男はつらいよ 寅次郎頑張れ!松竹このアイテムの詳細を見る |
第20作 1977年
ワット君とお姉さんとさくらさんが二階で話しているシーンは本当に切ないです。
寅さんのやさしさにお姉さんはとても信頼を寄せているんだけど、それと恋愛や結婚は違うということでしょうか。
でも、本当はそうじゃない気がしてなりません。若い時の恋愛ははっきり分かれるような気もするけれど、なんというのでしょうか。もっと、まったりとした関係で築いていく愛情がある気がしました。
そういうお互いに心を寄せる積み重ねのプロセスを実はワット君が壊したとも思えました。
寅さんがお姉さんを好きで、それでよかった。お姉さんは寅さんがいてくれると、安心する。
ワット君は、寅さんの恋心を利用しているように見えるお姉さんが許せなくて、寅さんに申し訳なくての行動ではあったのだけれども。
寅さんが盗み聞きして自分から引いて行ってしまう結果になったけれども、寅さんがそれを聞かずにそのまま一緒に長崎に帰っていたら展開は違ったものになったのかも。いや、それは、ワット君が許さない。お姉さんもあんなことをワット君に言われたら寅さんとどう接すればいいかかわからなくなるかもしれません。でも、それがきっかけで意識するようになるのかもしれないし。どこでどうなるかわからないんですけどね。
寅さんのやさしい気持ちをまっすぐに受け止めてくれているお姉さん、寅さんの気持ちをワット君に傷つけられて寅さんのために涙を流してくれるなんて、いいお姉さんです。寅さんに対してもそうかもしれないけれど、ワット君の生意気ぶりに腹が立ったのもあるんでしょうけどね。
さくらさんは言います。恋愛感情はなくても、藤子さんの寅さんへのその気持ちを知っただけで、兄は満足だと。
寅さんは、そういう男じゃないけれど、やっぱりそういう男でもあるんでしょうね。人間は複雑な生き物です。
ふられたからって、その人への愛情が成就しなかったとしても、やっぱりその人に対する思いやりの気持ちというものは持ち続けることができるわけですからね。
今回も景色がいいですね。
長崎。平戸。ここも行ってみたいです。
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ワット君が田舎に帰ってしまったことを知ったときの大竹さんの涙にこっちも泣いちゃいます。
そして最後のところのワット君とお姉さんとさくらさんの会話・・・それを聞いてしまった寅さん・・・泣けるシーンです。
寅さんは心のきれいな人なのよ・・・というところがいいですねえ・・・でも、寅さんは、そこで立ち去ってしまうから、藤子さんとの関係はそこで絶たれてしまいます。
自分だったら、本当に一緒に暮らして、将来は所帯を持ちたいと思ったら、あのまま家に残って藤子さんの帰りを待って、チャンスをうかがうのにね。寅さんはそんなこと考えないでしょうけど・・・
2008-11-26
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寅さんは、とらやにいるとダメなんですねきっと。
人の喜ぶ顔を見たい、頼りにされたいという思いはすごい強いから、素敵な女の人の前では大真面目に働いてしまうんですねえ・・・
労働意欲って案外、誰かに喜んでもらったとか、頼りにされたとか、そういうことを望むところからくるのかも知れません。
寅さんは本当に人に喜んでもらうことがすきなんでしょう。
だけど、とらやに戻ると豹変します。それは、みんなが寅さんを甘やかすからなんだろうね。日ごろつらい生活をしている寅さんにとっては、たまに帰ってぐうたらしちゃうのもわかるし、それに対してとらやさんのひとたちも、そんな寅さんを優先してしまうのもわからなくもない。でも、結果的にそれは、寅さんをとらやにずっといてはいけないと思わせてしまうことなのかもしれません。なんて、そんなこと、描かれてませんが・・・
寅さんはたしかにお姉さんに「惚れてるバイ」なわけですけど、寅さんは相手に対して自分と同じように惚れてくれることをねがっているのでしょうか。・・・そりゃ、そうなればいいと思ってるけど、あのお店に居着いてしまうのは、自分がいることでお姉さんが喜んでくれ、頼りにしてくれて・・・それ自体が寅さんの喜びだったのではないでしょうかね。
お姉さんの、「寅さんはそんなちっちゃい人じゃない。もっと心のきれいな人なのよ」みたいなセリフは、ただ鈍感なお姉さんということではなくて、寅さんの深いところをみててくれたのかもしれません。
藤子さんが性格が良くてよかったです。
大竹しのぶさんもかわいいですねえ・・・しかし、あの方言のところとか、すごいです。役者ですね。
2008-01-26