立憲民主党の野田佳彦元首相(67)は29日、党代表選(9月7日告示、23日投開票)への立候補を表明した。地元の千葉県習志野市のJR津田沼駅前で、「再び首相を目指す」と記者団に語った。次期衆院選で自民党を過半数割れに追い込むことを目標に掲げ、「もう1回政権を取り戻すための道筋を付けることが私の役割だ」と意気込んだ。代表選への出馬表明は、枝野幸男前代表(60)に続いて2人目。(中沢穣)
◆自民党に失望した保守層を狙う
野田氏が描く政権交代に向けた戦略はリベラル層に加えて保守層からの支持拡大で、「自民党に失望した保守層の心をつかむやり方が必要だ」と指摘。旧民主党政権時に消費税増税を巡ってわだかまりのあった党重鎮の小沢一郎衆院議員とも会談を重ね、「穏健な保守層まで狙わないと政権を取れない」との分析で一致したことを明らかにした。
野田氏は、立民だけでは衆院議席の単独過半数に届かない可能性があるとの現状認識を示し、「野党連携が必要になってくる。対自民党では『戦闘力』、野党との関係性では『包容力』が求められる」と強調。日本維新の会や国民民主党といった「中道から右のサイドの野党」(野田氏)との連携を進める。共産党とは「対話できる関係が必要」としつつ、連立政権には否定的な考えを示した。
◆「私に刷新感は全くないが…」
旧民主党政権で最後の首相となった野田氏に対しては、消費税増税を進めて下野するきっかけをつくったとして反発する議員もいる。このことにも触れ、「私の判断で多くの仲間を失い、痛恨の極みだった」と述べた。
打ち出す政策としては、「分厚い中間層の復活と格差の是正」を筆頭に挙げた。「私に刷新感は全くないが、新鮮な人たちに支えてもらって意見を取り入れる」と柔軟な構えを見せた。
立民代表選と同時期に行われる自民総裁選では、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて表面化した政治とカネ問題も争点になるが、「彼らではうみを出すことはできない」と否定。野田氏は、2012年の党首討論で安倍晋三元首相と約束した議員定数の削減、世襲の禁止など「本質的な政治改革を自らの手で実現したい」と強調した。
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