ダブル・ファンタジー

2013年05月13日 | 健康・病気

村山由佳著「ダブル・ファンタジー」(文藝春秋刊)を5月11日(土)に読み終えた。
494ページの長編で、この本の装丁がいい。
表紙から裏表紙にかけて女性の下半身のセピア色のヌード写真です。
村山由佳は、軽井沢に住んでいる。
2010年の秋からだから、2009年の3月から軽井沢に住んでいる私のほうが1年半ぐらい早い。
でも、彼女は大きな家でしょうが、私は小さな会社の寮です。
そのへんが、忸怩たる思いの私です。
朝日新聞の「どらく」(ひとインタビュー)を読みました。

小説の始まりは、デリバリーくん(出張ホスト)とのセックスシーンからだった。
高遠奈津の職業は、シナリオライター、ドラマの制作会社を辞めた夫の省吾と、埼玉で暮らしている。
省吾は、奈津の仕事のマネージャー的な存在で、家事も畑の仕事もしている。
奈津の書き上げたシナリオの最終的チェックをしたり、仕事をくれるところとの交渉などをしていた。
しかし奈津は、その省吾の存在をうとましく思い始めていた。

10年ほど前に、戯曲講座の講師をしていた演出家の志澤一狼太とのメールのやりとりがある。
講座の卒業制作として書いたものが志澤の目にとまり、
勧められるままに戯曲のコンクールに応募した作品が、<高遠ナツメ>のデビュー作になった。
志澤の演出した芝居の楽日、奈津は東京に行く。
そして志澤と同じホテルに偽名で部屋をとった。

奈津は、省吾との生活に疲れて東京のマンションに引っ越す。

次に奈津がつきあう男は、同じ大学の演劇サークルにいた先輩の岩井良介だった。
大学時代に2ヶ月ほどつきあったことがあった。
奈津が、テレビの仕事で香港に行ったときに偶然に出会った。
この岩井とのつきあいが長く続く。
岩井は、奈津の気に入るセックスをし続けてくれた。

奈津が放送局主催のとあるシンポジウムに招かれた際に、同じパネリストとして松本祥雲と会う。
精神科医でありながら三十代で仏門に入った男だ。
奈津は、祥雲とのセックスには物足りなさを感じた。

そして次は、
「去年の十一月でしたか。出版社のパーティの二次会でお目にかかりました。志澤先生と同じ
テーブルで御一緒したんですけど」
という大林という男に出会う。

その男で小説は終わりになるのだが、これから奈津はどのような男と出会っていくのだろうか?
それともあるときに、1人のひとと人生の最後まで一緒に生きていくのだろうか?
あるいは、1人で死んで行くのかも知れない。

奈津のエッセイの担当で、ある雑誌の副編集長をしている岡島杏子という存在がうまい。
この女性にいろいろなことを相談することによって、物語の説明や確認をしている。

私は、それなりに官能小説も読んでいる。
私も、官能小説のようなものをいたずらで書いたことがある。
村山由佳のセックスシーンは微妙なところがうまい、と思った。
男の作家が書く、“そのとき”の女性は想像だろうが、女性の小説家が書く“している”女性の状態は…。
でも、この小説は官能小説ではない。
やはり、きちんと人間が描かれている。

これから村山由佳の小説を読んでみようと思う。
中軽井沢図書館に、「軽井沢にゆかりの作家」という本棚があり、村山由佳の本がたくさんある。
村山由佳さん、本を買わないで読んですみません。


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4 コメント

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わがまま読書 (La pie)
2013-05-13 21:30:30

本、大好き。食べることと同じくらい重要です。
東京暮らしの時は、図書館・ブックオフ・書店で。
自転車を使えば3か所の図書館があって、便利でした。
読了後の本は、九想さんと同じ、本を抱え込むことなんてできないので処分(古本屋さん・ブックオフとか)。

ニースでは困ります。
日本語の本はソルボンヌ書店ってところだけで、猛烈に高いし、触手動かない本多しっです。
(例えば、ハリーポッターとかね)
なので、日本の友人が送ってくれる本と、年に1度のパリ行きで、本を手に入れています。

もう丸8年、日本の土を踏んでいない。

ダブルファンタジーって週刊誌の連載じゃなかったですか?
友人が持って来てくれた週刊誌で1回分のみ読んだきがします。
彼女には数冊読んでるけれど、随分、方向転換したなあって感想を持った記憶があります。
ワタシには合わない気がしました。

読書って好き嫌いOK。
超ワガママでよいと決めつけちゃってます。
ホント、わがまま読書人してます。
返信する
ワガママ読書人 (九想)
2013-05-14 02:13:16
私も本がないと困ります。
それなりに気に入った小説を読んでいたいですね。
今日、「ダブル・ファンタジー」を返却して借りてきた本は、
「感傷の街角」(大沢在昌著 角川文庫)、別冊文藝春秋1月号、月刊俳句界4月号、です。
私は、大沢在昌の「新宿鮫」が好きだった。
これから、ちょっと楽しみです。
私の読書もまったくワガママで読んでます。

外国で日本の本を手に入れることはたいへんでしょうね。
私は日本を出たことがありません。
現在は、La pieさんのブログが楽しみです。
南仏ニースのこと知りたいです。
返信する
うれしいです。 (La pie)
2013-05-15 00:48:49

コメントのお返事、ありがとうございます。
「新宿鮫」、ワタシも好きです。
同じお仲間の宮部みゆき・志水辰夫とか、一連の作家も大好き。
作家の方々には申し訳ないけれど、図書館で読めちゃったらラッキーっです。

あっ、それから、九想さんのこのブログから aosta さんが来てくださいました。
ほんと、繋がるんですね。
うれしいです。
そうそう、このブログから美海さんのブログを知ったんですもんね。
やっぱり、感謝っです。
返信する
ブログつながり (九想)
2013-05-18 10:27:49
aostaさんも本のことでコメントをいただいて、それからのおつきあいですね。

みみさんは素敵なひとです。
知り合ってから20年になります。
私がパソコン通信を始めたときに、ある会議室のモデレーター(そこの中心になって運営するひと)をしていた。
私にとっては、ずーとみみさんと書いていたので「みみ」さんです。
ネットでのエチケットやモラルを教わりました。
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