私にとっての酒

1998年09月22日 | 健康・病気

 日曜日、私は11時頃車に乗り込んだ。
 世の中は快晴で、気持ちよかった。
 女房は、友人と会うとかいって所沢にいった(私の住んでるところは新所沢
駅の周辺で、所沢駅のあたりにいくことを所沢に行くと私たちはいっている。
同じ所沢市のなかなのに…)。
 目的は、私が飲むサケを買い、愛車にガソリンを入れるためだ。
 サケのディスカウントショップと、いつもガソリンを入れてるガソリンスタ
ンドが10メートルも離れていないので、日曜日にはこうなることが多い。二
週間に1度は、その先の図書館に行くこともある。
 この酒屋はいつもバロック音楽が流れている。それも私の大好きなリコーダ
ーの曲が多い。酒屋とバロック音楽、なかなかのもんです。
 その日私は、350mlの缶ビール1ケース(24本入り)、日本酒一升、
甲類の焼酎4リットルを買った。それぞれ3,780円、980円、1,680円だった。
 それらをキャスター付きのカゴに乗せ、レジで順番を待ってるとき、なんか
とてもやるせない気持ちになってきた。
(こんなものおれは買ってなんだっちゅーんだ。暮らしになくともいいもので
はないか。これからいくらでも金の必要な我が家なんだ。こんなもの買ってる
場合ではない)
 しかし私は、レジの順番がくると、さっきまでのココロはウィスキーののっ
てる棚の一番上に放り投げ、アルバイトの青年のいう金額を素直に払っていた。
 ここのレジでのマニュアルなのか、客がビールを持っていくと「一番搾り1
ケースでよろしいですね」と必ずいう。なんでなんだろう。客がわざわざ重い
ビールをレジまで持っていくのだ。買いたくないものを、持って行くわけない
じゃないか、といつも心で反発してしまう。
 ガソリンスタンドに行く。いつも思うのだが、両手を顔の前あたりに上げ、
私の車を誘導する青年の青春は、どうなんだろうと。
「お支払いはカードですか、現金ですか? はい、それでは灰皿車内のゴミを
お出し下さい。給油口をお開け下さい。窓はお拭きしてよろしいですか」
(拭くんなら、ちゃんと拭けよ)
 と、心の中で思ってしまう。たいがい手を抜いて拭いてるので、汚れがフロ
ントガラスについていることが多いのだ。
 夕方、家から5分のパルコに出かけた。たいがい日曜日の日暮れどき、私は
ここに来る。人が沢山いるのがいい。しあわせそうな顔をしている人々にまざ
るのが心地いい。いろんな商品が、それなりにディスプレーされた店で暗い顔
してるのは私くらいなものだ。
 地下の楽器屋に行く。なんのあてもないのに行く。楽譜を見ることが好きだ。
楽器を眺めていると心が弾む。
 4階の本屋に行く。新しい本の匂いがいい。
 芥川賞、直木賞それに関連の本が平積みされている。私の中の何かが騒ぐ。
騒いだってしょうがないのに。
「人格改造マニュアル」という本があった。「自殺完全マニュアル」という本
を書いた人の本だ。(書名に自信がない)
 覚醒剤からはじまり、サケなども含めて、自分を変えるものを紹介する本だ。
 覚醒剤は、今読んでいる「新宿鮫」にいろいろ書いてあるので興味ある。こ
の本には、覚醒剤がかなりいいものだとして書いてある。コントロールして飲
めば悪いものではないという感じだ。ちょっとこれは危険な書き方だなと思っ
た。買い方まで書いてある。
 私にはサケがいい。アルコールを脳にしみこませてる方がいいだろう。
 私のような鬱で気が小さく、出来ない人間にはサケがいい。
 やっぱり、サケを買っておいてよかった。



コメント
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