まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第665回定期演奏会

2022-03-16 20:02:29 | diary
2022年3月13日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / 独唱 : 藤村 実穂子(メゾ・ソプラノ) / 合唱 : 京響コーラス(女声)


            *  *  *  *  *

● 尾高 惇忠 : 女声合唱曲集「春の岬に来て」から「甃のうへ」「子守唄」
作曲者の尾高惇忠さんは、広上淳一さんのプロフィールの冒頭に書かれているように、音楽の師匠とも言うべき人。
今回演奏される「オーケストラ伴奏による版」も、広上さんの求めに応じて出版されたもの。 曲目変更の副産物!

京響コーラスの実力は、合唱付きの交響曲やレクイエムなどの宗教音楽の演奏でも、既によく知られているところ。
今回初めて、純粋な合唱曲のステージを聴くことが出来ました。 マスク装着という難しい状況ながらも立派な演奏。

三好達治の「あはれ花びらながれ」という印象的な詩句で始まる「甃のうへ」と、立原道造の詩による「子守唄」。
中でも「子守唄」は、終演後のアンコールでも再演され、亡き母への思い出と共に、思わず目頭が熱くなりました。

● マーラー : リュッケルトの詩による5つの歌曲
藤村実穂子さんは、今回、この二日間の定期演奏会だけのために、わざわざドイツから帰国して下さったそうです。
コロナ禍の演奏会で、出演者やプログラムの変更が相次ぐ中、本当に有難いことで、感謝の言葉しかありません。

ドイツ語の歌詞の意味は全くわからないものの、世界的なトップアーティストが持つ威厳と慈愛に満ち溢れた歌唱。
月並みな感想になりますが、「人間の肉声に優る楽器はなし!」。 加えて、立居振舞いの優雅なことと言ったら…。

当初、この定期では、マーラーの交響曲第3番が演奏される予定。 2011年7月以来、何と10年余ぶりのこと。
曲の後半、荘厳で神秘的なアルト独唱が入ります。 本音を言えば、やはり聴きたかったなあ。 再演を希望します。

● マーラー : 交響曲第1番 ニ長調「巨人」
広上さんの指揮だけでも、これで3回目の実演体験。 昨年はびわ湖ホールで、沼尻竜典さん指揮でも聴いたところ。
円熟、充実の時を迎えて、最近の広上=京響の演奏は奇を衒うこともなく、まさに王道を行くような風格のあるもの。

さて今回は、常任としてのラストコンサート。 さまざまな想いが、サウンドにどのような影響を及ぼすのだろうか?
いい意味でのケミストリー効果か! 就任当初の頃の、開放的で「よく鳴る」京響サウンドの再現を感じさせるもの。

サッカーの場合、監督が変わると、チームのフォーメーションや戦術が一変し、印象が大きく変わってしまいます。
オーケストラの場合は、どうなんだろう? 新しい常任指揮者の人選も含めて、今後の京響、期待と興味は尽きません。



コメント
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