唐茄子はカボチャ

映画と音楽と・・・

男はつらいよ おかえり寅さん

2019年12月30日 | 男はつらいよ・山田洋次
映画館に入る前からなんか、そわそわ、ドキドキ。男はつらいよの最新作をまた見ることができるなんて。
いよいよ始まりました。
夢落ちが暗い!
でも、始まったばかりです。
桑田さん!これいいの?荒川で歌ってほしかった。どっちにしても、本物には、およぶはずもなく。

さて、本題に入りました。

まずは、寅さんはさすがです。昔の映像で笑ったり泣いたり。

そして、現代部分もしっかりしている。

でも、なんか暗い。

まず、寅さんがなきものになっていることが一番大きい。いつもの、今頃どうしてるのかなあのバカは…といった、どこかにまだいる人という感じにしていないことが、暗い原因だと思います。もう戻らない人の回想シーンという感じ。

あと、仕方ないのだけれど、ご高齢が多い。生きるエネルギーというか、未来に向かう力が感じられない。
回想シーンが出るたびに、あの頃はみんなのエネルギーを感じるんですが、現代になるとしんみりしちゃう。

男はつらいよの持っていたエネルギーはもうなくなってしまったことを感じずにはいられない。

ただ、泉ちゃんとお母さんのけんかのシーンは最高のシーンでした。あえて、寅さんを使わない男はつらいよにしても良かったのではないかとも思いました。それをやるエネルギーも時間もなかったのかもしれませんが。

ずっと泣いて笑ってって感じでした。
そして、最後に渥美清さんの歌。また涙がこみ上げる。

寅さんを見たことない人が、この映画単体で面白いのかはわかりません。みんなが笑っているところで笑えているのか。どうでしょうか。

お子さん役は良かったです。あと、編集者の人。良かったです。

そうそう。一家団欒のシーンも、あのときの笑いのエネルギーに比べちゃうと、泉ちゃんと諏訪家の食卓は、やはり寂しい。




男はつらいよ 寅次郎純情詩集

2014年10月18日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 寅次郎純情詩集

松竹

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1976年 18作

マドンナが亡くなる話なので、つらいです。
寅さんは一生懸命つくします。
病弱でお嬢様育ちで、寅さんにとってつくしがいのある人だったのでしょう。
寅さんを求めるお嬢さん、お嬢さんが喜ぶ姿に自分も喜びを感じ…
最期までその関係は続きました。
寅さんには、実はこういう人が一番合うのかもしれません。

最後、娘さんに会いに行くとこなんかも、泣かせるところです。

そこでまた一つ物語ができそうです。

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なんかあれですねえ・・・結末を知った状態で見ちゃうと、笑うシーンも悲しくて・・・

泣けるだけじゃなくて、笑えます。寅さんに慣れていけばいくほど、思わず笑っちゃうシーンが増えてきて・・・多分一回目の「ひいた」ところも、今回は笑ってしまっていると思います。

寅さんは長い年月の中で、いろんな人に深く愛されていったんでしょうね。これからも、寅さんを深く愛していく人がどんどん増えていくんでしょう。

人を愛するって、なんか、恥ずかしいことのように見えがちだけど、寅さんは純粋に好きになって、こんなにその愛した人に尽くそうとする姿は・・・感動です。

人を好きになると心がやわらかくなるといってましたが、そのやわらかさが寅さんのやさしさになって、人を幸せな気分にするんでしょうね。

寅さんがもっと何かしてあげられたんじゃないかと悔やむシーン・・・知らずにいたからこそ、その人のために何かしてあげたいという気持ちが素直なかたちで現れたわけですね。だからこそ綾さんは、寅さんを好きになったんですね。

いつもなら俺じゃ彼女を幸せに出来ないとひいていく寅さんが、今回は、真剣にあやさんのことを先まで一緒にいることを考えていました。花屋さんの話はそこでの寅さんの決心みたいなものが言葉で出たところだと思いますが・・・

結婚するとか・・・そういうことじゃないんだよなあ・・・、綾さんが自分を必要としてくれている。自分が一緒にいることで幸せそうな顔をしてくれる。そんな綾さんの喜ぶ顔を見たい・・・その顔を見るだけで自分も幸せな気分になれる。それだけなんでしょう。

前に見たときよりも、かなりおもしろい、いい話だと思いました。
寅さんの映画はもう残されたものしかないので、発展しませんが、見るほうの認識が発展して、寅さんも発展するような・・・そんな気がします。

見るたびに新鮮です。

あ・・・そうそう・・・旅役者の人たち。あのお芝居と重なって・・・だからなに?って感じですけど・・・

2008-11-24

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マドンナとの別れが死別というかなりきついお話しです。娘役の壇フミさん、寅さんに母のことを愛してたかを聞くところがありますが、とてもいいところです。政略結婚、自分で生きてきた実感がない、長い闘病生活、そして短い人生。自分の人生は不幸だったと思っていた綾さん、寅さんの注いでくれた愛情によって、たった一ヶ月間だったけれども、幸せを実感することができる日々だったのかもしれません。

寅さんは花屋さんを一緒にやろうとまで考えていました。俺も実を言うと、小物やさんとか、花屋さんなんかいいなあなんて思っていましたが・・・
今回ほど寅さんが何かしてあげなきゃと思ったことはないのかも。あやさんのために渡世人稼業をやめようと本気で思ってたんだから。

最後の娘さん先生との再会がまたうれしいです。

旅芸人の人とのこうりゅうもおもしろいのですが・・・

最初の寅さんのはちゃめちゃぶりはかなりひいてみてました。

(2008-01-29)

第46作 男はつらいよ 寅次郎の縁談

2014年10月18日 | 男はつらいよ・山田洋次
第46作 男はつらいよ 寅次郎の縁談 HDリマスター版 [DVD]

松竹

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男はつらいよのすごいところはこれだけ作品があるのに、その時々でちゃんと面白いということですね。
この話もすごく面白くて…ちょっと泉ちゃんがいないのは残念だけど、そのかわりの満男とあやちゃん恋愛模様がまたまたいいのです。
しかも、この間ちょっと薄れ気味だった寅さん恋愛もちゃんと強調されているので、そこもいいですね。

