心では重すぎる

2008年06月28日 | 健康・病気
「心では重すぎる上・下」(大沢在昌著 文春文庫)をおととい読了。
この本は友人のしんちゃんからいただいた本です。
まったく内容を知らずに読み始めた。

探偵の佐久間公に、失踪した人気マンガ家「まのままる」を
探してくれという依頼がくる。
佐久間は、薬物依存者のための相互更生補助施設「セイル・オフ」という
財団にも所属している。

まのままるは、少年ユニバースという少年漫画雑誌に、
「ホワイトボーイ」というマンガを11年間連載し、
マンガ界の寵児となった。
そして「ホワイトボーイ」の連載を終了したあと消息不明となる。

セイル・オフに雅宗(まさむね)という16歳の少年が入所している。
「渋谷に十三歳の頃から出入りをし始め、
 十五で自分の“チーム”をもつに至った。
 何度も芸能界にスカウトされたことがあるほどの美貌で、
 喧嘩の達人という伝説もあった」
その雅宗は、錦織令という女子高生にクスリをすすめられ、
彼女の“犬”になった。
薬物から抜け出すためにセイル・オフに入っている。

このまったく関係ないと思われる失踪したマンガ家まのままるを探す調査と、
雅宗という少年を更生させるために渋谷を歩き回る話が、
いつしかつながってくる。

マンガ雑誌業界の裏話、薬物中毒、渋谷の若者の風俗、やくざの世界などを
飽きさせず事細かに書かれていて興味深かった。
佐久間公という探偵をし続けている人間への作者の愛情はかなりのものだ。
これまで作者は、佐久間公を主人公とした作品をいくつも書いてきた、らしい。
私は、この小説が初めてだった。
むかしのものを読んでみようと思う。

こういう小説を読むと、
「ああ…、おれには小説は書けないな」と思ってしまう。
しかし、心の底辺でふつふつと創作意欲は……。

コメント
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