■日時:2008.6.27(土)18:00~21:00
■場所:ザ・シンフォニーホール
昨年の観戦で、ちょっと萎えてしまったので今年は別に、と思っていたのですが、友人が誘ってくれたので行ってきました。
友人の希望で、ピアニストさんの手がよく見える席での観戦。
お客さまの入りは7~8割程度で、昨年よりも少ないのではという印象でした。
以下、演奏順に、印象など。
◎ピアノ/蒲生祥子
曲目:シューマン/交響的練習曲 op.13
黒に白の花が散りばめられたドレスで登場。出てこられただけで華やかな感じがしました。ロングヘアーが椅子につくかつかないかくらいあって、それもよく似合っておられました。トップバッターとは思えないような堂々と落ち着いた様子で演奏されているように見えました。最後の音を弾ききったとき、手を高く上げて、表情もさわやかでした。気になったのはペダルを踏む音でした。カタ、カタ、とはっきりと聴こえてしまって、靴との相性なのでしょうか?
◎ソプラノ/白石優子 (ピアノ/関口康祐)
曲目:ワーグナー/「ヴェーゼンドンクの5つの詩」より "夢","苦悩",
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」より "ひとり寂しく悲しみの日々を"
青と緑の間の色のドレスで登場。お二人ともちょっと緊張しておられたように感じました。2曲目のほうがその緊張も少し和らいだのか、表情豊かに思いましたが、普段ならもっとパーンと届くような声を持っておられたのかも、とも思いました。
ピアニストの方は、丁寧なタッチで弾いておられました。横顔が、あるテニス選手に似ている、などと思っていました。
◎ピアノ/小瀧俊治
曲目:ラフマニノフ/ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 op.36 (1931年版)
体型は細い方でしたが、音は鋭くて若々しくて、フォルテのところなどは聴き映えして、さすが男性という感じでした。難しそうな曲なのに淡々とミスなく演奏されているように見え、余裕があるかのようでした。気になったのは左足でした。フォルテのところとか、踏ん張りが必要なところで、左足も振り下ろしておられて、踏ん張りには必要な動きなのかもしれませんが、気になりました。
◎メゾソプラノ/石井 藍 (ピアノ/遠藤麻弥)
曲目:R. シュトラウス/わが思いのすべて op.21-1,
ウェーベルン/死 ~8つの初期の歌 より第7番,
ウェーベルン/花嫁の夜の祈り ~声楽とピアノのための3つの詩 より 第2番,
サン=サーンス/歌劇「サムソンとダリラ」 より "君がみ声に我が心開く"
紫色のドレスで登場。ちょっと南国系のはっきりしたお顔立ちのせいか、目ぢからに見入ってしまいました。2曲目は「死」という曲名を知らなくても、重々しく苦悩に満ちた声と顔だけで「死」とわかってしまうような演技力でした。オペラも見てみたいです。
ピアニストの方は、黒いドレスで、ほっそりした方でした。ピアノと歌がよく合っていました。目立たないけど(?)いい伴奏と思いました。
◎ピアノ/松川文子
曲目:ラヴェル/「夜のガスパール」より "オンディーヌ","スカルボ"
