592だよ~。でも、なんでそんなバカなこと?」と言われたので、
「日本人は反省するのが大好きなんだよ」と答えた。
それ以外に、言いようがない。

私は、日本が好きだけど、日本が正しいとは思ってないし、
日本がすべて悪いとも思ってないので、
「日本って、国家レベルで試行錯誤ができる、いい国でしょ~」と言っておいた。

そのあと、いろいろと話題が変わって、話しているうちに、
かなりの割合で、親が共産党員だということがわかった。
親もかなりのインテリだということだ。

そして、親が体制側にいるからこそ、自分は体制側にはいないのだ、とも。
理由は、何かに偏るのはよくないことだから、と。

家族全体でバランスをとる、という感覚は、
核家族になると、徐々に失われるものだけど、
中国は、核家族が行き過ぎる前に、一人っ子政策が緩和されそうだ。

そしてまた、スゴく複雑な親戚の呼称が復活し、
一族でバランスをとり、相互扶助で、政府なんか関係ない、という生命力を
発揮していくことだろう。

中国人というのは、たくましいと思う。

世代が違う

2013-11-21 00:43:01 | Weblog
私が留学した年に産まれた中国人が、
すでに私と一緒に働いており、
ついでに最近結婚して、マンションまで買ったということで・・・、
すごく驚いた。

まあ、マンションを買ったのも、クルマを買ったのも、
すべて旦那さんの両親なんだけど、
中国人の財力というのは、本当にワケがわからないと思う。

最近、会社に大学生の実習生(アルバイト)が来ているんだけど、
これがまた、まったく常識がなくて、笑える。

勤務時間中に、業務用パソコンで、動画を見ているなんて言うのは、
これは、中国では普通のことだ。
こういうことに関する罪悪感なんてものは、かけらもない。

そして、お片づけできない度が、想像を遥かに超えている。
私だけでなく、中国人の同僚ものけぞって、
「あ~、やっぱり90后ね~」とあきれ果てていたから、
たぶん中国人の忍耐の範囲も超えている。

また、セキュリティ上、通用口はカードキーがないと入れないんだけど、
正面の入り口は、受付があるから開いている。
でも、実習生は、正面まで行くのが面倒なようで、
誰にも何も言わず、通用口を開け放しにして、トイレに行ってしまう。

日本語科の学生のはずだけど、
私が挨拶をしても、むっつりとだまっており、反応がない。

外国語を勉強していて、その国の人がそばにいたら、
私だったらチャンスとばかりに、話しかけに行くけど、
どうやらそういう積極性はないようだった。
私のことなんて、見えてないかもしれない。

いま、日本人の4倍以上の人数がアメリカ留学していると言うけど、
実は、アメリカでも中国人(しかも出身地方別)でかたまってるんじゃないか、と思う。

そして、帰りにアパートのエレベーターで、小学生に遭遇した。
親と一緒に学習塾から帰るところで、私がエレベーターから降りようとしたら、
小学生の女子が、前から突進して来て、私を押しのけてエレベーターに乗った。

思わず「降りる人が先でしょ!」と中国語で怒鳴ってにらんだら、
母親らしき人が、「ああ、ごめんごめん」と、とりあえず言い、
小学生は「な~に~?」とアホ丸出しな返事だったので、
もう少しで「このバカ者めが!」と言いそうだったけど、後が面倒そうだからやめておいた。

まあ、日本でもあることだけど。

こたつを出した

2013-11-19 00:35:40 | Weblog
急に寒くなったので、今日は家に帰ってからこたつを出し、
煮物を作った。

部屋の中に出汁の匂いが満ちるだけで、すごく幸せな気分になる。
やはり日本人だなあ、と感じる瞬間だ。
出汁といっても即席だけど、やはり八角の匂いとは全然違う、
安心感のある食欲がわいてくる。

さて、80后の上海人女子が、伊勢丹の紙袋を持って来たので、
「お、伊勢丹じゃん。金持ちだな~。
 私なんて、日本でもなかなか伊勢丹で買い物なんてできなかったよ」と言ったら、
「え? 伊勢丹って日本の百貨店なの? どおりで日本のものがたくさんあると思った」との返事。
伊勢丹の約20年に渡る努力に拍手だ。

中国人は、人が持っているものについて、どこで買ったのか、いくらかと、
根掘り葉掘り聞く習慣がある。
特に私が日本で買ったものには興味津々だ。

そして、たいていの場合、日本の方が、いいものが安く手に入る。
日本のと同じ品質の物に、上海では1.5倍から2倍の価格がついていると思う。
つまりは、関税と言う既得権でガッポリ儲けている人たちがいるから、そうなるわけだ。

