仕事

2002年07月04日 | 会社・仕事関係

にんげんドキュメント
「響け若き個性」(NHK 21:15)を観た。
指揮者の小沢征爾が
日本の若者を一流の音楽家に育てるために
立ち上げた「小沢征爾音楽塾」の1ヶ月の記録だった。
高校生から音大を卒業したセミプロまで、
九人の若者が厳しい指導を受けていた。

ふと思い出し、田舎の兄に電話をした。
母の誕生日には電話しようと思っていた。
「その後、どう?」
兄の会社では今年リストラがあり、
大規模な希望退職の募集があった。
田舎で会社を辞めては転職先はないので、
多くの人は退職しなかったようだ。
そのあとに行われたのが、配置転換だった。
兄は、茨城工場の製品出荷担当から、
栃木工場の製造に回された。
茨城、栃木、埼玉に勤務する人を、
九州に転勤させるということもあったらしい。
イヤだったら「辞めろ」ということだ。

「冷房のないところで1日中立ちっぱなしで、
 イヤになっちゃうよ」
兄も私と同じで、製造現場に似合わない人間だ。
出荷担当のときは、
パソコンで商品の管理などをしていたらしい。
今回のリストラでその出荷業務は
外注の会社に移したという。

「単調な作業で時間が長がっぺ」
「まいんち(毎日)辞めっかと思ってるよ。
 でも、母ちゃんもいるし、
 無職じゃしょうがねえもんな」
「おれも製造のときはそう思ってだよ。
 去年の今頃は血尿が出で大変だった。
 ところで今日は母ちゃんのところ行ってきたのがな」
「行ってきた。最近遠くなっちゃったから
 まいんち行ってねえんだ。
 母ちゃんに『誕生日だよ』っていったら、
 『そんなに歳とったのがァ』っていってたよ」
母は今日で88歳になった。米寿のお祝いだ。

「まっ、あんちゃん、たいへんだげど、
 お互いがんばっぺ」
そういって電話を切った。

テレビでは若い男女の真ん中で
小沢征爾が指揮をしている。
小沢は音楽の仕事をしている。
若いときから努力して得た仕事だ。
彼に指導されている若者たちも
これからがんばって
音楽でメシを食っていくのだろう。
しかし、小沢もいっていたが、
音楽で生きていくことはたいへんだ。
世界中に音楽を勉強している人は沢山いる。
その中で何人が
聴衆の前で演奏して生きていけるのか。

好きなことを仕事にして生きている人が
うらやましい。
その人たちは努力してきたのだ。
私は努力してこなかった。
これが情けない。

コメント
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