御前様はこの作品では出てきません。たぶん、亡くなったからだと思うのですが、それでも、御前様が元気ということを見る側に思わせるために冬子さんを登場させています。

昔の女の人が登場するというのもいいですね。
たまにそういう形でちょっと顔を出すとかあればそれはそれでシリーズの見どころになったかもしれませんね。毎回の作品で、裏マドンナというか過去マドンナを一人ずつ通りすがりとかで登場させるとかね。寅さんと直接会っちゃうと、また恋とかになっちゃうから、とらやに挨拶に来るだけみたいな感じで毎回一人ずつやるんです。しかも、上映までは表に明かさないでおいて。そうすれば、今回の裏マドンナは誰だ!?みたいのが、話題になったりしてさ。

この前見た、紅の花のときにかがりさんのこととか、お寺のひと・・・再婚したのか!!)あと、だれだったかな?会話の中でその話が出た時にちょっぴり嬉しくなりました。どこかの作品でお千代さんのことも言ってたこともありましたしね。

話は映画の中身に戻って、前にも書いたけど、暗闇の「好き!」というところが涙が出るくらい美しく・・・恋の切なさも感じていいシーンですね。

最後の船での別れのシーンも涙が出ちゃいました。

あと、船が欠航になったことを喜ぶところが面白くて大好きです。

寅さんにプレゼントが何がいいかを聞くところもいいですね。

満男がお姉さん(名前忘れた)におじさんはお姉さんのことが好きだから、結婚してくれれば…なんて言って怒らせちゃうところも好きなところです。
あのあと、「寅さん、月・・・」と指差して、寅さんが月を見ている間にさみしそうで一人帰っていくところがいいですね。

名シーンが多いお話でした。
名シーンと言えば、島の景色もきれいで、本気で住んでみたいと思ちゃいます。

満男が就職難であがいているところもいいです。うそを言って面接するのはもううんざり!と泣く満男の苦しさが伝わってきます。
話の最後にまた面接に行くわけだけど、その時の博さんの「自分の思ったことを言えばいいんだ。うそをつくことなんてない。それでだめなら、それでいいんだ」というところで、親子の心がつながったなあ・・・なんて思って・・・そこもいいところです。ネクタイ選んだり、靴磨いたり・・・親子の愛ですねえ…

2009-01-30

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このお話は、自分にとって数少ない劇場で観た作品でした。
今見ると、渥美清さんに元気がないのが年齢のせいだけじゃないような気がします。
映像からも、渥美さんに対する気遣いが感じられます。
寅さんが話すシーンも、まるで記録映画のように、映像として残しておきたい。そんな意識で撮っているかんじです。
気のせいかもしれませんが。

とらや(車屋?)の人たちも歳をとり、昔のような勢いはなく、月日の流れを感じます。仕方のないことだけど。
特にタコ社長はやせちゃってて見ていてつらくなります。

その中で、満男の恋物語が映画を元気にさせてます。
同時に、昔の作品よりも、社会の現実が物語を暗くしてます。
就職難、人間が軽く扱われる現実の中で、満男が飛び出した旅先で生き生きとしてる姿は救いがあります。
看護師さんの元気な姿は、とてもうれしくなります。

いま、男はつらいよをつくったらもっともっと暗い話になっちゃうかもしれません。
人生はつらいよ。人間はつらいよです。
その看護師さんもつらい思いをしてるかもしれません。


第9作 男はつらいよ 柴又慕情

2014年10月18日 | 男はつらいよ・山田洋次
第9作 男はつらいよ 柴又慕情 HDリマスター [DVD]

松竹

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第9作

寅さんの部屋を貸し出そうとした事に寅さんが怒るところで、寅さんが、博さん画家を建てたいと思っていることを馬鹿にするんです。
博さんが「お兄さんはひどいことを言うなあ・・・・」と、力なく、悲しい目をしながらつぶやくんですね。
そして、サクラさんは、「なんで一生懸命働いてためたお金でいえを立てようとしていることを馬鹿にするの?」・・・っていう感じで寅さんに対して泣きながら話すんですが、そこがすごく泣けてしまって・・・・

寅さんもそれを聞いて、その場にいられなくなりまた旅にでてしまうんですが・・

まあ、そんなこんなで吉永小百合さんが登場します。ウサギさんみたいです。
ちょうどこのころの吉永さんは、結婚のことで悩んでいたそうで、そういう意味では、このお話は、そんな吉永さんの本心が出てたりするのかもしれません。
そして、そんな悩んでいる吉永さんへの山田洋次さんからの応援でだったのかもしれません。

寅さんは結局ふられてしまいました。自分にとっても、ふられた時の寅さんの表情がつらくて・・・流れ星を見ながら2人が別の方向を向いているのは名場面だと思いました。

2008-01-09

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このころの寅さんはめちゃくちゃで、博さんとさくらさんの一生懸命働いて、家を建てたいという思いを傷つけてしまいます。あんなこといわなきゃいいのに・・・ということがぽんぽんぽんぽん出てくるからね。それがまたすごいところだけれども。

「バター」であれだけ笑いをひっぱれるか・・というのはあるけれど、ああいう、おかしくておかしくてもうどうにかなっちゃいそうな感じってほんと、たまに・・・何年に一回とかかもしれないけれど、ありますよね。その瞬間って・・・本当に幸せなのかもしれないですねえ・・・

それで思い出したけど、古今亭志ん橋さんがやっていた抜け雀がおもしろくっておもしろくって・・・貧乏のお侍さん・・画家?と、ぼろい宿屋の主人とのやり取りがおかしくって・・・おおわらいしちゃったなあ・・・笑いにのると、ちょっとしたきっかけでまたどっとなるんですよね。

まあ、そんな魅力が寅さんにはあるんでしょうね。残念ながら、観ているほうにはちょっと伝わりづらかったかもしれませんが。
見ている側も笑っちゃうといえば、ハイビスカスの花で病室でおばあちゃんに「リリーこんなにしわくちゃになって・・・町であってもわからねえ・・・」みたいなところは本当におもしろかったですね。わかっていても思わずおかしくなっちゃうのってあるけど、あそこのシーンは本当にそうでした。

