代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

馬淵国交大臣を変えてはならない

2011年01月08日 | 治水と緑のダム
 菅首相が、馬淵国交大臣の交代の調整に入った。この間の私のブログを読んでいる方はわかって下さっていると思いますが、ダム問題に関して馬淵大臣のやっていることは基本的に正しいのです。(スピードが遅く、措置が不徹底な部分はありますが・・・)。

 ゆえに、河川官僚(とくに関東地方整備局)にとっては、ただちに変わって欲しい大臣だったのです。今頃、河川官僚たちは馬淵さんを追い出せて「してやったり」とほくそえんでいることでしょう。後任は誰になるかわかりませんが、この間の経緯から見て、官僚の意のままに動く傀儡大臣になる悪夢が高いといえるでしょう。

 馬淵大臣が河川官僚に突きつけた悪夢は、基本高水の再計算でした。これをやると河川行政が引っくり返ります。一部マスコミしかこの政策の意味の重大性を認識しておらず、十分には報道されていません。
 そのため国民に周知されることになっていはいませんが、マスコミがこの問題の意義を正確に報道しさえすれば、国民は馬淵大臣に共感し、「よくやった」と支持率は上がり、「辞めないで」の声が殺到するでしょう。この問題をちゃんと報道したいマスコミの方はぜひ私にメールください。詳しくお伝えします。アドレスは下記です(全角を半角にしてください)。

 reforestation@mail.goo.ne.jp

 ここで馬淵さんが交代したのでは、「せっかくここまで実績を積み上げてきて、これからという時なのに」と残念で仕方ありません。全国84ダムの再検証のプロセスにおいて、この間の状況に精通した馬淵大臣に最後まで舵取りをお願いしたいです。

 この間のブログで書き続けてきたように、河川整備基本方針を定めた2005年の社会資本整備審議会の河川分科会の委員会において、河川官僚たちは、各河川で過大な基本高水を維持するために飽和雨量の値をごまかし、実際には保水力の向上(=飽和雨量の上昇)を把握していながら、「森林が生長しても保水能力に変化はない」という、科学を冒涜したようなウソをつきまくりました。韓国でES細胞の実験データの改ざんで大問題になりましたが、この問題は、それを上回るような科学史に残る大スキャンダルなのです。

 利根川以外の他の83河川でも計算モデルの情報を公開させ、ダム検証の前に、基本高水の再検証を実施せねばなりません。間違った計算値を前提にする限り、ダムの便益計算そのものが成り立ちません。ダムの便益計算が誤りであれば、ダムの科学的な再検証などできないことになります。

 国民に何兆円という血税の負担を強いるほど重大なウソであるにも関わらず、河川局長はじめ関係者が誰一人処罰されていません。この「基本高水偽装工作」にかかわった関係者は処罰の対象にすべき重大犯罪です。河野太郎議員がブログ「ごまめの歯ぎしり」で書いてきたとおりです。下記参照。

http://www.taro.org/gomame/cat12/

 またジャーナリストまさのあつこさんのブログ「ダム日記2」のバックナンバーをご参照ください。

http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/

 この問題の真相を明らかにしようとされた馬淵大臣のみが問責決議を受けて辞めさせられ、河川官僚が誰一人処罰されないというのは全く社会正義に反します。とうてい納得できる話ではありません。どうしても馬淵大臣を辞めさせるというのであれば、せめて2005年の審議会における基本高水偽装工作にかかわった河川官僚の関係者の処罰と、馬淵大臣の辞任をセットにしてケジメをつけるべきでしょう。


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