ともだちだから

2012年10月13日 | 健康・病気

今朝の「ラジオ文芸館」(NHK第一8:05~8:45)は、「ともだちだから」(作 甲木千絵)だった。
甲木千絵という小説家をわたしは知らない。

以前は何人も若い者を使って植木屋をしていた繁造だが、奥さんを亡くして若い者もみんないなくなった。
仕事先からもらった老犬マキだけが繁造を慰めてくれる日々をおくっていた。
ある日、彼は作業中に脚立から転落し、鋏を操る右手や腰にしびれを感じるようになってしまう。
もう植木の仕事はできなくなってしまうかと不安な気持ちで暮らしていた。
東京に住む息子夫婦が家を買うから一緒に暮らそうといってくれていた。
しかし、繁造はできれば息子たちと暮らさないで、植木屋として1人で暮らしていたかった。
そんなことを考えて悶々としていたある日、老犬マキの首に巻き付けられた手紙を発見する。
近所に住む小学生の子からの手紙だった。
その子は、そこに引っ越してきたばかりの夫婦の子どもで、両親は共働きなので昼間はいつも1人だった。
引っ越してきたばかりなので、学校でのともだちがいなかった。
その子はジャックという犬を散歩させるときに、繁造のマキも散歩させていた。
そういうことから繁造はその子とともだちになった。
繁造は元気になった。
それで東京に移って息子たちと暮らすことにした。
東京に行く前に繁造は、その子の家の荒れた庭に植木を植え、花のある花壇をつくる。
その子と“ともだち”だからただで庭をつくるんだ、と小さなともだちにいう。
東京で暮らす繁造にその子から手紙が来た。
繁造のつくってくれた庭をその子のパパとママは喜んでいる、という手紙だった。

あらすじはだいたいこのようなことだった。
少し違っているところもあるかも知れません。
ものすごい物語があるわけでもなかった。
ちょっとストーリーとしてへんだな、と思うところもあった。
でも、わたしは、繁造が東京に行く前にまだ引っ越したばかりで庭らしくなってない
“ともだち”だから庭を手入れする、というあたりで胸が熱くなった。
繁造が長い間植木屋としてやってきた土地を去るときに、最後の庭をつくる。
わたしは、涙を流してしまった。
わたしの書き方がまずいので、それほど素晴らしい小説とあなたは思わないかも知れない。
しかし、わたしとしては泣けるストーリーだった。
「99のなみだ・桜」(リンダブックス)所収

コメント
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