濃い目の赤いドレスで登場。髪はショートで、プログラムの写真とは異なっていましたが、ショートがよく似合っておられました。友人がこの曲について、一番難しい曲の一つだ、といったことを言っていたのですが、細かい音で手がつりそうな動きが多くて、手の動きを凝視していました。知らないものからしたら、手が交差したり、同じような場所を右手と左手が弾いたりするのをみると、かっこいいいと思ってしまいます。曲が終わったらブラボーも出ました。私も、曲の後半部分では、フィギュアスケートの後半部分を見つめるような思いで、がんばれ、がんばれ、と祈るような思いでした。その一方ではイラストの「リサとガスパール」に出てくるガスパール(黒いほう)が頭の中で動いていたのですが。それはさておき、私の好きな感じの曲だったということもあり、この方が選ばれたらいいなと内心は思いました。
◎バリトン/桝 貴志 (ピアノ/藤江圭子)
曲目:中田喜直/木兎,
ヴェルディ/歌劇「ドン・カルロ」より "終わりの日は来た",
ロッシーニ/歌劇「セヴィーリャの理髪師」より "私は町の何でも屋"
友人が、以前、クラシックのライブハウスで聴いたことがあるとのことで、その時の様子から楽しみにしていました。私は2曲目がよかったと思いました。3曲目はコミカルな演技、早口言葉が沢山ある歌詞で魅了し、終わったらブラボーが沢山でました。プログラムの紹介文から経験も豊富のようでしたが、今日聴いた限りでいえば、エンターテイメントとは何かを知りつくしておられるように感じました。
ピアニストの方は、歳も上の方のようで、そういうところからも、全体から醸し出す貫禄がありました。
審査の間、昨年の井上圭子さんに師事している早野紗矢香さんのパイプオルガン演奏がありました。
審査発表の際、審査委員長の伊藤京子さんは「熱心に聴きすぎて腰が痛くなってしまいました。」とユーモアも交えながら“座って”講評がありました。音楽は美しくないといけない、意味のある強弱をつけること、演奏中に呼吸をすること、などといったことでした。決して、体調不良とかそういうことは言わないところが音楽家魂だと思いました。
審査結果は、
ピアノ/松川文子さん
声楽/桝 貴志さん
でした。
インタビューでは、松川さんは少し涙声になりながらかみしめておられました。桝さんはここでも貫禄がありました。
私の印象と審査結果に乖離はありませんでした。あとあとプログラムを読み返していると、松川さんが師事している楊麗貞先生が審査委員であったことがわかりましたが、松川さんの演奏は今日に限って言えば一番心にきましたので、揺るぐものではないと思いました。ただ、やっぱり師事しておられる先生が、審査委員にいらっしゃるというのは、なじめないのですが、それとて、演奏家は何も悪くありません。桝さんについては、結果は経験の差かな、と思いますが、エンターティナーの要素を十分に兼ね備えておられ、また見たい、聴きたいと感じるような演奏でした。
■場所:ザ・シンフォニーホール
昨年の観戦で、ちょっと萎えてしまったので今年は別に、と思っていたのですが、友人が誘ってくれたので行ってきました。
友人の希望で、ピアニストさんの手がよく見える席での観戦。
お客さまの入りは7~8割程度で、昨年よりも少ないのではという印象でした。
以下、演奏順に、印象など。
◎ピアノ/蒲生祥子
曲目:シューマン/交響的練習曲 op.13
黒に白の花が散りばめられたドレスで登場。出てこられただけで華やかな感じがしました。ロングヘアーが椅子につくかつかないかくらいあって、それもよく似合っておられました。トップバッターとは思えないような堂々と落ち着いた様子で演奏されているように見えました。最後の音を弾ききったとき、手を高く上げて、表情もさわやかでした。気になったのはペダルを踏む音でした。カタ、カタ、とはっきりと聴こえてしまって、靴との相性なのでしょうか?
