まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

山下洋輔 ニューヨーク・トリオ

2010-10-31 17:48:54 | jazz

2010年10月30日(土) @ 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
山下 洋輔(ピアノ)/ セシル・マクビー(ベース)/ フェローン・アクラフ(ドラムス)

            *  *  *  *  *

■ オープニングのナンバーはレコーディングはされたものの、まだ名前のない曲だとか?
  「フリー・ジャズはどうかなぁー?」といった感じのご年配の方々は、聴いてビックリ!

■ 続いてのナンバーは、ご自宅の三匹の猫さんから着想を得たという「トリプルキャッツ」。
  組んず解(ほぐ)れつ、気ままに戯れる猫さんたちのイメージが浮かんでくるような曲。

■ 三曲目は、「オリジナルはユダヤ・メロディーかも?」と思わせる「エレジー」という曲。
  タイトルが示すとおり、ユーモラスな中にも、どことなく哀感が漂うナンバーです。

■ 前半のステージをしめくくるのは「スパイダー」。 「猫」の次は「クモ」の登場です。
  三人の指づかい(スティックさばき)を見ていると、もぞもぞとうごめいているようです。

            *  *  *  *  *

■ 後半の開始は、ワルツ・タイムの愛らしい「フライト・フォー・ツゥー」という曲。
  二人(恋人?)の希望と不安が交錯するような、新たな旅立ちをイメージするかのよう。

■ 続いては、スリリングなスピード感たっぷりの「チェイス」というナンバー。
  さながら、アクション映画の行き詰まる「追跡」シーンを彷彿とさせるような緊迫感です。

■ 三曲目は、「メモリー・イズ・ファニー・シング」。 ミディアム・スローなバラード。
  プログラムのこの辺りに、歌心たっぷりのバラードを配する演出も、なかなか憎いところ。

■ エンディングは、この曲で終ることが多いのだそうです。 「クルディッシュ・ダンス」。
  直訳すると、「クルド人の踊り」。 エネルギッシュな祭りの饗宴がもたらす陶酔感。

■ アンコール曲は、ミュージカル・ナンバーの「マイ・フェイバリット・シングス」。
  コルトレーンのトレード・マークのようなこの曲を、山下さん流に見事に一刀両断!

※ 演奏曲目と順序は、若干違っているかもしれませんが…。

            *  *  *  *  *

山下洋輔さんのジャズは、聴き慣れるまでは、すごい緊張感を強いるパワーを持っています。
それがある一線を超えると、うっとりしてしまうような心地よさに変わるところが不思議です。

Yousuke_2

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かんでん クラシック イン 京都

2010-10-25 09:27:26 | kyokyo

2010年10月24日(日) 14:00開演 @ 京都コンサートホール 大ホール
指揮: 岩村 力 / ヴァイオリン: 石上 真由子 / 管弦楽: 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● ロッシーニ: 歌劇「セビリアの理髪師」序曲
この曲は信じられないけれど、別の歌劇で使われた序曲をちゃっかり転用したものだとか?!
今なら契約上の問題で、おそらく法廷闘争まで発展し、ロッシーニの敗訴の巻となったはず。

そういういわく付きの曲ですが、イタリアオペラらしい華やか曲調が魅力的な曲です。
初めての曲かと思いきや、親しみやすい、耳に聴き覚えのあるメロディーが流れてきました。

            *  *  *  *  *

● チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
献呈者には「演奏不可能」とこき下ろされ、初演時にもさんざん酷評された曲だそうです。
あのピアノ協奏曲も同じ経緯をたどったように、彼はけっこう「冷や飯」を食っている?

石上真由子さんは1991年のお生まれ。 みずみずしく美しい音色に魅了されました。
演奏後には、将来の大きな羽ばたきを期待する、温かく大きな拍手が湧き起こっていました。

岩村さん指揮の京響は、この若きヴァイオリニストを優しく包み込むようなサポートぶり。
もちろん、フル・オーケストラの強奏部分には、京響らしい躍動感・迫力が感じられました。

            *  *  *  *  *

● チャイコフスキー: 交響曲 第5番 ホ短調 作品64
作曲者自身の「大げさに飾った自然でない、こしらえものの不誠実」という批評付きの曲。
聴衆のウケを狙った(媚びた)部分でもあるのだろうか? 今では、大きな魅力に転化した!

