まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

竹中真 ジャズ・ピアノ演奏会

2012-04-29 10:35:59 | jazz

Bach Wochen in Kyoto 2012  (バッハ週間 in 京都 2012)
2012年4月28日(土)14:00 開演 @京都コンサートホール・小ホール

            *  *  *  *  *

第1部は、多くのジャズメンが愛してやまない「バッハ」の名曲がズラリと並ぶプログラム。
休憩後の第2部は、ドイツの3大「B」の残りのお二人をメインに、「B」にまつわる曲。

ピアノの竹中真さんは日本人で初、アメリカの名門・バークリー音楽大で教職に就かれた方。
私が大好きだったジャズ・ピアニスト、本田竹廣さん(故人)にも師事されていたそうです。

クラシック音楽の「安易」なジャズ化は、お互いにとって得るべきものは少ないと思います。
しかし、確固とした音楽性・技術力に裏打ちされたコラボは、心地よい時空間を創出します。

今日のステージなら、ライヴスポットの方がもっと盛り上がったような気がして、少々残念。
是非、ピアノ・トリオでジャズ・スタンダードを聴いてみたいなあー!と思わせるような演奏。

            *  *  *  *  *

普段から教壇に立っておられるのと、京都育ちということもあってか、トークも慣れたもの。
ドイツ3大「B」のギャグ、「バッハ、ベートーヴェン、ブラゼルは阪神?」はウケました!

Takenaka_makoto

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篠﨑靖男プロデュース・オーケストラ・シリーズ Vol.2

2012-04-16 18:38:37 | kyokyo

2012年4月15日(日) 午後2時30分開演 @滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
指揮 : 篠﨑 靖男 / ピアノ : インゴルフ・ヴンダー / 管弦楽 : 京都市交響楽団

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● 武満 徹 : How slow the wind
クラシック通の人が、「タケミツはええぞっ!」って言うあの武満。 私は初めて聴きます。
正直なところ、過度の緊張と集中力を強いるような「現代音楽」の作品は、どうも苦手です。

タイトルからすれば、「ゆったりとそよぐ風を感じればいいのか?」と思っていましたが。
どうも捉えようがないみたいだ。 微かな空気(時間)の流れらしきものは感じたような…?

隣りの座席のカップルの「にいちゃん」が彼女に、もっともらしい解説を付け加えていたが。
「天才」作曲家の心象世界には、私達「凡人」の感性では、到底、入り込めるものではない。

            *  *  *  *  *

● ショパン : ピアノ協奏曲 第1番 ホ単調 作品11
若かりし頃の意欲に満ち溢れた作品。 その分、ちょっと長い目(すいませんっ!)かも。
それでも、「ピアノの詩人」らしい魅惑的な旋律。 あまりの心地よさ(?)に居眠りの人も。

初演はショパン自身のピアノ。 ポーランド動乱の最中、国外逃避する直前の演奏会でのこと。
彼はどんな思いを込めて鍵盤に向ったのか。 その心情を想像する時、胸の疼きを覚えます。

独奏のインゴルフ・ヴンダーさん。 粒立ちのくっきりした、しっかりとした芯のある音色。
確かなテクニックに裏打ちされた表現力。 さすが評判どおりのピアニストという感じでした。

            *  *  *  *  *

● ベルリオーズ : 幻想交響曲  ひとりの芸術家の生涯のエピソード
私が年末に勝手に付けているランキングでも、必ずや上位にランクされるであろう出来映え。
篠﨑さんのメリハリの効いた、きびきびとしたタクトに、京響も全力で応えたという大熱演。

「断頭台への行進」の後で起こった拍手には、サバトに集う魔物たちもさぞかし驚いたはず?
そして、さらに凄絶、狂乱を極めた最終楽章には、「誤」拍手をした人たちがもっと驚いた!

シリーズ第2弾を通して、篠﨑さんと京響との緊密性も深まり、よりスケールアップした感。
来年は、マーラーの交響曲第2番「復活」を予定されているとか。 早くも期待が高まります。

Shinozaki

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角田光代 「曾根崎心中」を読んで

2012-04-14 13:15:45 | kakuta

タイトルからもわかるように、原作は歴史の教科書にも出てくる、あの近松門左衛門です。
角田さん初の時代小説。 ツイッターでお訊ねすると、「がんばりました、、、」とのご返事。

最初は、角田さんと時代小説という組合せがしっくりこなくって、敬遠していた作品でした。
しかし、読み始めてみると、「元禄」の世の物語という時代背景を忘れてしまいそうです。

主人公の遊女「お初」の心情を中心に、短めの文が歯切れよいリズムを作り出しています。
当時の遊郭をめぐる生活が生々しい温度と実感をともなって、目の前に再現されていきます。

            *  *  *  *  *

序盤に描かれる「大坂三十三ヶ所」札所巡り。 恋の成就を願って観音さまに掌を合わせる。
無心になって「~しますように」と祈る姿・思いは、平成の世も何ら変わりがありません。

中盤では、恋仲の徳兵衛が友人の九平次にまんまと騙されて、多額の借金を背負う羽目に。
それにしても、近松門左衛門。 不幸への突き落とし方が「さすが!」という他はありません。

ラストは、「心中」を決意した二人、曾根崎の森への道行き。 凄絶なまでの官能美の世界。
一瞬ながら、微かな疑念が胸の内をよぎるお初。 それをきっぱりと断ち切るまでの心の動き。

