No tengo dinero ni tiempo.

昔習ったスペイン語で今でも覚えている数少ない文章の1つ。

『ヴェネツィアとナポリ』に浸る

2011-08-29 01:57:43 | 音楽
立て続けにリスト作曲『ヴェネツィアとナポリ』を聴きました。

ヴェネツィアとナポリ(巡礼の年 第2年 補遺)
1.ゴンドラを漕ぐ女
2.カンツォーネ
3.タランテッラ

2011年8月26日(金)森口 綾子(りょうこ)さん(ピアノリサイタル。場所:リーガロイヤルホテル ザ・クリスタルチャペル)
2011年8月28日(日)河江 優(すぐる)さん(サマーミュージックフェスティバル大阪2011。場所:いずみホール)

2人の演奏は全く違いました。河江さんの演奏が始まって、「あれ?違う曲だったっけ?」とプログラムを見直したほどでした。
森口さんの、速いテンポから繰り出される「2.カンツォーネ」の存在感のあるサビ(?)の部分が印象的で酔いしれました。歌っている光景や声の太さなどを思い描いたりして、一緒に行った友人と演奏会後に熱く語り合いました。
河江さんの演奏では、これまで気付かなかったことに気付きました。それは、1曲目のゴンドラは、女性が漕いでいた、ということでした。なぜ女性が・・・?ゴンドラを漕ぐというところから、今まで曲名に「女」とあるにもかかわらず、男性が漕いでいるところを想像してしまっていました。それと、もうひとつ印象的だったのは、曲を聴いていたとき須賀敦子さんのヴェネツィアについて書かれた一節が情景として浮かび上がってきたことです。「運河の水の音と、繋がれた小舟のきしむ音について書かれたやつ・・・。あったよね。」友人にそんなことを興奮気味に話すと、図書館でリファレンス業務に定評のある友人が即座に調べてくれて、程なくして全集第一巻収録「舞台のうえのヴェネツィア」の一節であることが判明しました。
ヴェネツィアで寝つきの悪かった須賀さん、夜中に物音で目が覚めてしまうのですが、ここから少し引用します。「物音はおよそ見当のつかない種類のものだった。(略)私はとうとう起きだして、音がどこからくるのか確かめようと窓を開けた。その窓は小さな運河の終点のようなところに面していて、(略)。運河の水が岸の煉瓦にチャポチャポと当たっていた。そしてすぐそばの暗い街灯に照らされて、小舟が一そう繋がれているのが見え、私はあの摩擦音が、船の舳先が波の上下につれて岸辺の石にこすれる音であることを突きとめた。それはスタンダールやアッシェンバッハの劇的なヴェネツィアとはほど遠い、そしてあの汗と喧騒に満ちた昼間のヴェネツィアには似ても似つかない、ひそやかでなつかしい音だった。」
同じ曲を違う演奏家さんで続けて聴けたことで、これまで以上に沢山味わえたと思います。今日もまた友人と、河江さんの演奏、こないだの森口さんの演奏、曲のこと・・・など熱く語りながら帰路につきました。
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2 コメント

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Unknown (まりこ)
2011-08-30 09:37:44
ヴェネツィア、行ってみたいです。
素敵な音楽の時間を過ごされたのですね~。


先日、友人に「私、もう7時間以上のフライトは体力的に無理」と言ったら「睡眠薬飲めば大丈夫だよ。私はいつも飛行機に乗ったら、すぐ睡眠薬を飲む。気がついたら着いてるよ」と。
それってアリなの?ちょっと怖いけど・・・
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まりこさんへ (管理人)
2011-09-01 00:27:40
睡眠薬は、私は服用したことがありません。幸いにも不眠に悩まされたことが無いので眠れない苦しみはあまり理解していませんが、睡眠薬の服用には抵抗があります。どうなんでしょうね。
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