税金の優遇があるため多くの外資が入る保税区で作られた物は、
たとえMade in Chinaであっても、輸出されることが前提となっているため、
逆に中国国内で流通させる際には、輸入という手続きがとられる。
外資を誘致し、中共に富が入る、見事な仕組みだと思う。

おかげで欧米の物を見る目が少し変わった。
日本も輸入関税がかかっている舶来品。
でも、明らかに上海のほうが市価が高い物がたくさんある。
日本の貿易会社は計画的な仕入れと流通で、かなり努力したな、と思ったり、
これは、ちょっと品質に影響するくらい危ないんだろうな、と思ったりする。
いろいろなところに、学びの場はあるものだ。

そして上海人は、お金を持ったけれども、
何が本物なのか、どれが適正な価格なのかが、まったく判断できない。
それで、私に聞いてくるわけだ。
これ、日本だったらいくら?と。

だから、スーツ等の場合には、ボタンの裏側を見せたり、裏地を見せたりして、
仕立ての良さをさりげなく説明したり、
生地の取り方で、実は非常に贅沢だけど、おかげで身体が動かしやすいのだとか、
ちょっとした蘊蓄をたれてやると、非常に喜ぶ。

いま、上海人など一部の中国人はお金をもち、
とりあえずは安心な日本製が欲しいと思っている。
そして次には、数ある日本製の中で、なぜこれを選ぶのか、という
自分なりの価値観がほしくなる。

最近、中国人の女子が一番くいついてきたのは、えんぴつの補助軸。
会議中、私が机の上に転がしておいた補助軸をチラチラ見ていたと思ったら、
会議が終わってから、これはなんだ?と聞いてきた。

えんぴつ削りもついてる補助軸だよ。ドイツのファーバーカステル製。
えんぴつでは、ファーバーカステルは木はやわらかくて削りやすいけど、
芯の柔らかさで比べると、私は日本の三菱が好き、と言ったら、非常に驚いていた。
まったく想像もしなかった回答だったからだろう。

どうやら、意外にもいろいろと見られているようなので、
言動には気をつけようと思う今日この頃だ。

週末の読書

2013-11-17 21:09:16 | Weblog
週末に読書を2冊。
『「南京事件」の総括』(田中正明著、小学館文庫)と
『中国自壊』(増田悦佐著、東洋経済新報社)

南京については、南京攻防戦で起きたことのまえに、
なぜ支那事変があそこまで泥沼化したのか、という経緯を
もっと考える努力をしなければ、
単に、東京裁判の妥当性の話になってしまうなあ、と思う。

戦後生まれの私たちには、そのへんの経緯がよくわからないわけだし、
(学校では、自虐史観以外習わないし)
そもそも戦前・戦中の人でも、後からすり込まれた印象だけで語る人も多い。
支那事変に関しては、多くの文書は敗戦の折りに破棄されただろうけど、
もうちょっと自分たちで研究すべきじゃないか、と思う。

私たちの世代には、なぜ、満州事変が起きたときに、
支那に日本軍が堂々といたのか、その理由を知らない人も多い。

よくよく考えてみたら、すごく不思議で、
いくら中国が弱体化していたときとはいえ、
「ニーハオ。日本軍です。今日から居座っちゃいますね」と言って、
軍備ばりばりの人たちが、すんなり上陸させてもらえたわけはないんだ。

そして、ふと思い出したのが、
小学生の頃にテレビで放映されていた「北京の55日」という映画のこと。
私にスゴく不思議な印象を残した。

最悪なくらい野蛮な中国人が跋扈してて、
チャールトン・ヘストンが主演で、カッコいいんだけど、
最後に日本軍が毅然と行進して北京入りするシーンがあって、
北京のみなさんは拍手喝采、大喜びしている。

なんだかよくわらない映画だな~という印象が残っている。
いま見たら、全然違う印象を受けるんだろうな。
久しぶりに見直したい作品の1つだ。

『中国自壊』のほうは、上海にいる日本人の友人や、
ネットで反体制的なことを、ユーモアまじりに繰り出している中国人たちの言葉を、
客観的な数字できれいに並べて「はい、どうぞ」と見せてくれた感じの内容だった。

