義兄の十三回忌の行われた土曜日は暑かった。
梅雨が明けたと気象庁の発表があった。
私が家を出たのが6時50分ぐらいだった。
もっと早くでようと考えていたが、
お腹の調子が悪くて、トイレが長くなってしまった。
長く車に乗ると思うと慎重になってしまう。
喪服を着ていくのがイヤだった。
このクソ暑いのにダブルの黒い服だ。
久しぶりに世の中に出されたので、
喪服のほうでも迷惑がっていた。
車を走らせると土曜日のせいか快調だった。
渋滞はなかった。
こりゃ問題なく法事をやるお寺に着けるかな、
と気楽にハンドルを握っていた。
ところが、下館に出て国道50号に入ったら、
車がまったく動かなくなった。
なんでだろう?と考えていて、思い当たった。
今日から夏休み、この天気、そうだ、
この車の列は、大洗などの海水浴場に向かう車だ。
諦めた、法事の始まる10時に着くことを。
30分ほどじりじり車の中でしていたら、
目の前の車が走り出した。
これが分からない。
なんでそれまでぜんぜん動かないのに、
あるところまで行くと車が走り出すのか。
法事には間に合った。
終わって実家の近くにあるお墓に行った。
山の中にある墓で帰りに林の中を見たら、
篠竹にカブトムシがしがみついていた。
そこまで行くのが大変だったが、
義兄の長女の子どもにあげたくて行った。
林の斜面で滑って喪服のズボンが汚れた。
必死だった。
こんな思いでカブトムシを捕ったのは何年ぶりだろう。
デジカメを向けたが、焦点がカブトムシになってない。
ぼやけた写真になってしまった。
義兄はいい人だった。
バッグを作る職人で、ゴルフバッグを作っていた。
家でミシンに向かう仕事だったので、
健康診断なんてしたことなかった。
胃癌が見つかって3ヶ月で死んでしまった。
娘3人が残った。
姉が1人で育てた。
墓参りのあと町に出てみんなで食事をした。
暑い土曜日だった。