67歳の新人

2002年07月10日 | 小説 エッセイ

文學界6月号に、
文學界新人賞の発表が載っていた。
今回受賞された人は2人で、
その1人、北岡耕二さんは67歳だ。
電通を定年退職して現在無職。

「………社会人となり、物書きは中断。
 あれから四十年余が経っている。
  恥も知り、あまりバカもしなくなって、
 念願だったこの賞を頂けることになった。
 心中、志だけは棄てたことがなかっただけに、
 正直、うれしい。………」
受賞のことばの、
「志だけは棄てたことがなかった」
この言葉が私にとって重い。

受賞作は、『私の好きなハンバーガー』。
駅に隣接した、
地面より一段低いハンバーガー店に、
毎日老人男性が集まっている。
そこへ1人の老婆が現れる。
彼女は気が向くと老人の1人を指名して、
幌付きの車で屋敷に連れていって………。
老人の性を書いているが、
清潔でさっぱりしている。

小説を読んで思った。
「志だけは棄てない」と。

コメント
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