1940年4人の18歳の少年たちによって発見されたラスコー洞窟は1948年から1955年まで一般公開され毎日1500人の観光客が押し寄せた。そのため洞窟内の気温や湿度などが大きな変化を起こして17000年も密閉保存されていた洞窟内の壁にカビやコケなどが生えだし、壁画に著しい損傷を与えるようになった。
それで1955年には一般公開を打ち切り、1963年には完全密閉してそれ以降の損傷を防ぐよう努力しているらしいが、いったん損なわれた絵は再生不可能になってしまった。
そこでフランス政府と関係者によって作られたのがラスコーII のこのウルトラモダンな建物。内部はラスコーの洞窟をそのまま再現してあり600の動物画が描かれている。実際のラスコー洞窟内には2000に上る動物画と原始時代の人が描かれているという。
ちょうどイースター前の休暇時期、朝の9時でこのたくさんの人々、チケット売り場で延々と並び、このラスコーのほかに2か所の観光地を含めたチケットが一人23ユーロだった。私たちのチケットはフランス人グループの中に含まれていて英語のグループは午後まで待たなければならないとあって、諦めてフランス人の団体の後ろについて歩き回った。
このラスコーII の人工洞窟は昨年(2016年)12月にオープンし,現フランス大統領フランソワー・オランデー氏によって開館された。ラスコー洞窟は1979年にユネスコ世界遺産に指定されている。
各グループが30人くらいで15分毎に入場していく。グループの説明が長いと後ろがつかえて前後の人々で洞窟内はいっぱい。フランス語で長々説明を聞きほとほと飽きた。
ここと同じような原始時代の洞窟画は北スペインでもう7-8年ほど前に見たことが有ったが、あそこも同じように人口洞窟のイミテーションだった。それでも素晴らしい古代の動物画に感激したものだ。
このラスコーの洞窟はスペインの洞窟よりも大きく長くて、絵も2000もあるというから凄い発見だったわけだ。
壁から天井のいたるところに描かれた絵は今現在でも通用する天才的な絵だと思う。たぶん一人の人の絵だけでなくいろいろな人々が絵の才を競ったのではなかろうか。
ここに挙げてある写真は、洞窟内は写真禁止で、洞窟を出たところに写真用の絵が描かれておりその親切さだけでもありがたい。スペインでは絵葉書以外ではすべて写真禁止だった。
洞窟内の動物画が消えそうなところは写真やヴィデオで絵の解説もしていた。
これはバイソンと人間を描いたもの。
モダンアートの部屋ではこれらの洞窟画が近代のモダンアートに与えた影響を展示している。