最近、聴き始めた頃の震えるような感動の嵐が襲ってこないなぁーと気がかりだったのですが、
この日は、「京響が京都にあってよかった!」という幸福な気分に浸れるような演奏でした。

岩村さんの奇をてらったところのない、オーソドックスな指揮ぶりにも好感が持てました。 
正直、ゲルギエフ=ウィーン・フィルのCDに負けないくらいの、ライブでの感動でした。

            *  *  *  *  *

アンコールは、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」の第3組曲から。
弦楽合奏用に編曲された「シチリアーナ」。 哀愁を帯びた、心に染み入るような曲でした。

Kanden_2

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オーケストラで描くヒーローたち

2010-10-11 17:18:02 | kyokyo

2010年10月10日(日) @ 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
指揮:広上 淳一 / 管弦楽: 京都市交響楽団 / 独唱:馬場 菜穂子

            *  *  *  *  *

● 第1部 大河ドラマより:「龍馬伝」他、全8曲
今年になって、京響の演奏会でのプログラムに度々登場するようになったレパートリー。
放送中の「龍馬伝」のテーマ音楽を広上さんが指揮されているのが、ご縁なんでしょうか。

個人的には大河ドラマをほとんど見たことがないので、思い入れはあまりないのですが、
当時を代表する作曲家が手がけた作品だけに、単に管弦楽曲として聴いても十分楽しめました。

演奏の合間には、司会の都築由美さん(フリーアナウンサー)と広上さんとの楽しいトーク。
ドラマのことはもちろん、歴史や音楽から芸能ネタに至るまで、大変興味深いものでした。

            *  *  *  *  *

● 第2部(前半) ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 作品72b
ベートーヴェンの序曲はどれもドラマ性があって好きなんですが、文句なしの一番はこの曲。
「自由闊達、スカッと爽快!」という言葉が、ぴったり当てはまるような曲です。

この曲の最大の魅力は、後の第7番の交響曲に続く、独特のリズム感にあると思います。
加えて、ステージでは誰も吹いてない?のに、高らかと響くトランペットのファンファーレ!

残念なことがひとつ…、演奏後の拍手が長く続かず、あっさりと途絶えてしまったこと。
フルートが活躍する曲なので、奏者の清水信貴さんにも賞賛の拍手を送ってあげたかった。

            *  *  *  *  *

● 第2部(後半) ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調「運命」 作品67
クラシックの中のクラシック、キング・オブ・クラシックといった名曲が今回のメインです。
CDでは何回となく聴いてきた曲ですが、コンサートホールの生演奏で聴くのは実は初めて。

冒頭に提示される「運命の動機」が余りにも有名ですが、他にも聴きどころ満載の曲です。
第3楽章からそのまま最終楽章へ流れ込む、あのゾクゾクくるような緊迫感はたまりません!

とっておきのアンコールは、フーテンの寅さんでお馴染みの「男はつらいよ」のテーマ曲。
やっぱり、私は日本人なんだなぁーと実感させられる、しみじみと心に染み入る演奏でした。

            *  *  *  *  *

広上さんが「このホールは初めて!」と語っておられましたが、私も初めて聴くホール。
4階席まであって、キャパは2000人超(満員御礼!)、堂々とした美しいホールでした。

Hyougo_2 

コメント (2)
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CLAPTON

2010-10-05 16:56:11 | cd

貫禄十分で余裕たっぷりの演奏とは、きっと、こういう演奏を言うのでしょう。
ブルージーで、ジャジーで、アーシーで… いろんな形容詞が付けられる贅沢なアルバム。

中でも話題になっているのが、シャンソンの名曲「枯葉」をカヴァーしたラスト・チューン。
私としては、マイルスのミュート・トランペットで聴いたときと同じくらい衝撃的だった。

Clapton_2

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