いやいや、柴又慕情の話だけどね・・・「またふられたかあ・・・」のせりふは本当に切ないですね。ほんと、またふられたか・・・・だよね。

結婚を決意した歌子さんとのやり取り。とらさんのつらさ・・・わかるなああ・・・・

寅さんの立ち位置ってわかるんだよなあ・・・

けっきょく、寅さんは「良い人」だったり、「おもしろい人」だったり・・・
相手の女の子が自分との会話で楽しそうにしていたり、ちょっと自分に気を使ってくれたり・・・そんなことが気になって、だんだん好きになっちゃって・・・そうすると、その子の反応というか対応を勝手に良いように解釈し始めちゃって・・・それで、またまた勝手に盛り上がっちゃって・・・
それでふたを開けてみたら、「え!?私のことが好き!?」「困ったわ・・・」ってなもんだもんね。「いやいやあなたのことを嫌いではないけれど・・」「あんたを男としてみるとか考えられませんから」ってことだもんね。あれ?寅さんから自分のことに・・・(笑)・・・(いや・・・笑えないでしょ・・・)

ああ・・・書いててつらいけど・・・

寅さん!気持ちわかりますよ。

でも、今回、歌子さんが結婚を決心したことを寅さんに打ち明けるときに急に涙があふれだしましたが・・・そこがまたいいところで、今まで色々悩んできたことが、自分が決心したことで前向きになって・・・そんな決心した自分に感動したのかもしれないし・・・なんにしても、それまでのつらさが報われる涙というのはああまで美しいのかと思いましたね。

いや、あのときのふられた寅さんの見えない涙・・・見せなかった涙だって・・・美しいんだけどね。あの落ち込みようは・・・・

何で寅さんばっかりみてるのか・・・
それは、またいつものあれだよ・・・あれ・・・

まあ、私が恋をしなくなったらただの造糞機だからね。

それで、前にも書いたけど、2人で夜空を眺めれいるシーン。寅さんには涙で星なんてみえやしません。歌子さんは未来を見つめるように、流れ星を見つめます。
そして・・・お互い・・・別の方向を向いているんですねえ・・・・
美しいシーンです。

同じ道を歩いていても・・・見ている景色は違うのです。
彼女は上を向き、私は下を向く・・・
彼女は前を向き、私は後を向く・・・

同じ道でも地獄道だね。あの道は。

寅さんには勉強させられます。

2009-02-10

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今回の驚きはなんといっても吉永小百合さんですね。
このまえ、「おとうと」を見たけれど、なんか、声とか全く変わってない気がします。

最初の柴又での大騒ぎは面白いですね。
貸し部屋ありの札を見て怒った寅さんが不動産屋さんで見つけてもらった部屋がとらやの自分の部屋だったというのが面白いですね。今回はじめて気がついたんだけど、「ふーん、やらと屋さんか…」と、さりげなく言うところがとても面白かったです。

3人娘と一緒に大笑いしながら旅を続けて、パーっと明るい感じになって、次の別れのシーンで、夕暮れ時の寂しい駅のホームになるんですけど、あのへんの祭りの後の寂しさみたいな感じがとてもいいです。そして、歌子さんから鈴をもらったお礼に何かあげなくちゃっていうんで、お金をあげちゃうんだけど、そのあと、3人を見送った後の財布の中身をみるところから、もらった鈴を鳴らしながら駅のホームを後にするまでのところなんかも遊子哀しむって感じでいいですね。

諏訪家で歌子さんに博が話をするところもとてもいいです。あの時の博さんはとてもかっこよかったです。後押しのしかたがなんかいい感じがしました。
最悪だったのは、食べ物を吹きだすところです。サンドラブロックのように、上と下の2冠をあげたい気分です。

歌子さんたちと出会ったお店のおばさんとお話しするところの寅さんのしゃべり方がいいです。力を入れないですらっと流れるような語り口調がとてもかっこよかったですね。

30年帰ってないと嘘を言われてた女の子2人と寅さんの会話がかみ合ってなくて面白いです。娘たちが「30年たつと変わってるでしょう」って言ってるのに寅さんは「20年」って言ってたような気がしたけど・・・。あれも少しでも真実に近づけようとした寅さんの努力なのでしょうか…娘たちにあっさりまた「30年だもんねえ…」と、打ち消されちゃいましたけど…ききちがえだったらすいません。
そのままとらやに入った時が面白いです。

寅さんにはまると、寅さんから抜け出せなくなります。
山田洋次監督も、寅さんをつくって、自分で作った世界から、抜け出せなくなってしまったのかもしれませんね。おとうとでもテレビで寅さんのシーンが出てたと思うんだけど…これからもずっと寅さんを引きづりながら、映画を撮り続けて行くのでしょう。・・というか、ひきづり続けてほしいです。

2010-03-13

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きっかけは寅さんなんだけど、なんだかんだでとらやが居心地がいいということなんでしょうね。
とらさんのいいところは、マドンナが結婚しちゃったりしても、ちゃんと気にして会いに行ったりするところですよね。
映画になっていないところで、いろんな人のところに会いに行ってるとかんがえると、それだけでまた違う物語がありそうで、面白くなります。


男はつらいよ 噂の寅次郎

2014年10月14日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 噂の寅次郎

松竹

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1978年 第22作

お弁当を「見ないで」と言ってみたり、「とらさん、泣いてもいい?」みたいな甘えるセリフ。引っ越しで下着をばらまいちゃったり、「いや~ん」てな感じは男はたまりません。女性には反発くらうかもしれませんが、そうしたら僕が守ってあげますよと思わず言ってしまいそう。
「好きよ」なんて言われたらもうメロメロですね。

最後も「寅さん、あのね・・」と寅さんに話そうとするところも甘えてる感じがいい。寅さんもやさしく背中を押してあげます。

大原さん自体がそういう魅力があったんでしょうね。

その一方で出しておきながら、離婚の時の感情を押し殺すようなつめたい表情。美人の冷たい表情ほど男をビビらせるものはないのです。

ただ、なぜ「好きよ」と言うまでの気持ちになってしまったのか、そこがわからないのが残念。今考えると、最初の着替えのサイレンの音で思い出し笑いをするところから、あれはただドタバタがおかしいというだけでなく、寅さんに対するほほえましい感情があったのかも。



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2008-12-02
大原麗子さんがきれいです。
うふふふ・・・という笑いが良く似合います。
男はたまりません。うふふ・・・・
さくらさんが色あせて見えます。・・・っていうか、ちょっと疲れてないですか?ちょっと心配です・・・って、もうこれも昔の映画です。

大原さん・・・いや、荒川さん・・・いや、水野さん。服を着替えるシーンが何度かあって・・・そのシーンが見せてくれます。いや、裸になるとか薄着になるとかそういうことじゃなくて、一枚脱ぐだけなんだけど・・・そこで、きゅんとなります。不思議なモンです。

