まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

長谷川等伯展

2010-05-01 16:41:06 | art

2010年4月10日(土)~5月9日(日) @ 京都国立博物館
桃山時代の巨匠、長谷川等伯(1539~1610)没後400年の特別展覧会。

            *  *  *  *  *

■ 山水図襖(ふすま)
襖絵を断り続けてきた住職の留守を狙った等伯が、一気呵成に描き上げてしまった作品。
しかも、その襖というのが無地ではなく、桐の文様があらかじめデザインされたものでした。
意図したものなのか、偶然の産物なのか? 桐の文様がしんしんと降りしきる雪のようです!

■ 松に秋草図屏風(びょうぶ)
鮮やかな金地を背景に、自由奔放に咲き乱れる秋の草花がリズミカルに描かれています。
秋草の細長く、しゅっと伸びた葉。 その優美でしなやかな曲線に目を奪われてしまいます。
余分な力み・気負いを全く感じさせないながらも、細部に至るまで緊張感が漲っています。

■ 枯木猿猴図(こぼくえんこうず)
荒々しくなぐり描きしたような枯れ枝に、繊細な毛並みにおおわれた手長猿という構図。
左に描かれた一匹の猿は楽しそうに枝から枝へと渡り歩き、躍動感に溢れています。
右の方の母と子猿の微笑ましい姿は、観る者の口もとを思わずほころばせてくれます。

■ 仏涅槃図(ぶつねはんず)
縦10m×横6mという巨大なサイズの仏画は、途中で角度を付けて展示されていました。
安らかな永遠の眠りにつくお釈迦様の周りに集う、たくさんの弟子や信者の方たち。
森の動物たちも皆、お側に控えています。 彼らの悲痛な慟哭が聞こえてくるかのようです。

■ 柳橋水車図屏風(りゅうきょうすいしゃずびょうぶ)
柳に橋、そして水車、いかにも純日本風の三点セットで構成されている屏風図なのですが、
どこかしら、現代に通じるようなアート感覚・デザイン性を感じさせる作品です。
銀座あたりのギャラリーに飾ってあったとしても、全く違和感を覚えないような気がします。

■ 松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)
濃い墨で描かれた前景の松、荒々しいタッチの松葉。 その背後に薄墨で描かれた松林。
樹間には、たっぷりと水気を含んだ霧がたちこめています。 どこまでも続く幻想的な風景。
落葉松はさびしかりけり。 旅ゆくはさびしかりけり。 北原白秋の詩のイメージです。

            *  *  *  *  *

こんな風に書くと、じっくり作品と対峙して、ゆっくり鑑賞してきたように思うでしょ。
実際は入場まで数十分の長い行列、中に入れば、バーゲン会場のような混雑ぶりでした。

Tohhaku


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