中国系の報道を毎日読むようにしていると、当然入ってくる内容ばかりなんだけど、
これは私が日本語の報道も見られる立場だからなわけであって、
中国人は、共産党の情報操作の中にあって、
それこそ、口コミやよくわからないネットワークをもとに情報を収拾し、
ほぼ正確に把握しているわけだから、中国の民衆は、やはり賢いんだろうと思った。

GDPが日本を抜いたのに、いまだに日本の生活水準に追いつけていないことは、
中国人自身が実体験として理解していることだし、
こんなところに誰が住むの?というようなマンションが乱立し、そのままゴーストタウン化して、
数年後には建て替えられるなんてことも、
しょっちゅう見ているわけだから、そりゃあ、いくら中央が隠しても丸見えだ。

たまに、中国人とそんな話になり、
「日本もワケがわからない新幹線やトンネルが通ったりしたよ~」と言うと、
妙な親近感がうまれるので、角栄さんは、今でも日中友好にすごく貢献してくれている。

そして、そんな話題になった時、いつも心の中に思うのは、
「でも日本は、手抜き工事が少ないけどね」という、ちょっとした誇りだ。

火の元

2013-11-16 21:15:31 | Weblog
今年の社員旅行は、上海から近い中国国内で、ゆっくりすることになった。
中国人社員からは「日本に行きたい」という要望が非常に強く、
理由を聞くと、ほとんどが「すごくいいって聞くから行ってみたい。買い物がしたい」だった。
特に、小さい子どもを持つ親たちは、日本ブランドの洋服や食べ物、おもちゃが買いたい、とのこと。
社員旅行というよりも、買い出しツアーだな。

中国で輸入品を買うと、日本の市価の倍ぐらいするし、
日本にいる中国人の留学生に手数料を払ってお願いすると、国際郵便で届けてくれるけど、
ネット上でそういうバイトをしている見ず知らずの学生たちには、
あやしい人も多いし、やはり自分の目で確かめて買いたいのだとか。

去年のバンコク旅行が大変に不評だったので、
国内小旅行でゆっくりしようという方針には、ほとんどの人が賛成だったのだけど、
今年入社した人は、やはり海外に行きたい様子だった。

中国人は、特に地方出身者は、中国国内もほとんど旅行したことがなく、
国慶節と春節に、上海と実家を、猛烈な人ごみの中、
ヘトヘトになって移動する以外に、中国国内を移動したことがほとんどない。
そして、都会に憧れて上海に来ているわけなので、地方都市にはあまり興味がない。

上海近郊でいくつか候補が挙がったうち、数人の中国人が「南京!」と言ったのだけど、
日本人と中国人が一緒に行って、仲良く帰って来られるとは思えないので却下だった。

南京と聞いて、ほとんどの人は「南京大虐殺」を思い出すけれど、
日本の当時の新聞報道や、当時は秘匿されていた細菌兵器のことはもちろん、
昭和2年の南京事件なども、いろいろと語れてしまう日本人が私以外にもいるので、
これでは、去年のバンコクと同じ結果になってしまう。
ただし「南京」と言った中国人は、南京大虐殺のことなんか考えずに発言している。
もしくは、私たちのことを日本人だと意識してない。

去年のバンコク旅行が不評だった理由にはいろいろあるけれど、
日本人と中国人のあいだの溝となった最大の理由はこれだろう。
空港で現地のガイドが帰ってしまい、代わりに派遣されて来た自称旅行会社の人が、
パスポートを集めると言ったので、
日本人は「知らない人にパスポートを預けるなんてイヤ!」と猛烈に反対したら怒られたので、
ある人が「中国のパスポートなんて欲しい人いないけど、日本のパスポートは人気なの!」と
口が滑ってしまい、中国人が猛烈に怒った。いまでも怒っている。
そういう日本語はバッチリ聞き取れるんだよなあ。

いまの若い人たちは、中国でパスポートを取得するのが非常に難しかった
たった20年前のことを知らない。
あの頃、日本のパスポートを何とか手に入れようとしていたのは、中国人だった。
それを日本人から言われると、中国人のプライドはいたく傷つくのだ。
怒っている理由はただそれだけで、中国人をもっとも信用しないのは中国人だから、
彼らも心の中では「そういう商売をやるヤツはいるだろう」と思ってはいる。
親戚の中には、それでお金を貯めた人がいるかもしれないくらいだ。
ただ、事実をネタに「そういうヤツら」を、ざっくばらんに、なかなか語れない。

