◆「内部告発後、嫌がらせ」
不正を内部告発したところ、職場で「みんなが知っている」と言われたり嫌がらせを受けたりしたとして、公益通報者保護法(本部・浜松市中区)の職員が、事業団に慰謝料三百万円を求める訴状を静岡地裁浜松支部に提出した。
訴状によると、原告は二〇〇九年六月以降、事務担当者が医療書類を無断で作成しているなど職場で複数の法令違反行為があるとして、事業団のコンプライアンス(法令順守)担当部門や監督官庁に通報してきた。
その結果、(1)異動辞令の際に上司から「通報したことはみんなが知っている」という趣旨の発言をされた(2)何の説明もなく職場でパソコンソフトを使えなくされたり、関係先への入室を禁じられたりした(3)原告の同僚が上司に呼び出され、原告との会話について聴取された-などの不利益を強いられたという。
原告側は「通報は不正を認めて改善してほしいという誠実な目的。不利益な扱いは公益通報者保護法に違反する」と主張している。
医療書類の無断作成をめぐっては聖隷横浜病院(横浜市保土ケ谷区)で医師の署名、押印が必要な書類を了解なく作ったなどとして、神奈川県警が二〇一二年六月、元職員の男性を有印私文書偽造、同行使の疑いで横浜地検に書類送検した。
事業団総務部秘書広報室は二十四日、本紙の取材に「訴状が届いていないため内容が確認できず、コメントのしようがない」と話した。
<公益通報者保護法> 公益性がある犯罪行為の内部告発など要件を満たした通報について、通報者を保護するために2006年に施行。通報を理由とした解雇の無効や不利益な取り扱いの禁止とともに、通報を受けた事業者や行政機関の義務を規定している。