それを狙ってとってるとしたら、山田監督も・・・好きですねえ・・・でも、得ろとかじゃなくて、女性の・・・いや、大原さんのそういう姿に美しさを感じてしまったのかも知れませんなあ・・・

志村喬さん、出てくる時間は少ないですが、すごい存在感。言葉以上のものを語っています。

寅さんは人にほれます。
そして、真剣に人にほれてる人が好きです。
自分のことをおいといて、その人に優しくなってしまいます。
そこが寅さんのいいところです。

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(2008-01-25)
水野さんと寅さんが仲良くなるきっかけがいまいち微妙というか、いつの間にか「寅さん好きよ」ってなっちゃってました。それで、寅さんのことそういう意味で好きだったのかどうかは水野さんと山田洋次さんのの心の中にしまってあります。
ここの微妙さが理解できないのは、まだまだ修行が足りないということでしょうか。

こんにゃく物語が深いですね。博さんのお父さんはたまに出てなかなかいい味を出しています。寅さんとお父さんとの関係がおもしろいうです。
 寅さんは老若女と老男に人気がありますね。

この時期にも汽車が走っていたんですね。いつごろまで普通に走っていたのだろうか・・・

寅さんは、自分がふられ続けて傷ついてきたせいか、男がその人を好きだとわかると放っておけなくなってしまうんですね。寅さんは人を傷つけて手に入れることができません。自分が味わってきた傷を自分のせいで与えてしまうことができないのかもしれません。恋愛って、どこかで誰かが傷つくものなのだろうけどね。
水野さんにあとを追うように言うところの寅さんはすごくいいです。

男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎

2014年09月06日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎

松竹

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1981年 27作

松坂恵子さんがきれい。
笑顔がなんともいえず・・・あんな女の人に泣かれたら・・・
隠れているときの松坂さんの表情がちょっと影があって・・

寅さんはつらいとこですね。結婚することを報告されてふみさんが帰ったあとにさくらに「わざわざ来ることないんだ。こっちの気持ちにもなってくれ」というところが切ないですね。そんな気持ちをぶつけられる妹の存在っていいです。
そういう悲しみを乗り越えて、自分からフミさんに会いにいくなんてえらいですね。自分は好きだった人が結婚してそこに会いに行くなんてできないよ。そこが寅さんの優しさですね。相手が好きであれば・・・なんだろうなあ・・・うまくいえないけど・・・
人と人とのつながりというか、好き嫌いという境界線は1か0かではないんですね。そんな割り切れるものじゃないんです。
ふみさんは寅さんが好き。寅さんもふみさんが好き。でも、だからといってくっついちゃうほど現実は甘くない。
そして、別の人と結婚したからって、寅さんとフミさんの間の絆とでもいいましょうか、どこか求める気持ちはちっとも変わってないんです。男と女の恋愛にとどまらない心のつながりですね。

寅さんはあのとき悲しみにつけ込んでじゃないけど、うまくやっちゃえばそのままうまくやっちゃったかもしれないけれど、一人で寝かせたのは寅さんの優しさです。

でも、ふみさんにしてみれば、悲しみを埋めてくれる人を求めて寅さんのところに来たわけですね。寅さんが一番の心の支えだったのに・・・そのときに結果的にはほっぽり出されてしまったわけです。

おれだったら、寝てるところをじっと見ていたいと思うだろうなあ・・・あと、あのままだと体痛くなっちゃうんじゃないかと心配になりました。布団に寝かせてあげれば・・・なんておもいつつ・・・着物を着てる人がそのまま寝るのって大変そうでした。
明け方に独り帰っていく後姿が・・・悲しかったです。

2008-01-16

ここに登場する松坂恵子さんは最強の美しさです。全作品の中でも美しさはトップじゃないでしょうか。
笑顔が生き生きしていて、むかしどこかでみたような、あこがれの誰かに似ていて、でも、思い出せない・・そんな素敵なお姉さんでした。
一人でじっくり考えますという手紙は、寅さんにするか、鮨屋さんにするのか、という重い意味だったのかもしれないと感じました。でなければ、会いに来ませんよね?そして寅さんの今回の振られ方は寅さんもつ言いたくなっちゃうような振られ方でしたね。それでも寅さんは会いに行く。あったときによく来てくれたと涙ぐむふみさんがまたすばらしい。

今回も、早朝にタクシーを捕まえるシーンはいいシーンです。よそよそしさとか、着物で朝帰りの周りの目というか、そういうのも感じつつ…手紙の内容からみると、あのシーンがまた深いものになってくる気がしますが、気がするだけかもしれません。

いずれにしても、あそこで気を使った寅さんでしたが、それは、ふみさんにしてみれば、一緒にいたかったし、寅さんもそれを許してくれるからだと思ったに違いないんだけど、その寅さんの行動は、ふみさんがいることが迷惑だったととられたわけですね。女性としてのプライドも傷つけたかもしれません。
あそこのシーンは本当にいい。

寅さんは芸者さんと相性がいいみたいですね。

男はつらいよ 寅次郎紙風船

2014年09月04日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 寅次郎紙風船

松竹

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28作 1981年

音無さんが雰囲気があっていいですねえ・・・
でも、本気で約束したとしたらどうだったのだろう・・・・
そんないい加減な寅さんに対して怒ったのだろうか・・・
寅さんも、その時はただ適当に相槌を打ったにしてもだ、そのあとの付き合いでその気になる事だってあるわけで、そのことを正直に言えばいいのに。それで相手が困るなら困らしちまったほうがいいのではないでしょうかね。寅さんの優しい気持ちはわかってくれてるんだからさ。
寅さんは正直になれないんだね。自分が傷つくのはいつもの事だろうけど、相手がそれによって、余計な気を回してしまうのがいやなのかね。

なんてね。俺も寅さんと一緒で、人のことなら色々言えるけど、自分のこととなると・・・

なんか、久しぶりに吉岡君に会ったような気がする。吉岡君になってせりふが増えてきたみたいだね。・・・というか、年齢的にしゃべれるようになったということかな?

