◎ウパニシャッド「死神の秘教」
(2014-11-04)
カタ・ウパニシャッドの死神の秘教は、賢者ナチケータスが死神に死の秘密を明かしてもらうストーリー。ここでは、アートマンがあって、ブラフマンがあってというのが前提となっているので、これはクンダリーニ・ヨーガ的世界観、修行体系の中の話となる。
この章の冒頭に世界樹アシュヴァッタ樹が説明され、その根が上方にあり、枝が下方にあると説明される。根とは頭頂サハスラーラ・チャクラのことであり、他の6チャクラがそこから展開することを枝と謂う。アシュヴァッタ樹は永遠であり、不死である。
また全世界の比喩として、大きな恐怖、振りかざされた金剛杵(武勇神インドラの武器)も用いられる。金剛杵は、密教の秘儀のシンボルであり、真言密教、チベット密教の金剛杵のそもそもの出所はここにあることがわかる。みじめでちっぽけな自我の上に真っ向から振り下ろされようとする全世界がダイヤモンド・ハンマーであることを知る人は不死となる。
『感覚器官よりも思考力がすぐれ、思考力よりも純粋存在の方が高次である。純粋存在よりも大きいアートマンがまさり、大きいものよりも未開展のものが上位にある。
しかし未開展のものよりも、遍満し、まったく(その存在を示す)徴表を持たない精神原理(プルシャ)がすぐれている。彼(精神原理)を知って被造物は解放され、そして不死の状態に到達する。
彼の姿は目に見えず、だれも彼を目で見ることはない。彼は心によって、思惟によって、思考力によって表象される。このことを知る人は不死となる。』
(世界の名著 バラモン経典/中央公論社p149-150から引用)
純粋存在(サットヴァ)とは、コーザル体か。大きいアートマンよりも上位にある「未開展のもの」はブラフマン。
ブラフマンの更に上に「精神原理(プルシャ)」を置いている。「精神原理(プルシャ)」は、遍満し、まったく(その存在を示す)徴表を持たないという性質なので、アートマンのことと考えられる。ブラフマンよりもアートマンが上位かどうかという議論には意味がないように思うので、この書き方にはある意図を想像する。
【チャクラと七つの身体-319】
◎アートマン-23
2.ウパニシャッド ◎クンダリーニ・ヨーガの源流-1
(ザ・ジャンプ・アウト373)