11時からの「ETV2002」教育テレビを観た。
川上弘美さんと松山巌氏が、
恋愛とは何か、そして孤独とは何か。
ということを話していた。
「人間と関係することがいやだ」
というようなことを川上弘美さんがいっていた。
「いやだけど、ふっと、恋愛したり、友だちになってしまう」
まったくそのとおりだ。
人間と関わりをもつことが煩わしい。
ひとりで生きていけるのならそうしたい。
でも、おれみたいな淋しがりやはそうもいかない。
孤独に憧れているくせに、ひとりが嫌いだ。
(煙草が吸いたい。でも、ない)
川上弘美さんを久しぶりに観て、
ああ…、変わってないな、と思った。
7、8年前か、ASAHIネットのオフで
池袋の飲み屋で話したことを思い出す。
あの頃彼女は、普通の主婦だった。
それが今では、有名な作家だ。
おれはリストラなどを経験して小さな会社の末端社員。
このことにおれは、こだわっていこう。
この“情けなさ”を心に抱いて生きていくんだ。
番組が終わる5分前ぐらいに、
女房から電話がかかってきた。
「雨降ってるから、迎えに来て」という。
今日は、フラメンコのカンテ(歌)の練習日だった。
テレビに心を残しながらも、家を出た。
フラメンコのスタジオは家から7、8分のパルコにある。
スタジオ前に着くと、
ちょうど女房たちが出てきた。
先生とギターの青年に挨拶した。
女房と家に向かって歩きながら、いった。
「おれは、小説あきらめないよ」
でました、九想の負け惜しみ。
雨は小降りになってしまった。
持っていった傘を、女房はたたもうとした。
「せっかく持って来たんだから、させよ」