まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第603回定期演奏会

2016-08-01 20:27:51 | kyokyo
2016年7月31日(日)14:30開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : ユージン・ツィガーン / 管弦楽 : 京都市交響楽団


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● シューベルト : 交響曲第7(8)番ロ短調 D. 759
その後の「ザ・グレイト」へと続く、実に堂々とした風格を感じさせる「未完成」交響曲でした。
ゆったりとしたテンポで、情感を込めて歌わせるところは歌わせるものの、過度に重々しくならず。

その辺りの「匙加減」というか、品格、センスの良さを感じさせる音楽づくり。 明晰な指揮ぶり。
全体としては、生き生きとした瑞々しさが印象的。 「清潔感」は、出せるようで出せない美質。

シューベルトらしい、美しくも悲しげなメロディが魅力的。 通俗的名曲なんて言うことなかれ!
管楽器それぞれに聴かせどころが用意されていますが、中でも、高山さんのオーボエが秀逸でした。

● マーラー : 交響曲第5番嬰ハ短調
それにしても長い! 止めどもなく溢れ出てくる旋律。 日本人の美意識とはちょっと違うような。
放出されたエネルギー量の膨大なこと! 指揮者や楽団員の方は、さぞかし大変だったことだでしょう。

各声部の自己主張がくっきりと際立ち、雑然とした混沌のような(?)音楽世界が現出されていました。
小ぎれいにまとめ過ぎると、なかなか現れにくい感覚。 際どいバランス感覚が要求されるところ。

集中力が途切れそうになりながらも、最後まで聴き遂せたときに湧き上がってくる満足、陶酔感。
そして、トランペットのナエスさん、ホルンの垣本さんのソロは、特筆すべき見事なものでした。

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前回客演時のプレトークでは、流暢な日本語を披露したツィガーンさんでしたが、今回は通訳を帯同。
少し残念な気がしましたが、生真面目に解説されている態度には好感。 再来演も是非期待したいです。