唐茄子はカボチャ

映画と音楽と・・・

息子

2010年09月19日 | 男はつらいよ・山田洋次
息子

松竹

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この映画は、大船の撮影所の試写室で見ました。ちょうど、映画上映のサークルの集まりみたいのの企画で息子を見て、山田洋次さんと永瀬正敏さんとの懇談・・みたいのもやってくれて・・・

それでちょうどそのときは男はつらいよのうなぎやさんのシーンの撮影をしているときでその見学もさせてもらって、セットの入り口近くで眺めてたら、渥美清さんが入ってきて、ちょうどそのとき撮影が始まったんで自分の横に止まってじっとしてました。ああ・・・でかい人だなあ・・・と思いました。本当に大きかったのか、存在が大きかったのか・・・わかりませんが・・・

息子の話です。

田舎の「生きている」風景と都会の「死んでいる」風景が対比されているようで・・・でも、その死んだ風景の中で息子達は一生懸命に生きているんですなあ・・・田舎が「生きている」といっても、一人の人間が生きていくには厳しい環境でもあるわけで・・・そして、長男と妹に「一人で何かあったらどうする?」と、自分の死に場所の選択を迫られるおやじ。どこで死ぬのかという話しか出されないわけですけど、弟の所では、そのお父さんが、生きていくことを考えるわけです。孫の世話しなきゃとか、それまで考えていたどう死を迎えるかではなく、生きる希望が出てきたわけで・・・

そうですね。生きる希望をもって死ぬことができれば、どこでどのように死のうが関係ない気もします。死ぬための場所選びなんていうものは、後ろ向きですもんね。

息子の前で歌ったお富さん。息子にとって最高のプレゼントであり、自分がお父さんに愛されていたことを確認できた良い場面です。

あと、2人のやり取りの間には、何も壁が無いんです。良くも悪くも、自然に思ったことをいえる関係です。だから、長男のときの窮屈さがなくって・・・お父さんは長男には気を使っているんですね。長男もお父さんが自分のところに来たがってないことを知ってるし、お父さんも自分が歓迎されてないことを知っているわけで、そこのどこか寒い関係・・・いや、2人のあいだにはたしかに親子で、そこ自体にいづらさは無いんだろうけど、そこにいろんな関係があるからいづらさを感じてしまうのでしょう。

長男の嫁も悪い人ではないけれど、いてほしくない気持ちもよくわかる。今まで家族で築き上げてきた家族の居場所というか、関係が、お父さんが入ることでどうなるか、それは不安でしょう。最初から一緒にいたりしてれば自然とつくられていく関係も、いきなりドンと突きつけられたらそりゃ迷惑なのもわかります。家の狭さ、庭の狭さは、もしかしたら、家族の関係も窮屈にしてしまうのかもしれませんねえ・・・

いや、窮屈だというなら、弟の方だってよけい窮屈だから、場所の広さではないんでしょうが・・・

お父さんが求めたのは仕方なく差し出された救いの手ではなく、心から居場所と思えるところだったのでしょう。戦友も家族のところを飛び出して(?)老人ホームにはいって・・・居場所と思えないところで生活を強いられているわけで・・・弟はもしかしたら、同じ生きる者として、対等というか、同じ目線というか、周りからつくられったこうあるべき的な立場で無く話をしているから安心できるのでしょうが・・・だから、お兄さんは、そういう意味では、かわいそうなのだと思います。自分の気持ちとは違うところで動かなくてはいけない立場に立たされてしまっているから。

それでですね、さいご、思ったんですが、結局お話が始まる前と終わる時のお父さんの状況は解決したわけではありません。むしろ、環境は、暑かった夏からいつのまにか厳しい冬になって雪も積もって・・・厳しい環境に帰って来たわけです。でも、見終わった後に温かいものを感じるのは、そこに「希望」があるからなのでしょう。街の灯と同じで、弟夫婦と仲良く暮らしましたとさ。おしまいとはなっていません。でも、そうなる予感を感じさせる希望・・・もし離れていても、ファックスでやり取りをして新しい心の結びつきができたわけですから、そこはやっぱり生きる希望です。死ぬことだけを考える生活は終わったわけです。

やっぱり映画は「希望」で終わらなければね。

2006-12-04 00:25:34

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ひさしぶりに観たけれど、良い作品というのはやっぱり何度見てもいいですね。

お父さんのお富さんの歌はやっぱりグッときます。
お父さんの喜びが伝わってきます。歌っているお父さんを見る息子の表情がいいのです。自分のために歌ってくれているという感動が伝わってきます。

お兄さんの苦悩もわかるし、お兄さんの奥さんの何となく扱いずらそうな感じとか、わかりますね。そういう一人ひとりの立場からの行動というのが、きっちり描かれてます。

和久井さん、いい女だなあ…

なんでも、最初の題名は「祖国」だったそうです。
祖国という題名から考えると、田舎の景色、懐かしい景色、もしかしたらこれから失われてしまうかもしれない風景も祖国だし、首都圏の変わっていく景色も祖国だし、お父さんは戦争に行って、お国のためにと戦った、祖国。歳をとって居場所がなくなっていく祖国。車の中で運転手さんが話す祖国。これからの日本はどうなって行ってしまうのか、考えさせられます。
1991年の作品だということなので、あれからもう、20年近くたってしまうわけですが、これからの日本、どうなっていくのでしょうか。
よく考えたら不思議ですね。衰退期にでもなったように歳を重ねるごとに悪くなった悪くなったって言います。生まれてから、悪くなって行く祖国にしか生きていないのでしょうか。

バットマン リターンズ

2010年09月19日 | 好きな映画・良かった映画
バットマン リターンズ

ワーナー・ホーム・ビデオ

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やっぱりこのシリーズの最高傑作です。
ペンギンとキャットウーマンがすごいいい味出しています。
特にペンギンからは目が離せなくなります。
そしてこの2人の人生の影の部分についつい涙が・・・というほどでもないけれど、ほんと切ないですなあ・・・

ダニーエルフマンの音楽も最高です。オープニングのペンギンの誕生秘話は、ただ川をかごが流れているだけなのにぐぐぐっと引き寄せられていってしまいます。
そして最後の雪の中でキャットウーマンを追うシーン・・・ああ・・・切ないのう・・・

2006-11-09 21:21:42


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久々に観ましたが、ペンギンのキャラクターが、やっぱり最高です。
最初から最後まで、そのキャラの魅力に引っ張られていった感じです。

そして、キャットウーマンのミシェルファイファーさんもすごいです。
我に帰るところの戸惑ったような悲しそうな表情がなんかぐぐっときます。

バットマンがちょっと2人のキャラにくらべると、かすんでしまう感じもありますが、これは、2面性を持った3人の物語なんでしょうね。
2面性…でも、2つの面がころっと入れ替わるというより、2つの面を使い分けているといった方がいいのかもしれないけれど。

殺し殺されるみたいな殺伐とした映画じゃないし、ちょっと変なところが良いです。わざわざバットモービルを改造して、ペンギンに運転させるなんて、わざわざ回りくどいことをしなくても、あそこまでの技術があるのなら、爆弾しかけちゃえば、終わりですしね。まあ、バットマンをただ殺すのではなく、悪者にしてから殺すという前提があったにせよ、ですけどね。