岸本さんとのたびもおもしろかったし、なんといってもちいさんがよかったよ。気合はいってて、ど迫力で。

そして、常三郎役の小沢さんがまたまた、らしくていいです。

岸本さんと「常三郎」の名前の関係はあるのかな?ないのかな?なんのこっちゃですね。

ちいさんと岸本さんのきょうだいの絆を見ながら、寅さんとさくらさんのきょうだいの絆の深さも再確認しました。

2008-01-30

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音無さんがすごく魅力的です。その音無さんに対する寅さんの態度がすごくかっこいい。最初からずっと物思いにふけってる感じが、他の作品の寅さんよりも哀愁を感じてかっこいい。

寅さんは、あのとき、ああいうしかなかったですよね。
でも、もう一言、「そのときは死ぬなんて思ってなくて冗談交じりにうなづいたけど・・・あなたから余命いくばくもないと聞いてから、ずっと、あなたのことを思っていました。」なんて言葉を続けていたら、展開は違ったのかもしれません。

「安心した」といいながら、彼女も動揺していましたが、彼女の本心はどうだったんでしょうか。

寅さんのやさしさは、死んだだんなとの約束があったからなのか・・・根っからのやさしさなのか、測りかねていた所もあったのかもしれません。何より、寅さんはその約束を本気にしているかどうかですよね。
そんな約束をまじめにしたといえば、私を何だと思っているの!?となるだろうし・・・だからといって、いい加減に聞き流したといえば、そんな大事なこと冗談で聞くなんて私を何だと思っているの!?となるかもしれないし・・・そこの所が微妙ですよね。

まあ、それを持ちかけただんなが結局2人をくっつけなかったのかもしれませんねえ・・・余計な気兼ねを2人の間に作ってしまったかもしれません。ある意味、旦那の亡霊が引き離したのかも。

2009-01-07

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今回は少しクールなかっこいい寅さんを見ることができます。
そして、女の子に対しては余裕をもって接することができるんですよね。

そう。恋愛対象となっていない相手に対しては、とても自然に面白おかしくできるんだけど、一度意識してしまうと壊れちゃう。
極端だけど、これもわかるんだよなあ…

最初のお別れの笛の音…のシーンと、最後のお別れのシーンが好きです。寅さんのとんだ三枚目…のところも好きです。
女の子がとら屋を訪ねてきたときにみつおをどんと突き倒すシーンもよかった。
とら屋での兄弟げんかもよかったな。
最初のクリーニングのばかにすんな!ってところも、思わずもらい泣き。

笑って泣いて、やっぱりこれがとらさんです。

本郷の旅館は、高校生の時に泊まったところかもしれません。
あのへん、雰囲気あっていいとこですよね。今はどうなってますかね。

田舎の景色がいいです。

男はつらいよ 寅次郎頑張れ!

2014年08月30日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 寅次郎頑張れ!

松竹

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第20作 1977年

ワット君とお姉さんとさくらさんが二階で話しているシーンは本当に切ないです。
寅さんのやさしさにお姉さんはとても信頼を寄せているんだけど、それと恋愛や結婚は違うということでしょうか。
でも、本当はそうじゃない気がしてなりません。若い時の恋愛ははっきり分かれるような気もするけれど、なんというのでしょうか。もっと、まったりとした関係で築いていく愛情がある気がしました。
そういうお互いに心を寄せる積み重ねのプロセスを実はワット君が壊したとも思えました。
寅さんがお姉さんを好きで、それでよかった。お姉さんは寅さんがいてくれると、安心する。
ワット君は、寅さんの恋心を利用しているように見えるお姉さんが許せなくて、寅さんに申し訳なくての行動ではあったのだけれども。

寅さんが盗み聞きして自分から引いて行ってしまう結果になったけれども、寅さんがそれを聞かずにそのまま一緒に長崎に帰っていたら展開は違ったものになったのかも。いや、それは、ワット君が許さない。お姉さんもあんなことをワット君に言われたら寅さんとどう接すればいいかかわからなくなるかもしれません。でも、それがきっかけで意識するようになるのかもしれないし。どこでどうなるかわからないんですけどね。
寅さんのやさしい気持ちをまっすぐに受け止めてくれているお姉さん、寅さんの気持ちをワット君に傷つけられて寅さんのために涙を流してくれるなんて、いいお姉さんです。寅さんに対してもそうかもしれないけれど、ワット君の生意気ぶりに腹が立ったのもあるんでしょうけどね。

さくらさんは言います。恋愛感情はなくても、藤子さんの寅さんへのその気持ちを知っただけで、兄は満足だと。
寅さんは、そういう男じゃないけれど、やっぱりそういう男でもあるんでしょうね。人間は複雑な生き物です。
ふられたからって、その人への愛情が成就しなかったとしても、やっぱりその人に対する思いやりの気持ちというものは持ち続けることができるわけですからね。

今回も景色がいいですね。
長崎。平戸。ここも行ってみたいです。


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ワット君が田舎に帰ってしまったことを知ったときの大竹さんの涙にこっちも泣いちゃいます。
そして最後のところのワット君とお姉さんとさくらさんの会話・・・それを聞いてしまった寅さん・・・泣けるシーンです。

寅さんは心のきれいな人なのよ・・・というところがいいですねえ・・・でも、寅さんは、そこで立ち去ってしまうから、藤子さんとの関係はそこで絶たれてしまいます。
自分だったら、本当に一緒に暮らして、将来は所帯を持ちたいと思ったら、あのまま家に残って藤子さんの帰りを待って、チャンスをうかがうのにね。寅さんはそんなこと考えないでしょうけど・・・

2008-11-26

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寅さんは、とらやにいるとダメなんですねきっと。
人の喜ぶ顔を見たい、頼りにされたいという思いはすごい強いから、素敵な女の人の前では大真面目に働いてしまうんですねえ・・・
労働意欲って案外、誰かに喜んでもらったとか、頼りにされたとか、そういうことを望むところからくるのかも知れません。
寅さんは本当に人に喜んでもらうことがすきなんでしょう。

だけど、とらやに戻ると豹変します。それは、みんなが寅さんを甘やかすからなんだろうね。日ごろつらい生活をしている寅さんにとっては、たまに帰ってぐうたらしちゃうのもわかるし、それに対してとらやさんのひとたちも、そんな寅さんを優先してしまうのもわからなくもない。でも、結果的にそれは、寅さんをとらやにずっといてはいけないと思わせてしまうことなのかもしれません。なんて、そんなこと、描かれてませんが・・・

寅さんはたしかにお姉さんに「惚れてるバイ」なわけですけど、寅さんは相手に対して自分と同じように惚れてくれることをねがっているのでしょうか。・・・そりゃ、そうなればいいと思ってるけど、あのお店に居着いてしまうのは、自分がいることでお姉さんが喜んでくれ、頼りにしてくれて・・・それ自体が寅さんの喜びだったのではないでしょうかね。