だから、日本人が「日本人にも悪いヤツはいるよ。南京でも、いい兵隊さんもいただろうけど、
悪いヤツだって、それこそたくさんいたでしょう。そう考えると、きっと中国人も同じ。
当時は国民党だったわけだし、いいヤツもいれば、悪いヤツもいるよね」と言って、
「そうだね。私は祖父からこんな話を聞きました」と、日本人が期待する話の展開になるには、
その中国人が相当頭がいいか、外国なんて普通に行ける都会育ちの金持ちか、
もしくは、事前にかなりの努力をして人間関係を構築しておく必要がある。
単なる同僚やちょっとした顔見知りぐらいの普通の中国人(たぶん10億人以上いる人たち)は、
このセリフを日本人が言った途端に、シャットアウトしてくることだろう。
そして、それは彼らが予想していた話の展開とは違うからなのだろう。

ということで、中国人と知り合えば知り合うほど、
過去の話を中国人とするのは、かなり難しいと思うので、
こちらも無理して話を合わせたり、一緒に行動しない方が、お互いのためだとつくづく思っている。

2013-11-14 23:30:32 | Weblog
今朝、通勤でバスに乗っていたら、
信号待ちのときに、隣に幼稚園児を乗せたスクールバスがとまった。

2~3人の顔が、こちらを見ている。
みんな「倦怠感」を人の顔に貼付けたらこうなる、というような顔つきをしており、
「上海の子どもも、こんなになっちゃって」と思った。

ふとバスの中の貼り紙を見ると、
「あいさんにあいさつしましょう」と日本語。
なんだよ。日本人か。
ちなみに「あいさん」というのは、家政婦さんのこと。

それにしても、彼らは揃いも揃って、
外国にいるのに、好奇心のかけらもない顔だった。
きっとお父さんやお母さんも、同じような顔をしてるんだろうなあ。

あ、そっか。「きたないバスだな~」とでも思いながら、
こっちをのぞいていたのか。

でも、目が合った私は日本人だよ、一応。
そうは見えなかっただろうけど。

朝から調子が狂い気味だったところで、
中国人の部下さんから変な褒め言葉をかけられた。

以前、スピーチ用の原稿を日本語に翻訳してあげ、
ついでに発音を録音してあげたことがある。

彼女はそれを国慶節の休みに実家に持ち帰り、自習していたらしい。
そしたら、ちょうど日本語がわかる人が遊びに来ていて、
私が吹き込んだ録音を聞いて
「すごい、標準語だ。正しい日本語。東京の人?」と聞かれ、
「そうよ。私の上司は東京の人なの」と、
すごく自慢したい気持ちになったのだとか。

ま、よくわかんないけど、よかったな、と思った。

音速

2013-11-13 22:02:05 | Weblog
いつもお昼になると並んでいるお店がある。
それなのに、今日は少し出遅れたにも関わらず空いていたので、
久しぶりに入ったら、どうもいつもと雰囲気が違う。

上海人がいない。周辺のオフィスで勤めているらしき人がいない。
いかにも外省から上海に出張に来ました、という雰囲気のグループや、
たまたま通りがかった人ばかりのよう。

なんかイヤな予感がしつつも、いつも頼む酸辣麺をオーダーした。

出てきた。
なんだか色が違う。真っ黒だ。
一口食べたら、スープの味がまるでしなくて、お湯に黒こしょうの粉が浮かんでいるだけ。
黒い色の正体は、黒こしょうだった。
が、香りはすでに飛んでいた。

酸(すっぱい)でもなければ、辣(からい)でもない。
麺はいつも通りの麺だったが、味がしない。
明らかに味が落ちた。味がないわけだから、落ちるも何もないけど。

なるほど。だから空いていたのか。

中国人の口コミ力というは、本当にスゴい。
一度悪い評判が立つと、ものすごい勢いで客足が途絶える。

で、その口コミをどこで仕入れるのかというと、
オフィスビルのエレベーターの中、とか、信号待ちしているとき、という感じ。
普段から、話し声が大きいからこその伝達力だ。

あそこの店はオーナーが変わって味が落ちた。
何曜日、あそこの店はサービスがつく。
あそこは風水が悪い。
あそこは移転と言っていたけど倒産だ。
何階にいる人は最近郊外にマンションを買った。

根拠のある話から、まったくのうわさ話まで、音速で広がっていく。
そして、新聞の報道よりも、よっぽど信頼される。

で、食堂の味が落ちた話を会社ですると、
「今ごろ知ったの~。有名な話だよ~」と言われるに決まっているので、
お昼休みの不完全燃焼については、誰にも話さないことにした。