まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第629回定期演奏会

2018-11-19 20:26:41 | kyokyo
2018年11月18日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮: アレクサンドル・ラザレフ / 管弦楽 : 京都市交響楽団(コンサートマスター: 泉原 隆志)


            *  *  *  *  *

● グラズノフ : バレエ音楽「四季」 作品. 67
ロシアの四季は、長く厳しい冬から始まる。 閉ざされた環境の中でも、自然現象の微かな変化を見つめる人たち。
束の間の春が過ぎ、これまた酷暑の夏。 直截的でダイナミックな変化。 やがて、豊穣の秋を迎えるという流れ。

全曲が切れ目なく演奏される中、「春」が訪れたところでは、小鳥の羽ばたきのポーズで合図を送るラザレフさん。
なんと、体を客席の方へ正対して(オーケストラには背を向けて)、指揮される場面も! あふれるサービス精神。

ラザレフさんの個性と解釈によるものだろうが、単なる描写音楽を超えた、色彩感、躍動感のあふれる演奏を披露。
全曲の中でも単独で演奏されることの多い「秋」は、美しい自然と豊かな大地への感謝の念が湧き上がってきます。


● ボロディン : 交響曲第2番ロ短調
演奏時間は30分。 肥大化した交響曲のひとつの楽章分くらいの短さ。 その中に、凝縮された濃厚なロシア音楽。
化学者としても著名だったボロディン。 その職業由来の明晰さで、余分な音楽的要素を削ぎ落としたかのようです。

旋律の歌わせ方(フレージング)やテンポの動かし方(揺れ)に、ラザレフさんの創り出す音楽の魅力を感じます。
ラザレフさんの高いレベルの要求にも、しっかりと対応してみせた京響の演奏も堂々たるもの。 シーズン・ベスト!

2012年10月の562回定期以来、待望の客演となったラザレフさん。 ご当人も、気分よく指揮されていた感。
健闘したオーケストラに対しての拍手を客席に促したり、わざと下手(しもて)の方に退場する素振りを見せたり。



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