お姉さんの、「寅さんはそんなちっちゃい人じゃない。もっと心のきれいな人なのよ」みたいなセリフは、ただ鈍感なお姉さんということではなくて、寅さんの深いところをみててくれたのかもしれません。

藤子さんが性格が良くてよかったです。
大竹しのぶさんもかわいいですねえ・・・しかし、あの方言のところとか、すごいです。役者ですね。

2008-01-26

男はつらいよ 寅次郎と殿様

2014年08月24日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 寅次郎と殿様

松竹

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1977年 第19作

真野響子さんがとてもきれいです。
控えめそうな人なんだけど、寅さんやさくらさんに会うと、本当にうれしそうに喜びを表現してくれます。
寅さんの一人で舞い上がっているのがとてもイタいのですが、これって、誰もがズキッとするところで、そんな無様なところが自分に返ってくるので、みていられなくなってしまいます。寅さん以外は、そうなればいいけれど、そうならないだろうことは薄々感じているわけで、だから、その寅さんの浮かれっぷりが見ていられなくなってしまうでしょうね。
寅さんがふられた後に庭に出たさくらさんの表情がいいんですよね。寅さんの気持ちを思うと、さくらさんもつらいんですね。
ふられた後の寅屋の食卓はどうなったのかもちょっと覗いてみたかった気がします。

御前様の元気な姿がみれてとてもうれしかったです。

あと、景色がやっぱりいいですね。最初の駅の「しもなだ」がとても素晴らしい。海岸線に沿って線路が続いてるんですね。乗ってみたい電車です。大洲の風景がとても懐かしい風景です。今もそのまま残っていればいいけれど。行ってみたいなあ…冬に行ってみようかな?

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殿様の手紙が寅さんに変な期待をさせてしまって・・・でも、やっぱりそう簡単にはいきませんね。

相手はどんな人なの?というところで言い出せないのが悲しいところです。その事実を知ってしまったら、真理子さんはどういう反応をしたのだろうか・・・
2008.11.24.

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お殿様役の嵐寛寿郎という方、鞍馬天狗をずっとやっていた方らしいです。それで最初のところの鞍馬天狗になるんですね。

警察官の役のひと、ほんのちょっとしか出ないですけど、寺尾あきらさんですね。

それで今回のマドンナさんは、真野響子さん。きれいですねえ・・・愛嬌もあるけど、上品さもあって・・・いいですねえ・・・

寅さんの歌、「泣くな嘆くな影法師~♪」というのは初めて聞きました。3番まであるんでしょうか。

犬のトラが人懐っこくてかわいいんだけど、そのシーンでもう終りなのかな?
「そろそろ帰ってくるころだな?」「ポチかい?」っていうやり取りが面白いです。さりげないそういう会話が面白いですね。それがすごく自然で・・

おばちゃんがいいです。

でも、こいのぼりはそのままつっときゃいいのに。外から見えなかったのかな?なんて思ったけど、「どうだい?庭のつつじは」「咲かない!咲かない!」っていうおいちゃんの全否定も面白い。
そういう場で必ず登場するたこ社長も面白い。いわゆる「KY」だけど、いちばん「KY」は寅さんですよね。

(2008-01-23)


遺族

2014年03月11日 | 男はつらいよ・山田洋次
1961年に制作された幻の(?)テレビドラマ。友達が録画して持ってきてくれました。
戦争の記憶がまだ残されている時代の作品で、自分が考えている「戦後」のような過去の話でなく、この時代を生きているほとんどの人が戦争の時代を体験している中での話です。その戦争を体験しているという空気は今では絶対に表現できない。
ドラマ自体は、特攻で亡くなった人の日記を遺族にわたす約束を15年たって果たそうとするが、その家族は、その人を忘れずにずっと生きていて、日記を渡したことでまたその気持ちが強くなってしまったという・・・はたして日記を渡したのはよかったことなのかどうか・・・なんていう感じの話なんですが。

最初と最後にインタビューがあるのが面白いです。
若者や自衛隊員、自民党や社会党のひと、特攻隊員だった人、その遺族。いろんなインタビューがあって、それぞれがそれぞれの思いで今を生きています。
そのインタビューでも国のために命を懸けて死んでいった人たちがいたからこそ今の日本があるという感じの言葉が出てきますが、今それを言っている人たちとの言葉の意味とは違う気がしました。やっぱり戦争の記憶がまだ生々しい時代の人たちの体験から出されたその言葉には、戦争の傷の深さが感じられます。戦争を体験している人とそうでない人では「戦争」の意味が違うんですね。

日常を取り戻しているかに見える61年当時の日本。でも、その時にも深い傷を負った人が社会の中心だったことが良くわかります。
いま、危ない主張が横行しているのもそういう体験者が少なくなっていて歴史から学ぶことができなくなっていることもあるのでしょうね。
同時に反戦を訴える人たちも、正当化する人たちに対して歴史の真実をもっと学んで対抗していかなければならないのはもちろんですが、戦争は人が死ぬこと、人が死ぬことを数字的にとらえるとか、悲惨さをネタにするということではなくて、人間一人ひとりの「死」として、心の中に刻まなければいけないと思いました。
戦争があればおのずと深い傷が刻まれるわけだけど、平和の中でそれを感じるというのは、やっぱり意識的に学ぶということでしか補えないのだけれど。

前にネットが怖いという話をしましたが、そこで見てしまった殺人事件のようなことが一番行われているのが戦争ですもんね。一人一人に人生が強制的につぶされるのが戦争で、正しいとか正しくないとか、それ以前に、「自分の意思とは関係なく強制的に人が殺しあう行為」だということをもっと深く感じなければならない気がします。

薄っぺらな反戦論者のままではいたくないです。

小さいおうち

2014年02月14日 | 男はつらいよ・山田洋次
かあべえに続いて戦争中の暮らしの認識を覆されてしまいました。かあべえでは、子どもたちの服装やガスコンロが驚きだったわけですが、一部のレビューで見られた時代考証がめちゃくちゃという批判に対しての反論とも思われる、その当時を生きてきた人だからこそ作れる、当時のリアルな生活を描きたかったというのがこの作品の一つのテーマだったように思われます。あえて現代人のつまぶきくんにそんな勘違いのわざとらしいせりふをはかせてそれに反論する形で物語をすすめていきます。ちょっと説教くさい感じもしますが。
戦争の時代をひとくくりの同じものとしてとらえるのでなく、戦争の過程のなかでの人間の生活の変化、世相の変化、認識の変化をきちんととらえることの重要さをあらためて考えさせられました。
小説の時代考証がめちゃくちゃな少年Hや、戦争の一断片を抜き出して、美しいものに仕上げている永遠のゼロへの回答・・・という意味合いを持っているかどうかは知りませんが、そういう、山田洋次さんのその時代に生きた人間としての意地みたいなものを感じました。今の政治情勢や世相への危機感もあったと思われます。

