ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

フラワークロスのペンダントトップ (その1)

2008年11月11日 | ジュエリー作品&試作品

今年の3月に安井インターテックさんでラヴァーグの生徒たちのために鋳造勉強会を開いてくださいました。(その時のレポートはこちらです)
その1 その2 まとめ

ジュエリーCADでデザインしたデータを、せっかくエキスパートの方に光造形からゴム型制作、鋳造までしていただいたのに、最後まで仕上げずにほったらかしにしていました。作品をやっとこさで重い腰をあげて仕上げたのがこちらです。実に8ヶ月近く、”塩漬け”になっちゃってましたね。

名づけて、『フラワー・クロス』 
花びらをクロスに仕立てたペンダント・トップです。

 
ブラックCZと、センターはクリアCZ

なにせ、石を全部で61個も留めなければならないのが面倒くさくて”放置プレー”になってしまった次第です。

でも、このデザインの趣向的には自画自賛ながらとても気に入っています。写真だとわかりづらいかもしれませんが、まず、中央で斜めに山折状にした花弁状のパーツを、風車の羽のように傾きとひねりを加えて組み合わせています。このパーツは直線的だし、花びらというよりまさに”ウィング、と言うべきかな。

何故こんなややっこしいことをしたかというとですね・・・。石のテーブル面がすべて垂直(平坦)だと正面から見たときしか光りませんが、このペンダントトップはどの方向から見ても、いずれかのウィングが光を反射しています。またトップ全体が揺れる時に、ぐるっとウィングから隣のウィングへ光がウェービングするように輝きます。そういう”光の遊び”を取り入れてみたかったのです。

(それがどうした、ですって?だから~、あくまでも自己満足ですってば。こんなくだらないこと、誰も思いつきませんでしょう。(笑))


Front画面(下方向から見た図)
まさに、”一ひねり”してみました。

こうした形状は、3D光造形のお得意技です。切削機での造形が厳しいな理由は、石座や爪が斜めに向かっており、しかも針が入らない部分があるためです。

   

実は、最初はもっと”羽”の傾き具合が控えめだったのですが、先生から、”もっと思い切って倒さないと、実寸だと傾いているように見えないよ。”と言われて、傾斜を強くしました。地金になってみて、”ナルホド!”と思いましたよ。



ジュエリーCADは、実寸大の何倍もかなり拡大して制作しますので、画面上で見るのと、実際に地金になったときではかなり自分が思っていたイメージと異なることがあります。レンダリングすると、強い光をあてたように陰影が強く出るため、目の錯覚でさらに強調傾向が強くなるようです。しっかり湾曲させたつもりが意外とのっぺりだったり、深く入れたように思った溝が浅かったり・・・。

ジュエリーCADはその辺が難しいところです。いくらデータ作りに慣れても、造形の経験もある程度積まないと、この”調整能力”は培われないように思います。

   

さて、話は戻りますが、このペントップ、造形時に、”まじっすか?ほんとうにこのサイズであってます?”と依頼先から再確認されたほど、大きいです。(縦40mm横30mm)原型や鋳造後の作品を見た人達からも、”デカー!何これ?!”と驚かれました。それだけ見ちゃうとたしかに異様に大きい感じもします。  

むふふ。でもこのサイズは構想時から織り込み済み。この段階では誰もワタシの”企み”に気づきますまいて・・・・。

今回の作品、あえてなぜこのサイズなのか?
それについては、次回に続きます。