【日時】2022年6月18日(土) 開会 14:00 ( 開場 13:30)
【場所】同志社女子大学 京田辺キャンパス 新島記念講堂
新ストップ設置解説 都留 裕幸(ヤマハ株式会社パイプオルガン技術主管)
演奏 ジャン=フィリップ・メルカールト(那須野が原ハーモニーホールオルガニスト)
曲目
J.S.バッハ:ピエス・ドルグ(幻想曲)ト長調 BWV572
N.de グリニ 『オルガン曲第1巻 グローリア』より ティエルス・アン・タイユのレシ、5声のフーガ、グラン・ディアローグ
C.フランク:前奏曲、フーガと変奏曲 op.18、英雄的小品
M.デュリュフレ:組曲 op.5“前奏曲”“シシリエンヌ”“トッカータ”
整理券を申し込んで聴きにいくことにはしていたが、パイプオルガンの曲はそれほど知らなしし、新ストップと言われてもピンとこななった。行く直前になりネット検索しストップとは音色を変えるものくらいは知っていったものの、ほぼ予習なしである。
とはいえ、新島記念講堂は馴染みの場所でもあった。出身高校が隣にあり、吹奏楽部の定期演奏会が開催されていた場所でもあり、聴きに行ったり、ステージに出させていただいたりしたこともあった。何より、田辺校地は高校3年、大学2年と少なくとも5年間通ったので心理的には近い場所だ。
会場に行くと同女の関係者の方がたくさんおられて、スタッフをされていたり、関係者の方が脇で挨拶しておられたり、慌ただしい様子だった。この日はオープンキャンパスも同時開催で人の出入りもそこそこあった。この演奏会は事前申込制なのでオープンキャンパスによって混み合うというものではなかったが、ご自由にとれるチラシと一緒に、同志社女子大学の学校案内も置かれていた。
パイプオルガンが聴きやすそうな座席を確保し、プログラムを見て「寄附者メッセージ」を食い入るように読んだ。設置時に予算の関係で数十本のパイプがオルガンの裏側に残されていたのだが、それを気にかけた同窓会組織が寄附し、それのおかげでパイプが生き返ったというのだった。これを知れただけでここに来た甲斐があったというものだ。
ストップ設置解説として設置に携わられたヤマハの担当者ご本人から直々に説明が聞けるというのも興味深かった。その後の演奏会では前に大型スクリーンを設営し、パイプオルガンの演奏の様子を見ることができたのもよかった。パイプオルガンは席の後ろにあり、演奏家さんは通常は見えないので見えるのはとても嬉しい配慮だと思った。演奏も素晴らしかった。演奏家さんの姿勢がとてもよく、大げさな手の動きとか体の揺れとか一切なく、安定した良い姿勢のままでいろんな曲を演奏された。
プログラムによると、新島記念講堂が建った時にはパイプオルガンは無く、2001年に設置されたとのことだった。それで思い出したのは前述の吹奏楽部の定期演奏会で、オルガンが設置されてまもない頃サン=サーンスの交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」を演奏されたことがあった。オルガン担当は私の在学中から顧問をしておられた先生だった。演奏会前日に先生に会うと、サンダルを履かれていた先生の足指は絆創膏だらけだった。無礼な私は先生の足を見ながら「先生、練習しすぎで?」と聞くと「違う!靴づれ!」と本気で怒られた。あんな大曲、練習していないわけがないのに。
演奏会が終わり、帰り道、横目で出身高校を見ながらいろいろなことを思い出した。今回1人でここまで聴きに来たのはなぜか、何が突き動かしたのかと思った時、ふとその先生が誘ってくれたのではないかと思えてきた。先生も同女のバイオリン科の出身で同窓会組織にも縁があっただろうし、またこの場所やオルガンには当然縁があるし、もしまだ生きておられたら、関係者として走り回っておられたかもしれない。そんなことを考えながら、駅へ向かう坂を降りた次第である。
あれ以降、パイプオルガンの曲をYouTubeで再生することが多くなった。パイプオルガンのことは、また後日書きたいと思う。