小さいおうちで起こった事件についてもいろいろ想像するのが楽しくて、タキさんが彼を愛していたのか、逆に彼はタキさんを愛していたのか、奥さんの不倫の話だけでなく、そういう観点を持ってみるとまた面白いいろんなヒントとなるようなものをくっつけてみたり・・・。結論はあの展示されていた小さいおうちの絵に描かれていると思いましたが。
・・・そういえば、たきさんの家に小さいおうちの絵がありましたが、もしかしたら・・・戦後に2人は会っていたのかもしれないと想像を掻き立てられます。だからこそのタキさんが一生かかえこむほどの、最後の手記にも書かずに墓場に持って行くほどの罪とおもったのではないか、あの「わたしは長く生きすぎた」という言葉のなかには、そういう意味が込められていたのではないか…
いや、実は、たきさんは、あの時彼に会いに行っててそこで手紙を渡さずに…むふふ…となっていたのかも。

それともう一つ山田洋次さんらしいのは女性の身のこなしの美しさです。随所に女性の色っぽさを感じさせるシーンなんかもあって結構エロティックです。

一緒に見に行った友達とそんなこんなを話していて思った最後の自分の結論は、素晴らしい映画は人間を描くからこそその社会背景が描かれているし、社会背景を描きたければ、そこに生きてきた人間をきちんと描かなければいけないということです。そういう点でまたすばらしい映画を山田洋次さんはつくったんじゃないかなと思いました。

おやしらずをぬいた

2013年12月15日 | 男はつらいよ・山田洋次
木曜日の休みの日におやしらずを抜いた。
麻酔が苦くて、一瞬、息の仕方を忘れてしまいました。
うがいしてもなんか苦みが取れないし…
ぐいぐい体重をかけられ歯に圧力をかけられて・・・あごがなんか疲れてきた。
口を閉じてていいですよって言われた時も閉じた口がかすかに震えてる・・・
そんなこんなを何度かやってるうちにいつの間にか、「はいもう、とれましたよ」だって。
次は縫合するということで、結構こっちもじかんかかりました。
だんだん唇が渇いてきて…
なんか違うところに刺さった気がして、ちくっと痛みが走って涙がジワリと出てきて…
いろいろ不安を感じながらでしたが、レントゲンをとってようやく終わりました。
上下の歯というか歯茎?に挟んだ脱脂綿が戦いを終えた戦士の勲章のように誇らしい…
後でその脱脂綿をプイと外に出してみると、赤黒く血がしみ込んでます。か…っかっこいい…

かっこいいといえば、抜いた歯を持って帰りますか?と聞かれましたが、カッコつけて「いりません」」と答えてしまいました。
ああ…それこそ勲章だったのに…
磨けない部分の歯石のたまったところが黒く変色していて(どうして?)、歯と歯石のこびりついた抜きたての歯。なかなかにグロいです。ああ…もったいない…残念だ…

息子

2010年09月19日 | 男はつらいよ・山田洋次
息子

松竹

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この映画は、大船の撮影所の試写室で見ました。ちょうど、映画上映のサークルの集まりみたいのの企画で息子を見て、山田洋次さんと永瀬正敏さんとの懇談・・みたいのもやってくれて・・・

それでちょうどそのときは男はつらいよのうなぎやさんのシーンの撮影をしているときでその見学もさせてもらって、セットの入り口近くで眺めてたら、渥美清さんが入ってきて、ちょうどそのとき撮影が始まったんで自分の横に止まってじっとしてました。ああ・・・でかい人だなあ・・・と思いました。本当に大きかったのか、存在が大きかったのか・・・わかりませんが・・・

息子の話です。

田舎の「生きている」風景と都会の「死んでいる」風景が対比されているようで・・・でも、その死んだ風景の中で息子達は一生懸命に生きているんですなあ・・・田舎が「生きている」といっても、一人の人間が生きていくには厳しい環境でもあるわけで・・・そして、長男と妹に「一人で何かあったらどうする?」と、自分の死に場所の選択を迫られるおやじ。どこで死ぬのかという話しか出されないわけですけど、弟の所では、そのお父さんが、生きていくことを考えるわけです。孫の世話しなきゃとか、それまで考えていたどう死を迎えるかではなく、生きる希望が出てきたわけで・・・

そうですね。生きる希望をもって死ぬことができれば、どこでどのように死のうが関係ない気もします。死ぬための場所選びなんていうものは、後ろ向きですもんね。

息子の前で歌ったお富さん。息子にとって最高のプレゼントであり、自分がお父さんに愛されていたことを確認できた良い場面です。

あと、2人のやり取りの間には、何も壁が無いんです。良くも悪くも、自然に思ったことをいえる関係です。だから、長男のときの窮屈さがなくって・・・お父さんは長男には気を使っているんですね。長男もお父さんが自分のところに来たがってないことを知ってるし、お父さんも自分が歓迎されてないことを知っているわけで、そこのどこか寒い関係・・・いや、2人のあいだにはたしかに親子で、そこ自体にいづらさは無いんだろうけど、そこにいろんな関係があるからいづらさを感じてしまうのでしょう。

長男の嫁も悪い人ではないけれど、いてほしくない気持ちもよくわかる。今まで家族で築き上げてきた家族の居場所というか、関係が、お父さんが入ることでどうなるか、それは不安でしょう。最初から一緒にいたりしてれば自然とつくられていく関係も、いきなりドンと突きつけられたらそりゃ迷惑なのもわかります。家の狭さ、庭の狭さは、もしかしたら、家族の関係も窮屈にしてしまうのかもしれませんねえ・・・

いや、窮屈だというなら、弟の方だってよけい窮屈だから、場所の広さではないんでしょうが・・・

お父さんが求めたのは仕方なく差し出された救いの手ではなく、心から居場所と思えるところだったのでしょう。戦友も家族のところを飛び出して(?)老人ホームにはいって・・・居場所と思えないところで生活を強いられているわけで・・・弟はもしかしたら、同じ生きる者として、対等というか、同じ目線というか、周りからつくられったこうあるべき的な立場で無く話をしているから安心できるのでしょうが・・・だから、お兄さんは、そういう意味では、かわいそうなのだと思います。自分の気持ちとは違うところで動かなくてはいけない立場に立たされてしまっているから。