            *  *  *  *  *

予備知識のなかった私は、男性(徳兵衛)が主導権を握って、か弱い女性(初)が付き従う。
そんなイメージを想像していたのですが、二人の立場はむしろ逆のような印象を受けました。

人形浄瑠璃でも歌舞伎でも、チャンスに恵まれれば、実際の舞台を是非見てみたいなぁー。
一途に思い焦がれるようなお相手もおりませんが、「大坂三十三ヶ所」の観音さま巡りも。

さながら、舞台での名場面、名せりふを見聞きするような感覚で、一気に読み切った作品。
古典的な名作に果敢に挑まれた角田光代さんの姿勢にも、大きな拍手を送りたいです。

Sonezaki_2

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京都市交響楽団 大阪特別公演

2012-04-09 19:52:22 | kyokyo

2012年4月8日(日)午後2時開演 @ザ・シンフォニーホール
指揮 : 広上 淳一 / ヴァイオリン : パヴェル・シュポルツル / 京都市交響楽団

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● ドヴォルザーク : スラブ舞曲第1番 作品.46-1
京都コンサートホールで演奏された曲を、今日はシンフォニーホールで聴くという趣向。
出だしの数小節を聴いただけで、「これは、昨日とは違うやん!」ということを実感しました。

ホールそのものを一つの楽器として捉えるならば、このホールはよく「鳴る」ホールです。
響きの余韻が残っているところへ次の音が重なっていくのか? ふくよかな丸みのある音色。

出来上がってしまったホールに、後から「なんやかんや」と注文を付ける訳にはいきません。
京都コンサートホールの特質に合った、オーケストラの音への追求が大切だと思いました。

            *  *  *  *  *

● ドヴォルザーク : ヴァイオリン協奏曲 イ長調 作品.53
前日は、「ユーモレスク」と「ツィゴイネルワイゼン」の名曲が二つ並ぶプログラムでした。
今日のように真ん中に「協奏曲」がでーんと構える方が、気分的に落着くような気がします。

かなりテクニカルな部分でも、いとも簡単に軽やかに弾きこなしてしまうシュポルツルさん。
それに呼応する管楽器の旋律をくっきりと際立たせるような指揮ぶりも、印象に残りました。

ソリストと指揮者&オーケストラのスリリングな一発勝負も、協奏曲の魅力のひとつですが、
今回のように、ツアーを組みながら三者の熟成を深めていくというスタイルもいいものです。

            *  *  *  *  *

● リムスキー=コルサコフ : 交響組曲「シェエラザード」 作品.35
この作品は、シェエラザードをヒロインにした「アラビアンナイト」を題材にしています。
こういうストーリー性のある楽曲は、「大河ドラマ」通の広上さんにはピッタリの選曲です。

あらためて実演で聴いてみると、「難所」が次々と待ち構えている難易度の高さを感じます。
独奏ヴァイオリンだけでなく、各々の楽器パートにソリスティックな技量が要求されます。

演奏時間以上にボリューム感のある、濃厚な「アラビア風ロシア料理」といったイメージ。
オーケストラのメンバー全員が手を抜くことなく、ハードワーク出来てこその大熱演でした。

Img004

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京都市交響楽団 スプリング・コンサート

2012-04-08 10:39:16 | kyokyo

2012年4月7日(土) 午後2時開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / ヴァイオリン : パヴェル・シュポルツル / 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● ドヴォルザーク : スラブ舞曲 作品.46-1 & 46-3
曲名の「スラブ」からは、大地にしっかりと根ざした逞しさ、質素で素朴な生活という印象。
集落の祭りや婚礼などの行事で、農民たちが踊りに興じる楽しげな情景が浮かんできます。

激しく活き活きとした表情を見せる第1番と、愛らしく穏やかな印象を受ける第3番の選曲。
初めての曲にもかかわらず、何処かしら懐かしさを感じるのは遥か遠い祖先の記憶かも?

● ドヴォルザーク : ユーモレスク 作品.101-7
● サラサーテ : ツィゴイネルワイゼン 作品.20-1

このステージは、京都だけのプログラム。 新潟・大阪公演ではドヴォルザークの協奏曲です。
ヴァイオリンの超有名曲が「生」で聴けるなんて! わくわく感たっぷりのステージでした。

真っ赤なシャツに黒のベスト、そして噂の「青い」ヴァイオリン。 シュポルツルさんの登場。
「青」というのは、彼のラッキー・カラーなんでしょうか? それとも、魔除けの色とか?

派手好きで目立ちたがり、自己主張の強い演奏スタイル? いえいえ、とんでもありません!
かなりの技巧的な部分でも、あくまでも自然体で余分な力みすら感じさせず、流れるような。

            *  *  *  *  *

● ベートーヴェン : 交響曲第7番 イ長調 作品.92
のだめちゃんの影響があるにしても、京響だけでも、この2年間で3回も聴いている人気曲。
私自身は大好きな曲なので、全く苦になりません。 今日はどんな新しい発見があるかな!?

特に印象に残ったのは、第4楽章での圧倒的な爆発力・推進力。 広上さんの躍動的な指揮。
早朝のマスターズ観戦の影響で、ふいに襲ってきた睡魔を豪快に吹き飛ばしてくれました。

低料金のコンサートとはいえ、3月の555回定期に引き続いての「完売御礼」だそうです。
広上さんが常任指揮者に就任されて迎える5年目の春。 京響は快調なスタートを切りました。

Spring

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