まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第615回定期演奏会

2017-08-15 17:22:38 | kyokyo
2017年8月13日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 川瀬 賢太郎 / 管弦楽 : 京都市交響楽団 / 合唱 : 京響コーラス
独唱 : 小川 里美(ソプラノ) 福原 寿美枝(メゾ・ソプラノ) 藤田 卓也(テノール) 妻屋 秀和(バス)


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● ジュゼッペ・ヴェルディ:レクイエム
さすがに、イタリア・オペラ最大の巨匠の作品だけあって、ドラマチックな要素が随所に盛り込まれていました。
一昨年8月の京響定期で聴いたブラームスの「ドイツ・レクイエム」とは、同じ標題でも印象が異なるものでした。

曲中で何回か再現される「ディエス・イレ」。 ティンパニーとバス・ドラムとの壮絶な叩き合いは圧倒的な迫力。
CDで聴くのとは違って、ホールのような広い空間で聴くと、「怒りの日」の恐ろしい光景が目に浮かぶようです。

それでも、スコアには弱音記号の「P」が目立つとか。 中には、「P」6つという最弱音の箇所もあるそうです。
静謐な美しさをたたえた、敬虔な祈りが滲みでてくるような箇所は、洋の東西や宗派の壁を超えて、心に響きます。

最後はソプラノ独唱が呪文を唱えるかのように歌い、壮麗長大な全曲の幕を閉じます。 その演出的効果は象徴的。
歌詞対訳には、「主よ、私を永遠の死から解き放ってください。その恐ろしい日に。私を解き放ってください」と。

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指揮の川瀬賢太郎さんは、数年前のニューイヤー、ディスカバリー以来で、定期では初めての3回目になります。
生気みなぎるドヴォルザークの第8番も好演でしたが、今日は大編成のステージを堂々としたコントロールぶり。

4人の独唱者の方も素晴らしい歌唱。中でも、バスの妻屋秀和さんの豊かな包容力と重厚感のある低音が魅力的。
高声部は欲を言えば、もう少しスコンと突き抜けたような響きが欲しかったが、ホールの音響や声質の問題かも?

京響コーラスは、年末の「第9」演奏会をはじめとして、数多くの声楽付きの大曲で成功を収めてこられました。
高いレベルを誇る日本のアマチュア合唱団の中にあっても、トップクラスの安定した実力を示した熱演と言えます。

ほぼ満員の聴衆も、川瀬さんの手が下り、ひと呼吸おかれるまでは拍手を送らず、まるで余韻を慈しむかのよう。
「レクイエム」のような作品では、「ブラヴォー!」とは喝采しないのが礼儀ということも、初めて知りました。

コメント
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