女性初の米大統領を目指すハリス副大統領(59)が、民主党大会で「過去の分断と決別し、全国民の大統領となる」と演説し、大統領候補の指名を受諾した。11月の大統領選で共和党のトランプ前大統領(78)に勝利し「ガラスの天井」を突き破れるのか注目したい。
「ガラスの天井」は1970年代に米国で生まれた言葉。性別や人種を理由に昇進が阻まれる見えない障壁を指す。2016年の大統領選で初の女性大統領を目指して敗れた民主党のヒラリー・クリントン氏(76)は当時「『ガラスの天井』を打ち破れなかった」と悔やんだが、今回の党大会では「ついに打ち破るところまで来た」とハリス氏に夢を託した。
各種世論調査によると、ハリス氏の支持率はほぼ右肩上がりで、トランプ氏をわずかにリードしている。バイデン大統領(81)もトランプ氏も嫌う「ダブルヘイター」の支持が、バイデン氏の撤退を受けてハリス氏に流れているとみられる。同氏が高校時代にダンスをした映像なども、若者の間では親しみを持って広がっている。
ただ、ハリス氏が勝利に向けて一気に前進したとも言い難い。物価高や中東情勢、不法移民の流入問題など現政権が抱える難題に有効な対策は示せておらず、トランプ氏やその支持者は、ハリス氏は能力不足にもかかわらず多様性を重視するバイデン氏の方針で不相応な地位を得たと批判する。
トランプ氏はハリス氏を「愚か者」と呼んだり、出自について虚偽情報を基に批判するなど、論争ではなく中傷を続けている。
人気歌手テイラー・スウィフトさんが自身を支持しているという虚偽画像を拡散したり、独立系候補ケネディ氏に対して選挙戦からの撤退と引き換えに主要ポストを用意する考えを示すなど、なりふり構わぬ票集めも目立つ。
トランプ氏が能力本位で人物を選べと主張するのなら、ハリス氏との能力の違いを論理的に示すべきだ。女性候補を根拠なく侮辱したり足を引っ張るだけなら、そうした言動こそが「ガラスの天井」だと批判されて当然である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます