ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ピンチもチャンスに?!”プチリッチ”気分を満足させる成功者達

2008年11月20日 | ジュエリーよもやま話
先日、ある女性雑誌を立ち読みしていたら、案の定、クリスマスに向けてか、人気ジュエリー特集をやってまして、前半が『自腹派』、後半が、『おねだり派』とカテゴリー分けされてました。その雑誌、オトナの女性(30~40代)をターゲットにしてるのに、”自腹”、って表現がなんかもうヤブレカブレで、ツッコミ入れたくなります。(笑)

”自腹派”の価格帯は、3万円台中心、”おねだり派”は10万円~20万円台が中心。これがごく平均的な消費者市場の現実なんだと思います。デザインはおとなしく平凡かつ保守的(ちゅうか古臭いぽいデザイン?)なもの、つまり無難な路線というのでしょうか。”飽きなくて長くつけられるそうなもの”という堅実派が大勢を占めているのでしょう。おねだり派の人気ラインナップは当然、ロゴつきのブランドもんかダイヤモンド。こちらは少しでも見栄を張りたい、という心理はバブル時代と変わらないようですね。

この特集が、いわゆるジュエリームック誌のようなメーカーに焚き付けられた”煽り”記事じゃないなと感じられたのは、きょうびのOLさんや奥様達には”自分にご褒美”と言ってエイヤーっと高いものを気合で買ってしまうような消費傾向にない、という世相をきちんと分析しており、正直に”自腹派”の売れ筋として3万、5万という”衝動買い”の許容価格ラインが出ていたことでした。たぶん、ちゃんと小売店でリサーチしたんでしょうね。

    

さてさて、どちらを向いても不景気な話ばかりですが、ちょっと元気になるお話を。先日、近所の酒屋さんで店主から面白い話を聞きました。その方は、まだお若いのにお店を自力で一代で成功させ、とても繁盛しています。

その人によれば、丸の内や六本木あたりのショッピングエリアでは、とにかく高級なものが売れなくなっているそうですが、一方で女性の間で飛ぶように売れているのが、”プチリッチ”な食べ物なんだそうです。たとえば、ロイヤルホストが、あれこれ小皿がついたセットメニューをファミレスのランチにしてはちょっと高い1600円台で出したところこれが女性客にバカ売れでウホウホだそう。一方デパ地下では、1個500円以上もする高いケーキがガンガン売れてるそうです。

前置きが長くなりましたが、そんな”プチリッチ”傾向がオトーサン世代にも反映され、社用で高級料亭や銀座のクラブに行けなくなったかわりに、ちょっとこじゃれた割烹で、ランクの高いお酒を楽しむのが流行っているそうです。この若い店主の酒店では、普通に買える酒は一切置かず、一般には手に入りにくいお酒や通好みの珍しい限定品だけにこだわって置いたところ、料理店から引きも切らない状態なのだとか。航空会社からファーストクラス用の酒を調達したいという引き合いもきているそうです。

そして、彼は”コンサルテイング販売”に近い面白い接客手法を採用しています。やって来た顧客はまずテーブルに座らせ、好みやあわせたい料理をヒアリングし、それにあわせた酒を店の奥から取り出して出してきては、じっくり試飲させて買ってもらうという接客スタイルをとっています。客が試飲して選んだお酒に合う料理をアドバイスしたりもします。なので一人一人にかかる応対時間が長く、待ち行列ができていることもあります。料理店相手でなくても個人客の単価の売上はすごくて一人何万円といった単位で買っていきます。(うちもたくさん試飲させてもらって、いい気分になり、ついついいつもたくさん買ってしまいます。)

商品はほとんど奥に隠されており、店頭にはほんの少しの商品しかおいてなくて、雰囲気のよいディスプレイがしてあるだけです。行くたびに、”今日は何を提案してくれるのかな?”と楽しみになるお店なのです。小さいお店だから定番商品をたくさん在庫するのでなく、少ししか手に入らない限定商品を次々と少量手に入れているのだと思います。手持ちの商品を全部見せない、お客が店主の手中に喜んではまりたがる、こんなことは普通の店では考えられないことです。

最近、大型スーパーが出来て酒類をディスカウントして売るようになったのでその周辺の個人の酒屋は軒並み潰れているのですが、この若い店主はそうしたマーケティングリサーチと独自の戦略を打ち出す勇気があったからこそ、逆境にもまけずに前向きに成功できているのですね。

ロイホ、デパ地下のケーキ屋、近所の酒屋さん、この人たちの成功の共通点は、『不景気だから安売りする』、という短絡的な発想に走らず、マーケットが多様化・二極化していることをきちんと押さえて、差別化を図るマーチャンダイズをしていることですか・・。

不景気だから、を言い訳にしないで、逆にチャンスにしてオリジナルの”ブーム”を作り出している人たちってすごいなぁと、元気付けられた次第です。