後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

105円

2012年09月12日 | Weblog
一応 何とか生きております
夏休みはひたすら近辺を徘徊しておりました。
一日凡そ15kmを3時間かけて歩く
「歩く」ことが人間の脳と身体にもたらす影響は
古代から多様に語られている

ドイツはハイデルベルグ、あるいは京都の哲学の道
どちらも歩いてみたが、あんな風にしゃれる必要はない
ほっつき歩けば、思わぬ幸が向こうから転がりこむ
ただし、炎熱下の徘徊は思わぬ不幸ももたらす
水分補給は随分気を付けて歩いたが
大量の汗が股間に流れ込み柔らかい皮膚を痛めつけた
それでもメンタムを塗って歩き続けたために
ついに皮膚が爛れてしまった
おかげて今夕、恥ずかしい思いで皮膚科へ


新潮社の日本文学全集 1971年刊
Book offで求めたら何と105円だった

分かったようでいるが本当は分かっていないこと
うわべの知識はあるが、中身は知らないこと

この歳になってそんなことが多いことに恥ずかしさを覚える
ラジオを聞いていてなるほどと思った
田山花袋の代表作は?
知識があり試験に強い人は即答するだろう 「蒲団」と
ところで「蒲団」はどんな小説なのでしょうか?

読書についてはおませで
超乱読者であった不思議おじさんは
70%の確率で読んでいると思う
しかし全く思いだせない

では伊藤左千夫の代表作は?
正宗白鳥は?
岩野泡鳴は?
順に「野菊の墓」「何処へ」「毒薬を飲む女」であろうか
多分岩野泡鳴は何も読んでいないと思われる

読んでいたとしても全く理解していない
それでも人格形成の何かの役に立っているのだろうか…

そんなことで全て読み返してみた
その生臭さ、リアルさは100年以上前の作品とは思えない
生き生きとした筆致は生々しい人間を浮かび上がらせる
不思議おじさんの父親が生まれる前に発表された作品ばかりだ
新鮮な驚きを感じた

というようなことから
ぼちぼちブログを再開することにしよう

皮膚を爛れさせながら歩きまわり
堺市南部の人知れぬ沼に咲く遅咲きのハス

出身大学の原子力研究所の最後の所長から頂いた
晩夏のノウゼンカズラ
福島の事故を知らずに数年前に亡くなった
お裾わけが元気に咲いている
生きておられれば博学縦横の御説を伺えたのに…