ケアハウス ラポーレ駿河ってこんな処

静岡県静岡市にあるケアハウス「ラポーレ駿河」の楽しい生活を紹介します。

通信機能の問題点

2011年03月22日 | 地震防災関係

東日本大震災では、被災地を中心に電話などの通信手段が使えなくなり、被災者の安否確認が困難な状態に陥った。避難所では95年の阪神大震災と同様、家族に安否を知らせる張り紙が並ぶ光景も。携帯電話やインターネットの普及など、通信手段が格段に進化した今、なぜこんな状況になったのか。【堀智行、福永方人、樋岡徹也、渡辺暢】

 「連絡下さい」「無事です」「親戚の家に避難しました」。避難所にもなっている宮城県名取市役所の出入り口は、被災者や家族・知人らが張った連絡の紙で埋め尽くされている。訪れた人は沈痛な面持ちで文面を一つ一つチェック。友人を捜しているという男性は「地震から1週間たっても、全く連絡が取れない。せめて彼の家族の連絡先でも分かればと思って」と話した。

 地震と津波で、携帯電話大手3社の東北や関東地方の基地局は最大で▽NTTドコモ6720カ所▽ソフトバンクモバイル3900カ所▽au3680カ所--が機能を停止。固定電話もNTT東日本の中継局が被害を受け、約136万回線が不通になった。

 携帯各社は、基地局の地震対策を進めてきた。原則として震度6強程度の揺れに耐えられるよう設計され、バッテリーが数時間~十数時間持つ予備電源も装備。停電時は予備電源に切り替え、その間に移動電源車を派遣するなどして復旧することにしていた。

 ところが今回は、津波警報が長時間解除されなかったうえ、水が引いた後もがれきが残り、車両が被災地に立ち入れなかった。そもそも移動基地局車は3社で計約70台、移動電源車計約110台で、これほどの広域災害には対応できないのが現状だ。

 過去の災害では、一つの基地局が使えなくなっても、周辺の複数の基地局がカバーした。今回は広範囲が同時に被災し、バックアップできなかった。

 21日午後1時現在、大手3社の計約2000カ所の基地局が未復旧。auの広報担当者は「これほどの大津波は想定外。被害状況すら把握できていない局もあり、完全復旧には時間がかかる」と話す。

 基地局が無事だった地域でも、通話の集中でシステムがダウンすることを防ぐため、発信が一時規制された。発信規制は最大で▽au95%▽ドコモ90%▽ソフトバンク70%、NTT東日本も90%--でほとんどつながらない状態に。インターネット経由の通信も規制され、「災害用伝言板」すら接続しにくくなった。

 実は、固定電話も災害に弱くなっている。黒電話などアナログ回線を使っている古いタイプの機種は、電話線から電源が供給され、停電時でも使える。一方、留守番電話やファクス機能などがある電話機やIP電話の場合、電話線とは別に電源が必要で使えない。

 このため、優先的につながる公衆電話が残された連絡手段となった。だが、00年には全国で約73万6000台あったが、10年には約28万3000台に激減し、この10年で約6割が姿を消した。

 公衆電話には最低限の通信手段を確保するため、電気通信事業法で設置が義務付けられた「第1種」と、任意で設置する「第2種」がある。第1種は市街地では500メートル四方ごと、それ以外では1キロ四方ごとに1台は設置しなければならない。

 携帯電話の普及で公衆電話は09年度には約74億円の赤字になり、NTTは第2種の公衆電話を順次廃止している。ところが、第1種すら十分ではない。

 05年度の会計検査院報告書によると、第1種は全国の約24万2000区域に1台ずつ配置することになっている。06年3月末現在、第1種が複数台ある区域がある一方、公衆電話が1台もない区域が全国で約6割の約13万7800カ所もある。公衆電話がない区域は▽宮城県56%▽岩手県76%▽福島県69%▽東京都12%--となっている。

 加入電話は約14万8500回線(20日午後1時現在)が不通で、全面復旧のめどは立っていない。NTTは宮城県の避難所などを中心に約1900台の特設公衆電話を設置し、無料で開放している。NTT東の広報担当者は「第1種は最低限の通信手段なので当然維持するが、第2種は利用状況をみて考えたい」と話した。

 国内でも利用者が増えているツイッター。インターネット上で交信するため、被災を免れた基地局のある地域では携帯電話の通話が集中した場合でも比較的つながりやすい。多機能携帯電話のスマートフォンの普及で気軽に使える情報ツールとなったこともあり、安否確認などに役立つケースもあった。被災地の自治体も、ツイッターを活用している。

 だが、被災者にはお年寄りも多く、ツイッターなどを活用している人は少ないとみられ、「情報格差」が浮き彫りに。一方、誰でも気軽に発信できるツイッターは未確認情報が拡散するリスクもある。今回の震災でも「デマ」が流れて混乱を招くケースが出るなど、新たな課題も浮上している。


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