◎ソプラノ/白石優子 (ピアノ/関口康祐)
曲目:ワーグナー/「ヴェーゼンドンクの5つの詩」より "夢","苦悩",
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」より "ひとり寂しく悲しみの日々を"
青と緑の間の色のドレスで登場。お二人ともちょっと緊張しておられたように感じました。2曲目のほうがその緊張も少し和らいだのか、表情豊かに思いましたが、普段ならもっとパーンと届くような声を持っておられたのかも、とも思いました。
ピアニストの方は、丁寧なタッチで弾いておられました。横顔が、あるテニス選手に似ている、などと思っていました。
◎ピアノ/小瀧俊治
曲目:ラフマニノフ/ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 op.36 (1931年版)
体型は細い方でしたが、音は鋭くて若々しくて、フォルテのところなどは聴き映えして、さすが男性という感じでした。難しそうな曲なのに淡々とミスなく演奏されているように見え、余裕があるかのようでした。気になったのは左足でした。フォルテのところとか、踏ん張りが必要なところで、左足も振り下ろしておられて、踏ん張りには必要な動きなのかもしれませんが、気になりました。
◎メゾソプラノ/石井 藍 (ピアノ/遠藤麻弥)
曲目:R. シュトラウス/わが思いのすべて op.21-1,
ウェーベルン/死 ~8つの初期の歌 より第7番,
ウェーベルン/花嫁の夜の祈り ~声楽とピアノのための3つの詩 より 第2番,
サン=サーンス/歌劇「サムソンとダリラ」 より "君がみ声に我が心開く"
紫色のドレスで登場。ちょっと南国系のはっきりしたお顔立ちのせいか、目ぢからに見入ってしまいました。2曲目は「死」という曲名を知らなくても、重々しく苦悩に満ちた声と顔だけで「死」とわかってしまうような演技力でした。オペラも見てみたいです。
ピアニストの方は、黒いドレスで、ほっそりした方でした。ピアノと歌がよく合っていました。目立たないけど(?)いい伴奏と思いました。
◎ピアノ/松川文子
曲目:ラヴェル/「夜のガスパール」より "オンディーヌ","スカルボ"
濃い目の赤いドレスで登場。髪はショートで、プログラムの写真とは異なっていましたが、ショートがよく似合っておられました。友人がこの曲について、一番難しい曲の一つだ、といったことを言っていたのですが、細かい音で手がつりそうな動きが多くて、手の動きを凝視していました。知らないものからしたら、手が交差したり、同じような場所を右手と左手が弾いたりするのをみると、かっこいいいと思ってしまいます。曲が終わったらブラボーも出ました。私も、曲の後半部分では、フィギュアスケートの後半部分を見つめるような思いで、がんばれ、がんばれ、と祈るような思いでした。その一方ではイラストの「リサとガスパール」に出てくるガスパール(黒いほう)が頭の中で動いていたのですが。それはさておき、私の好きな感じの曲だったということもあり、この方が選ばれたらいいなと内心は思いました。
◎バリトン/桝 貴志 (ピアノ/藤江圭子)
曲目:中田喜直/木兎,
ヴェルディ/歌劇「ドン・カルロ」より "終わりの日は来た",
ロッシーニ/歌劇「セヴィーリャの理髪師」より "私は町の何でも屋"
友人が、以前、クラシックのライブハウスで聴いたことがあるとのことで、その時の様子から楽しみにしていました。私は2曲目がよかったと思いました。3曲目はコミカルな演技、早口言葉が沢山ある歌詞で魅了し、終わったらブラボーが沢山でました。プログラムの紹介文から経験も豊富のようでしたが、今日聴いた限りでいえば、エンターテイメントとは何かを知りつくしておられるように感じました。
ピアニストの方は、歳も上の方のようで、そういうところからも、全体から醸し出す貫禄がありました。
審査の間、昨年の井上圭子さんに師事している早野紗矢香さんのパイプオルガン演奏がありました。
審査発表の際、審査委員長の伊藤京子さんは「熱心に聴きすぎて腰が痛くなってしまいました。」とユーモアも交えながら“座って”講評がありました。音楽は美しくないといけない、意味のある強弱をつけること、演奏中に呼吸をすること、などといったことでした。決して、体調不良とかそういうことは言わないところが音楽家魂だと思いました。
審査結果は、
ピアノ/松川文子さん
声楽/桝 貴志さん
でした。
インタビューでは、松川さんは少し涙声になりながらかみしめておられました。桝さんはここでも貫禄がありました。
私の印象と審査結果に乖離はありませんでした。あとあとプログラムを読み返していると、松川さんが師事している楊麗貞先生が審査委員であったことがわかりましたが、松川さんの演奏は今日に限って言えば一番心にきましたので、揺るぐものではないと思いました。ただ、やっぱり師事しておられる先生が、審査委員にいらっしゃるというのは、なじめないのですが、それとて、演奏家は何も悪くありません。桝さんについては、結果は経験の差かな、と思いますが、エンターティナーの要素を十分に兼ね備えておられ、また見たい、聴きたいと感じるような演奏でした。