それでですね、さいご、思ったんですが、結局お話が始まる前と終わる時のお父さんの状況は解決したわけではありません。むしろ、環境は、暑かった夏からいつのまにか厳しい冬になって雪も積もって・・・厳しい環境に帰って来たわけです。でも、見終わった後に温かいものを感じるのは、そこに「希望」があるからなのでしょう。街の灯と同じで、弟夫婦と仲良く暮らしましたとさ。おしまいとはなっていません。でも、そうなる予感を感じさせる希望・・・もし離れていても、ファックスでやり取りをして新しい心の結びつきができたわけですから、そこはやっぱり生きる希望です。死ぬことだけを考える生活は終わったわけです。

やっぱり映画は「希望」で終わらなければね。

2006-12-04 00:25:34

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ひさしぶりに観たけれど、良い作品というのはやっぱり何度見てもいいですね。

お父さんのお富さんの歌はやっぱりグッときます。
お父さんの喜びが伝わってきます。歌っているお父さんを見る息子の表情がいいのです。自分のために歌ってくれているという感動が伝わってきます。

お兄さんの苦悩もわかるし、お兄さんの奥さんの何となく扱いずらそうな感じとか、わかりますね。そういう一人ひとりの立場からの行動というのが、きっちり描かれてます。

和久井さん、いい女だなあ…

なんでも、最初の題名は「祖国」だったそうです。
祖国という題名から考えると、田舎の景色、懐かしい景色、もしかしたらこれから失われてしまうかもしれない風景も祖国だし、首都圏の変わっていく景色も祖国だし、お父さんは戦争に行って、お国のためにと戦った、祖国。歳をとって居場所がなくなっていく祖国。車の中で運転手さんが話す祖国。これからの日本はどうなって行ってしまうのか、考えさせられます。
1991年の作品だということなので、あれからもう、20年近くたってしまうわけですが、これからの日本、どうなっていくのでしょうか。
よく考えたら不思議ですね。衰退期にでもなったように歳を重ねるごとに悪くなった悪くなったって言います。生まれてから、悪くなって行く祖国にしか生きていないのでしょうか。

続・男はつらいよ

2010年03月14日 | 男はつらいよ・山田洋次
続・男はつらいよ

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1969年 第2作

こういう展開は嫌いなんですよ。
無様の質がちがうというか・・・
結局いい男かよって言うのがなんか嫌だ。
それで浮かれた3枚目がまわりから笑われる。自分の心の無様さだけでなく、他人から笑われる無様さというのは、本当につめたいものだもんね。

あの女の人は無様な思いをしたことがあるのか。あのお医者さんは無様な思いはしなかったのか。寅さんだけが真剣に無様にがんばったのに、結局最後はなくしかないなんてね。

うなぎまで釣って・・・こんなに優しい人はいないよ。
死んだ先生のことであんなに悲しんでくれる人なんてそうはいないですよ。
それなのに・・・こんな終り方は・・・

あんな二人は別れちゃえばいいんだ!!

・・・そこが寅さんと俺の違いですね。
寅さんは、好きな人の幸せを願っちゃえる人だから。
俺は許さんよ。
寅さんの思いを知らなかったとは言わさないよ!コノヤロウ!
お前の選んだ道が間違いだったと思わせたいよまったく!
なんか荒れてますなあ・・・
そう・・・ついつい・・・自分とダブってしまって・・・・あうっ・・・

結論!人間は顔で選ぶ!でも、その選択が必ずしも正しいわけではない。
かといって、心で選んでも、正しいとはかぎらない!
でも、そこで選んだ結論というのは、今の時点でのその人にとっての、最良の選択なのだ!結果はどうあれ・・・

38年間がどうのこうのいってるけど、このとき寅さんは38歳の設定か?

お母さんとわかりあえてよかったね。先生の言葉が寅さんに力を与えたんだね。馬鹿な娘はほっといてさ!

2007.12.27

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今回は2回目ですが、この前とはちょっと違った印象です。
と言うのも、男はつらいよのテレビ版ををみたからなんですけど。
テレビドラマの方では、散歩先生の娘さんは冬子さんでしたけど、映画のほうで、御前様の娘さん(だったかな?)が冬子さんになっちゃったからでしょう。夏子さんになってますね。

テレビドラマでは写真でしかみることができなくなってしまった物語を映画で再現してくれているようで、テレビと映画がつながってくるようです。

前にみたときは、自分自身、かなり拒否反応をしていたみたいですね。
今回はそんなこともなくて、普通に寅さんの3枚目ぶりを冷静に見てました。もう結末を知っているからかもしれませんが、それだけでなく、テレビ版の「冬子さん」と寅さんの縁側での会話をみたからでしょう。
あと、夏子さんはであったときから最後まで寅さんにそういう意味での特別の感情がない事はありありとわかりましたし。
散歩先生がよっぱらってねちゃったときの2人の距離がそういう意味では一番微妙と言うか、崩れそうな一瞬ではありましたけど。それ以外は夏子さんの心は乱れてない気がしましたもんね。

御前様がすごいです。たったワンシーンですよ。寅に説教たれて、これだけ心に響く話をするなんて。セリフがいいとかではなくて、そのせりふを言う人のちがいってあるんでしょうね。

しかし・・・あのお医者の人は好きになれなかったな。
時代のせいもあるかもしれないけれど・・・
タバコすぱすぱ吸って、楽器を他のお客さんの邪魔になるように置いちゃうところなんか。どこがいいのかな・・・しかし、そういう印象を与えさせるように仕組んだんでしょうかね。2枚目って言うけれど、この人だって3枚目なんですよって。

2008-09-18

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最初に見たときより、自分自身大人になったのかなあ・・・
ハッピーエンドだけが面白い映画じゃないというか、いい終わり方というのが、主人公とヒロインが結ばれるというだけでないんですね。

寅さんにとってもお母さんと結ばれていい終わり方です。

でも、お医者さんは今でも好きになれないです。さしずめインテリですからね。

うなぎをつっているシーンは、何日も釣り続けてるってよくわかるシーンです。同じ場所で、いる人をかえることで、時間の経過がわかるんですね。